台湾のWHO総会参加実現せず 中国が反対、5年連続

【ロンドン=板東和正】
世界保健機関(WHO)の年次総会が24日、オンライン形式で開幕し、非加盟の台湾のオブザーバー参加は、中国の反対によって認められなかった。台湾の参加は2017年から5年連続で実現しなかった。
6月1日までの日程で、全加盟国194カ国の代表らが参加している。参加を希望する台湾には24日までに招待状が届かず、
台湾の呉
●(=刊の干を金に)燮(ご・しょうしょう)外交部長(外相に相当)と陳時中・衛生福利部長(厚生労働相)は同日、連名で「厳正な不満と抗議」を表明した。
先進7カ国(G7)外相会合が今月5日、共同声明で台湾の参加支持を表明したことを受け、参加の可否が総会で議題に追加される可能性があったが、総会の議長は「議題に含めない」と明言。中国や、中国を支持する途上国の反対があったためとみられる。
WHOは総会への台湾参加の可否について「加盟国が決めることでWHO事務局に決定権はない」との立場を示す。米国や日本、欧州諸国などは台湾の参加に賛成する方針だった。
台湾は蔡英文政権が発足した翌年の17年から「一つの中国」原則を掲げる中国の反対で、WHO総会へのオブザーバー参加が認められなくなった。
中国が台湾を排除したことで、新型コロナウイルスの有力な防疫対策をいち早く打ち出した台湾の知見を加盟国が円滑に共有できず、世界の保健衛生が脅かされたと非難されている。
総会では、新型コロナの感染が拡大する中、国際的なワクチンの公平分配への方策なども討議される。
WHOのテドロス事務局長は総会で演説し、9月までに全ての国で少なくとも10%、年末までに30%の人々にワクチンを接種するため、供給拡大を支援するよう加盟国に呼びかけた