北海道のコロナ患者の死亡率はどうして高い?高齢者の暮らしに“ある特徴”が…

HBCニュース

 

北海道放送(株)

 

 

 視聴者の疑問や悩み、暮らしの中のハテナ?を調査する「もんすけ調査隊」です。  新型コロナウイルスの感染により、道内ではこれまで1434人が亡くなり、死亡率は全国的にも高い状況です。背景には北海道の、ある地域事情がありました。  ベッドに横たわる患者。隣では看護師が防護服を着てケアにあたります。  「患者の点滴を抜針するところです」(看護師)  岩見沢の北海道中央労災病院、新型コロナ病棟です。この日の最高気温は33度。真夏日が、2週間近く続いていました。  「手がべたべたして手袋が破けます」(看護師)  「ごはん来たよ」(看護師)  「患者さんは買い物に行くことができないので、頼まれたものを看護師が買って来ます」(看護師)  ここでは、中等症までの感染者を受け入れています。しかし、去年秋、外来診療を停止する事態に追い込まれました。  「北海道中央労災病院で起きたクラスターでは、42人が感染。入院患者が命を落としました」(記者リポート)  北海道中央労災病院には、肺がんや糖尿病などの基礎疾患を抱えた、80歳を超える高齢者が多く入院しています。そこに、クラスターが起きました。  「(新型コロナに感染すると)日に日に悪くなっていって、急変する。より受け入れ難かったのではないか、家族にとっても本人にとっても」(北海道中央労災病院・大塚義紀院長)  病院ではその後、発熱した人の情報を一元化したり、感染者が出た病棟全体の抗原検査を行ったりして、クラスターの再発を防いでいます。  「死亡は19人で過去最多となりました」(5月31日放送の「今日ドキッ!」)  道内では、8月18日までに1430人を超える人が新型コロナに感染して死亡。これは、都道府県別で3番目に多い数です。  「もんすけ調査隊」が、感染者のうち死亡した人の割合=「死亡率」を調べたところ、北海道全体では、3.21パーセント。都道府県別で2番目に高く、全国平均と比べると2倍近い数字でした。  なぜ、死亡率が高いのか?道内の病院にアンケート調査をしたところ、ある共通点が見えてきました。  新型コロナウイルスの感染による「死亡率」。北海道は、都道府県別で2番目の高さです。  死亡率の高さについて、「もんすけ調査隊」は、道内29の第2種感染症指定医療機関にアンケート調査を行い、12の病院から回答を得ました。そこには、ある共通点が…  「(道内の死亡率が高い要因は何だと思いますか?)「高齢者施設及び高齢者が比較的多く入院している回復期・慢性期病院でのクラスターが多かったことが要因と考えます」(市立旭川病院の回答)  5つの病院が「施設や病院での、高齢者のクラスター」を理由にあげたのです。  道内では、感染拡大からまもない去年4月、札幌の介護施設でクラスターが発生し、92人が感染。  旭川の基幹病院では、11月以降、311人が感染し、当時、国内最大規模のクラスターになりました。  「高齢者施設や医療機関で感染が広がると、高齢者が感染しやすい状況が生まれる。それが死亡率(の高さ)につながっている」(北海道保健福祉部・廣島孝技監)  では、なぜ北海道で、多くのクラスターが起きたのか。  「お変わりなく過ごしていますか?」(元町総合クリニック・池田慎一郎院長)  「はい、大丈夫ですよ」(高齢者)  クラスターが起きた高齢者施設で訪問診療を続けてきた、池田医師です。高齢者の感染拡大には、道内ならではの事情が関係していると話します。  「高齢者の施設、特別養護老人ホームを含め、サービス付き高齢者住宅の棟数が、札幌の数は、ほかの政令指定都市に比べても特に多い市になっていると思います」(元町総合クリニック・池田慎一郎院長)  ここで着目するのは、道内に住む高齢者の家族構成です。  厚生労働省の資料で65歳以上の人の家族構成を調べてみると、子どもとの同居率が低いことがわかります。その反面、有料老人ホームの数は、東京などと比べても多いのです。  介護が必要になったり、また雪かきなど冬の生活が厳しくなったりした高齢者が、札幌など都市部の老人ホームで集団生活を送る、そういった施設で感染が拡大した…そんな構図が見えてきます。  それでは、高齢者施設や病院に、ウイルスが持ち込まれる理由は何なのか。感染管理が専門の塚本教授はこう指摘します。  「市中感染が多いと、高齢者施設や病院に(ウイルスが)持ち込まれる可能性が高かったと言える。観光客が来るということでは、北海道は、そもそも市中感染が広がるリスクがある」(北海道医療大学・塚本容子教授(感染管理)) 8月19日(木)「今日ドキッ!」午後6時台

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