初代の、”Klimax DSM"

 

が、発表された時、

 

「わあっつ!ほしいけど、高いなあ!」

 

と、思っていましたら、

 

今回の三代目では、もう、2倍の、

 

5,280,000円

 

 

 

で、

 

中華で、(そして、半島のメーカーまでも)

 

特に、高級機DAC関連/その周辺製品関連では、

 

「人並み、世間並み、欧米並み、民主資本主義国家の価格付け」

 

に、ほぼ、近づいてきたので、

 

このカテゴリーのリーダーとしましては、

 

「一緒にされたくない、しかも、汎用のチップのみならず、

 

隅から隅までの総合的な品質だよ!」

 

と、言いたいためか、

 

堂々とした、(ほめてはおりませんがーーーー)

 

価格設定です。

 

A) これを購入する人は、45年位?まえからの、超・超・LINN 信奉者や

 

B) あるいは、お年寄りなどで、情報が薄い/少ない人や、

 

C) あるいは、530万円でも、120万円位でも、経済的に、全然、痛手がなく、

100万円クラス~1千万円クラスの他社製品などとを、聞き比べも、ほぼできないし、

それなら、前回同様、自動的に、「安心保険」で、

頼んじゃおうかなあ!って、いう人だと思います。

 

D) もちろん、販売店などが、近所にあるなしは別といたしまして、

聞き比べ試聴ができる小売店へ行き、

やはり、他社製品より、優れている!っと、

思い、決断する人も、いるのは、確かでしょう。

 

E) 初代の初めての設定やシステム構築は、

以外と、厄介だったので、やっと時間をかけて、設定し、慣れてきて、

音にも相当満足感を抱いているので、

またまた、他社製品などで、設定から、ありとあらゆる連結機材を、

再構築するのは、「厄介」と思い、

下取りやオークションなどで出し、差額プラス・α―で、

「横着、怠慢、厄介」的な感じで、購入する人も、いるのは、確かでしょう。

 

 

 

それにしても、音は、世界の市場(製品群)の中でも、

 

「やはり、超・トップクラスであることは、間違いないでしょう!」

 

 

しかし、中華製品に限らず、

 

まるっきり同じシステム構成ではなくても、

 

「違うやり方で、限りなく、このレヴェルの音にたどり着く」

 

方法は、あるのも考えられます。

 

 

 

 

 

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理想のためにDACをすべて自社設計

LINN 新時代のフラグシップ「KLIMAX DSM」登場! ディスクリートDAC「ORGANIK」の実力とは

 
 
山之内 正
 
 
■本質的な技術革新に挑戦。14年ぶりにフルモデルチェンジされるKLIMAX

リンがKLIMAX DSを発売したのは2007年のことだった。それから14年後のこの4月、初のフルモデルチェンジを敢行。同社の製品はアップグレード前提の設計が基本なので、ソフトウェアや回路技術を更新するごとに最新仕様に生まれ変わる。しかし、今回はそうした変更では対応できないほどの本質的な技術革新に成功し、完全な新規設計に踏み切った。外見だけでなく、中身も完全に生まれ変わっているのだ。


14年ぶりにフルモデルチェンジされるLINNのフラグシップネットワークプレーヤー「KLIMAX DSM」。税込

 

(photo 田代法生)


長く親しんできた現行モデルのデザインが消えてしまうのは寂しい気もするが、アルミとガラスが美しく調和した新しい筐体の存在感は圧倒的で、精密に仕上げられたガラス製ダイヤルやフロントパネルの質感の高さに目が釘付けになる。シルバーに加えてブラック仕上げも新たに登場。照明を落とした部屋で文字だけが浮かび上がる光景にハッとさせられた。スクエアでソリッドな意匠は「SELEKT DSM」で初めて導入され、その後に「MAJIK DSM」が受け継いだ。いま思えば、今回のデザインの原型はそのときすでに完成していたのかもしれない。


シルバーアノダイズ仕上げのバージョン


独自開発のDACアーキテクチャ「ORGANIK(オーガニック)」を導入したことは、筐体のリニューアル以上にインパクトが強く、技術的なブレークスルーの達成を強く印象付ける。まさに今回のモデルチェンジのハイライトである。


完全自社設計で組み上げられたディスクリートDAC「ORGANIK」


KLIMAX DSMの最終形はAKMと歩調を合わせて開発した「KATALYST」を採用し、フラグシップにふさわしい高音質を実現していた。だが、リンの設計陣はそこで満足することなく、さらに上のレベルを目指して開発を進め、既存のDACに頼っていては限界があることを意識するようになったという。理想の音に近付くためには、DA変換回路の入口から出口まで、すべて自社で開発することが不可欠という結論に至ったのだ。

リンはKLIMAX DS初代機の段階で規模の大きなFPGAをいち早く採用し、アップサンプリングをはじめとする周辺回路を独自アルゴリズムで構築して、既存DACチップだけに依存しない回路設計にこだわってきた。各ステージごとに独立した電源供給を行うKATALYSTを開発した理由もそこにある。

ORGANIKはその思想をさらに徹底し、AD変換回路も含めると4個のFPGAを用いて全ステージを一から設計し直すことで独自性を貫いている。ちなみにAD用FPGA以外については、HDMI入力用FPGA、リクロックやスペースオプティマイゼーションの処理を行うコアFPGA、そして主役のORGANIK DAC用FPGAという構成になる。FPGAはプログラムの書き換えに対応する大規模集積回路なので、ファームウェアを更新して内容を一新することもあらかじめ想定済み。従来以上にアップグレードの余地を確保しているのは、いかにもリンらしいアプローチだ。


KLIMAX DSMの内部構造。4つのFPGAで回路を制御する贅沢な構成となっている


4つ目のFPGAはDA変換回路の前段に相当し、アップサンプリング、DSD信号の移動平均フィルター、48bit精度のボリューム調整、PWM変調などの処理を担う。その出力がDA変換回路の後段に相当するアナログFIRフィルターに受け渡されるわけだが、同フィルター回路は8層基板の表裏にチャンネルあたり32エレメントを配置した文字通りのディスクリート構成。左右対称に配置された素子群のレイアウトが美しく、信号の流れが目に見えるようだ。ルンダール社の出力トランスはRCAアナログ出力専用の装備とされる。

KLIMAX DSの初代機は純粋なネットワークプレーヤーとして登場したが、その後に外部入力に対応するプリアンプ内蔵のDSMバージョンが発売された。今回の新世代モデルにはプレーヤー専用機は用意されないが、HDMI端子の有無で2種類の仕様が存在する。


KLIMAX DSMの背面(HDMI端子ありのもの)。あらたにOPTICAL ETHERNETが追加されたことやBNCのS/PDIF入力を持つことも特徴


アナログ入力はRCAとXLR、デジタルはLAN、光LAN(SFP)、USB-B、Wi-Fi、Bluetooth。S/PDIF(BNC)と多才な入力がそなわる。一台で大半のストリーミングオーディオを網羅するだけでなく、HDMI端子付きのAVモデルならBlu-rayなど映像メディアの音声もORGANIKを介した高音質再生ができることに注目したい。なお、ORGANIKはDSD信号についても対応が進化しており、今回から最大11.2MHzまで再生できるようになった
 
 
 
 
 
 
■旧KLIMAX DSと比較試聴。エモーショナルな表現力は別格

オーディオ用NASの音源を中心に再生音を確認した。今回はKATALYST仕様にアップグレードしたKLIMAX DSを比較のために用意し、まずその音を聴いたのだが、さすがにごく最近までフラグシップとして君臨していただけに再生音のグレードは高い。大植英次指揮、ミネソタ管弦楽団によるリムスキー=コルサコフ《道化師の踊り》は、金管楽器と低弦が放つ低音が空気をたっぷり含み、すべての楽器のアタックが正確に同期したときの音圧が一気に上がって爽快な気分になる。


大植英次指揮、ミネソタ管弦楽団「Exotic Dances from the Opera」(Reference Recordings)


新KLIMAX DSMに切り替えると、ステージ上の楽器配置が前後それぞれの方向に広がり、オーケストラを3次元に再構築したような立体感が生まれた。もともと空間情報が豊富な録音なのだが、ここまでの立体感を体験したことはなく、同じ音源でもプレーヤーの新旧でかなり印象が違う。遠い楽器はより遠く、近い楽器はより手前に音像が浮かび、余韻は部屋いっぱいに広がるのだ。その一方でオーボエやクラリネットなど主要な旋律楽器の定位はピンポイントで、まったくにじみがない。おなじみの録音をここまで立体的に描き分けるとなると一大事、あらためて聴き直すべき音源が無数に思い浮かぶ。


操作にはiPadの「LINN」アプリを使用


ローカルのプレイリストはもちろん、TIDAL等のストリーミングサービスとの連携も可能


ヴォーカルはジェーン・モンハイトとダイアナ・クラールを聴いたが、二人の声の音色の違いはもちろんのこと、それぞれの表情が目に浮かぶようなリアリティがあって、ライヴさながらに強く引き込まれた。これまで聴いたリンのプレーヤーのなかで、新KLIMAX DSMはエモーショナルな表現力が別格といえるほど深いと思う。

アルネ・ドムネラス《ライムハウス・ブルース》は正真正銘のライヴ録音だけに空気感の違いがとてもわかりやすい。新旧比較ではどちらも迫真の臨場感を引き出すが、たとえばスネアの皮の張り具合とか、クラリネットの息漏れなど、その場に居合わせないと実感しにくいような微妙な感触は新世代機の方が生々しく聴き取ることができた。


CNC切削マシンを新たに導入、アルミ削り出しで構成されたKLIMAX DSMのシャーシ部


ネトレプコが歌う《ジョヴァンナ・ダルコ》の「予言を告げた森よ」では、広い音域のソプラノのなかでどのフレーズにも付帯音らしきものがまったく乗らず、声のエコーとして届くフルートとの遠近の対比が鮮やかに決まる。10年ほど前の録音なので声質はいまと少し違うが、記憶に刻まれている当時のネトレプコの声が鮮やかに蘇ってきた。


非常に質感の高いガラスによるボリュームコントロール部。レコードのグルーヴからインスパイアされた表面仕上げも美しい


■プリアンプとしての性能も優秀。生気に満ちた音楽的な表現を聴かせる

アナログ入力にアキュフェーズの「DP-750」をつなぎ、CDプレーヤーからの外部入力についても音を確認した。AD変換後に独自のボリューム回路を経てORGANIK経由の音を聴くことになるのだが、複数の変換処理を経ているにも関わらず、その再生音は生気に満ちていて、音楽的な表情の豊かさと躍動感はネットワーク再生時と共通のアドバンテージがあるように感じた。

ペトレンコ指揮ベルリン・フィルの『マーラー:交響曲第6番』は深いステージに重心の低いオーケストラが広がり、各楽器群のエネルギーが拮抗するときの緊張感が尋常ではない。ローエンドはホールの暗騒音の帯域まで深々と伸びていて、フィルハーモニーの絶対的な空間の大きさを想起させる。スペース・オプティマイゼーション適用後に同じ音源を聴くと、冒頭の弦と金管の動きが目に見えて活発になり、クレッシェンドの上昇が説得力を増す。ORGANIK自体の空間再現力が従来のDACに比べて向上していることもあり、定在波の影響が強い部屋では確実な効果が期待できる。


『マーラー交響曲全集』(ベルリン・フィル・レコーディングス)


試聴室でリッキー・リー・ジョーンズ《浪漫》のディスクを見つけたので久しぶりに聴いてみた。力まないのに力強いヴォーカルとともにサウンドとして強く引き込まれたのがアコースティックギターで、「ラスト・チャンス・テキサコ」、「ホワイト・ボーイズ・クール」の鮮度と透明感の高さに時間を忘れ、しばし聴き込んでしまった。間違いなくデジタルディスクが回っているのに、最良のコンディションで再生したLPレコードの音を思い出させる。ディスクプレーヤーをデジタル接続でつなげば、またひと味違う音を引き出せるかもしれないが、それは次の機会に試してみることにしよう。

懐かしいCDを聴いていたら他にも70年代や80年代の音源を聴き直してみたくなり、KazooからTIDALにログインしてジェニファー・ウォーンズ《フェイマス・ブルー・レインコート》など数枚のアルバムをキューに登録した。高音質ストリーミング再生でも既存のKLIMAX DSに比べてヴォーカルやギターの鮮度が上がり、テクスチャー豊かな音に生まれ変わる。ORGANIKには聴き手の感性に作用する重要な要素を漏らさず伝える資質がそなわっているのだろうか。

TIDALの音源を聴くとき、自宅ではRoonを経由することも多いのだが、もちろん新KLIMAX DSMも従来機同様、Roonのデバイスとして指定でき、TIDAL MasterならMQAデコード後に独自形式のLINN Streamingで再生が始まる。こうしてメディアを横断し、自由に聴き続けられるのはネットワークプレーヤーの醍醐味だが、リンのDS/DSMはどんなときもそれがストレスなくできることが強みだ。使い勝手の良さは世代が新しくなってもなんら変わることがない。

ただひとつ気になるのは価格だ。そこは従来通りとはいかず、強い決断を迫られる金額に上がってしまった。もちろん決断できる人にとっては、きわめて価値ある選択になることは間違いないのだが