国産の新型コロナワクチンを 川崎市の研究開発チーム

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tvkニュース(テレビ神奈川)

 

新型コロナウイルスのワクチン接種が世界中で進んでいますが、同時に研究開発も加速しています。 国産の開発に取り組む、川崎市のチームを取材しました。 

 

ワクチン開発は、川崎市川崎区にある「ナノ医療イノベーションセンター」で行われています。

 

 研究チームを率いる、内田智士 副主幹研究員です。 

ナノ医療イノベーションセンター・内田智士 副主幹研究員

 

 「こちらでメッセンジャーRNAmRNAを実際につくっているところを見ていただきます」

 

 チームは、新型コロナが流行し始めた去年4月に発足。 

国内で使われているファイザー製などと同じく、ウイルスの一部をつくる設計図にあたる「mRNA」を活用したワクチンの開発を、

都内の創薬ベンチャーなどと共同で取り組んでいます。

 

 mRNAワクチンは、

ウイルスそのものを体内に投与しないうえ、ヒトの遺伝子にも影響を及ぼさないことから、

従来のワクチンよりも安全性が高いと考えられています。

 

 

  内田さんは、コロナで実用化される以前からこのmRNAに着目し、研究を続けていました。

 

 内田智士 副主幹研究員

 「何かパンデミックがあったときのことも考えていたし、mRNAの応用先として、ワクチンは有望だと昔から知られていた。5年くらい前から(mRNAを)活用したワクチンの研究も始めていて、今回のコロナをきっかけに加速させた」

 

 mRNAはそのまま体内に投与するとすぐに分解されてしまうため、

ファイザー製などでは脂でできたカプセルで表面を覆っていますが、

その脂が原因で副反応が起きることが懸念されています。

 

 

 一方、内田さんらが開発するワクチンは…。 

内田智士 副主幹研究員 

「ファイザーのワクチンとかはちょっと副反応が強いといわれているが、

できるだけ体に優しい材料で覆ってあげることが、ひとつ大きな特徴」 

独自で開発したカプセル

が用いられ、副反応を起こしにくいことが期待されています。 

 

さらに、先行しているワクチンでは氷点下での保存が必須ですが、常温保存も可能になるということです。 現在はマウスでの動物実験を繰り返し行い、すでに有効性を示すデータも得られていて、ことし中に臨床実験に進むのが目標です。 

 

一方でなぜ、欧米諸国とこれだけ開発のスピードに差がうまれたのでしょうか。

 

 内田智士 副主幹研究員 

「今度はサルで実証するとか臨床試験するとなると、どんどんお金も必要になってくる。

お金がもし10倍あると、10種類つくって試すことができる。

欧米ではスクリーニングといって、いろいろつくってとりあえず試し、一番効くものを拾ってくるという作業ができる。

 

(日本は)やはりそこらへんがなかなかまだまだ難しいのが現状」 

 

アメリカでは、アストラゼネカ1社への支援だけでもおよそ10億ドルの予算措置

が講じられていて、資金面に大きな差があるようです。 

 

それでも内田さんは、輸入に依存しない体制の構築に向け、ワクチン開発を続けます。

 

 内田智士 副主幹研究員 「今回の新型コロナに間に合えば一番ベストだが、次にパンデミックが来ることは絶対に考えられるので、そのときに日本初のものを出せるようにしたいと思っている」

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