「判断が遅い」飲食店主ら厳しい声 福岡県のまん延防止適用要請

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毎日新聞

記者会見でまん延防止等重点措置の適用要請について説明する福岡県の服部誠太郎知事=福岡県庁で2021年5月1日午後4時57分、津村豊和撮影

 

 

 

 

 「なかなか減少傾向が見えてこない。予断を許さない状況にある」。5連休がスタートした1日に、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「まん延防止等重点措置」の適用要請に踏み切った福岡県。緊急記者会見した服部誠太郎知事は歯止めのかからない感染状況に強い危機感を示した。一方、さらなる営業時間の短縮が求められる福岡市と久留米市の飲食店の関係者などからは「判断が遅い」と厳しい声が飛んだ。  「不要不急の外出を自粛するなど行動をもう一度見直してほしい」。会見で県民に改めて訴えた服部知事。福岡県内の1日の感染者は352人と再び増加に転じ、まん延防止措置の対象地域となる見通しの福岡市は151人、久留米市は71人を数えた。それだけに「この数字が続くと(新型コロナウイルス対応の)病床の使用率は7割、それ以上になりかねない」と対策の必要性を強調した。  これまで服部知事は「時短要請の効果を見極めたうえで判断したい」とまん延防止措置の適用要請に慎重な姿勢を示してきた。だが、福岡市と久留米市への時短要請以降も人の流れがなかなか減らないことに苦慮。前日の4月30日には福岡県医師会の松田峻一良会長が緊急事態宣言を出すべきだとの考えを示したのに加え、要請前の1日午前に緊急メッセージを出すために集まった福岡市長や久留米市長からも適用要請を求められ、決断したという。  県医師会の松田会長は「時短要請の結果を2週間待つのではなく、素早く対応したのは良かった」と評価したうえで、「第1波の時と同じように皆さんがもう一回辛抱しようとなれば、感染拡大に歯止めがかかるはずだ」と強調した。  一方、まん延防止措置が適用されると、更に1時間の営業時間短縮が求められる飲食店。九州最大の歓楽街・中洲(福岡市博多区)で焼き鳥店を営む女性(64)は「時短要請効果を見極めようとする中で感染者が増え、結局はまん延防止措置を求めることになった。判断が遅い」と憤った。  福岡市中央区の繁華街・天神で屋台を経営する久保田鎌介(けんすけ)さん(42)も「今の状況ではまん延防止措置まで踏み込まなければ、感染拡大を防げない」と一定の理解を示したものの、「遅すぎる。もっと早く出すべきだった」と苦言を呈した。  飲食店などが建ち並ぶ久留米市中心部の「久留米ほとめき通り商店街」の原誠会長(62)は「緊急事態宣言ではなく、まん延防止措置なのが中途半端ではないか」と首をひねった。そのうえで更なる営業時間の短縮要請について「商店街ではさまざまな業種が打撃を受けている。我慢する時は仕方がないが、この苦しい実態を知ってもらいたい」と訴えた。

 

【中里顕、吉川雄策、高芝菜穂子、平川昌範