築46年の中古住宅をウィズコロナのプランに再生、YKKAPなどが参画

森岡 麗

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

 

 

 

 

YKK APは2021年5月18日、神奈川県鎌倉市に立つ築46年の建物をリノベーションした「鎌倉 常盤の家」(以下、常盤の家)の完成を発表した。コンセプトに掲げたのは、「築46年の中古住宅を『職住遊学』が融合した暮らしに最適なプランニングで再生」することだ。本物件は鎌倉市から長期優良住宅認定を受けた。

YKK APなどが参画してリノベーションした「鎌倉 常盤の家」。耐震・断熱性の向上を目指して、内装や外装をリノベーションした(写真:プレイス・コーポレーション、YKK AP)

YKK APなどが参画してリノベーションした「鎌倉 常盤の家」。耐震・断熱性の向上を目指して、内装や外装をリノベーションした(写真:プレイス・コーポレーション、YKK AP)

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リノベーション前の家の外観(写真:プレイス・コーポレーション、YKK AP)

リノベーション前の家の外観(写真:プレイス・コーポレーション、YKK AP)

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 常盤の家は、17年度からYKK APが実施している「戸建性能向上リノベーション実証プロジェクト」の一環としてリノベーションした。実証プロジェクトの狙いはストック住宅の活用だ。各地のリノベーション事業者や設計事務所、建設会社などと協働し、古い建物の耐震・断熱性の向上などにより新築以上の価値を持たせることを目指している。

 常盤の家ではYKK APと、買い取り再販などの不動産事業を展開するプレイス・コーポレーション(横浜市、以下プレイス)が中心となってリノベーションを進めた。意匠設計はリツデザイン一級建築士事務所(横浜市)、構造設計は高橋建築工房(東京・新宿)、施工は青木工務店(神奈川県大和市)が手掛け、コンサルタントはu.company(東京・目黒)が担った。

 建物は木造の在来軸組工法を採用した地上2階建ての住宅だ。敷地面積は約252m2、延べ面積は約136m2。中古物件の仕入れ価格に約2700万円、設計費を除いて外構工事を含む工事費用に約2600万円がかかった。

住宅をスケルトンにした様子。2020年8月撮影(写真:プレイス・コーポレーション、YKK AP)

住宅をスケルトンにした様子。2020年8月撮影(写真:プレイス・コーポレーション、YKK AP)

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 リノベーションに当たり、プレイスの浜田伸代表と設計者、コンサルタントらはペルソナ(典型的なユーザー)を議論した。性能向上リノベーションを受け入れやすい年代であることや、物件の価格から年代を40代に設定。コロナ禍の影響でテレワークが広がり、都市部から郊外へ移住需要が高まっていることなども考慮し、最終的に「子どもがいる可能性のある、クリエーターの40代夫婦」とした。

 このペルソナに合う住宅となるようにコンセプトを固めた。物件購入者は、ペルソナ設定にほぼ一致する出産予定の40代夫婦だった