世界中、糖尿病や、高血圧などに関する研究が、
非常に、旧態依然で、遅れております。
どうにか、するべきでしたが、
良いところに、注目/着目しました、
”あっぱれ!”
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糖尿病ケアで血糖値を知る新指標GAとは 東大発ベンチャーが着目
配信
東大発ベンチャーのProvigateと専門医がGAに着目している
不健康な食事や運動不足などの影響で、世界的にも増加が懸念される糖尿病。患者やその予備軍に生活習慣改善の新たなツールを届けようと取り組んでいるグループがある。東京大学の研究者らが設立したベンチャーと、東京大学医学部付属病院の専門医らから成る研究グループだ。 糖尿病の管理に関しては、既にヘモグロビン(Hb)A1cという世界標準の検査が普及しているが、より日常の生活習慣を反映しやすい血液中のグリコアルブミン(GA)という物質に着目し、その変化を目安に医師がオンラインなどで生活習慣改善の指導を行うシステムの普及を狙う。専門医とベンチャーがタッグを組んで、何を仕掛けようとしているのか。 現在普及している糖尿病の検査には、血液中の糖(グルコース)そのものを測定する方法と、血液中のヘモグロビン(赤血球)に糖が結合したHbA1cの比率を測定する方法の2つがある。
血糖値の測定には、指に針を刺して採取した微量の血液を基に血液中のグルコースを測定する小型の血糖自己測定装置(SMBG)や、皮下にセンサーを埋め込んでグルコースを連続的に測定するCGMと呼ばれる装置が使われている。ただ、血糖値は1日の中でも大きく変動するため、インスリンの自己注射などによって血糖値をコントロールする必要がある人以外がそこまでこまめに測定する意義は乏しいし、費用もかかる。頻回の針刺しをしたり、センサーを皮下に挿入したりすると痛みも生じる。 そこで医療機関の外来などに通院して糖尿病を管理している人や、健康診断の血液検査などで通常測定しているのはHbA1cの値だ。ただ、赤血球の寿命はおおむね120日程度とされており、HbA1cの数値には直近3カ月間の血糖の平均値が反映されていることになる。そのため、少々食事を変えたり、運動を始めたりするなど生活習慣を変えてみても、HbA1cの値はすぐには変化せず、行動変容の指標としては使いにくかった。
これに対して、東京大学工学部マテリアル工学科の坂田利弥准教授が社外取締役を務めるベンチャーのProvigateと、東京大学医学部付属病院病態栄養治療部の窪田直人部長、同病院糖尿病・代謝内科の相原允一特任助教らから成る研究グループが着目したのはグリコアルブミン(GA)の検査だ。 Provigateは坂田准教授の研究を基に2015年に起業したベンチャー(代表取締役は経営コンサルタント出身の関水康伸氏)。米国でベンチャー投資の経験豊富な金子恭規氏が社外取締役を務め、ベンチャーキャピタルの他、ダイキン工業などが出資している。 GAは血液中のアルブミンというたんぱく質にグルコースが結合したもので、アルブミン全体に対するGAの比率を計測する。血液中のアルブミンは半減期が17日程度と、寿命は短い。このためHbA1cに比べてより直近の血糖値を反映した指標となる
針を刺さない測定に芽
実際、Provigateで食事とGAとの相関を測定してみたところ、高炭水化物の食事を1週間程度続けるとGAが上昇し、低炭水化物の食事に切り替えると低下する傾向が見られたという。 GAはこれまでも糖尿病の診断に使われ、承認済みの診断薬も存在している。ただし、健康保険で費用が支払われるのは、HbA1cまたはGAなどの測定を月1回分だけに制限されている。このため医療機関では、月に1回や3カ月に1回といった頻度で、世界標準の検査であるHbA1cを測定するのが一般的だ。1回の受診で3カ月分程度の治療薬が処方されることも多く、それぐらいの頻度の検査で事足りていた面もある。 しかし、禁煙治療用アプリなどが登場し、生活習慣の改善を促すような治療が広がる中で、研究グループは直近の生活習慣を反映する指標としてGAに着目した。 「HbA1cと血糖値だけでは分かることに限りがあったが、GAはモニタリングするのに適している。これをしっかりモニタリングして、週に1度などの頻度で生活指導ができれば、糖尿病の進展を抑制できる可能性は十分ある」と、研究グループの一員である東京大付属病院の窪田部長は話す。 研究グループは、日本医療研究開発機構の支援を受けて、以下のような臨床研究を行った。約60人の糖尿病患者を2つのグループに分け、 2週に1度、片方のグループには体重と採血検査を行った上でGAの値を通知し、もう一方のグループに対しても体重と採血検査を行ったがGAの値は通知しなかった。その結果、2週に1度GA値を通知したグループでは、GA値、体重、肝機能に改善傾向が見られたという。研究グループは5月の糖尿病学会で詳細を報告する予定だ。臨床研究には、糖尿病専門医療を提供する熊本県の陣内病院の協力も得た。 このように、GA値の測定が生活習慣改善の動機づけに役立ちそうなことから、Provigateでは微量の血液を基にGA値を手軽に測定できるキットを開発し、医療機器として承認取得を目指している。既に数マイクロリットルの微量の血液でGA値を測定できるセンサーのプロトタイプを開発し、量産開発にめどをつけた段階だという。Provigateでは、2023年にも医療機器と体外診断薬の承認を得たい考えだ。 また、家庭で自己採血した血液を郵送で回収して患者のスマートフォンにデータを送り、GAをモニタリングするシステムも検討中だ。研究グループではこの他にも、血液中のGA値が涙に含まれるGA値と相関を示すことを臨床研究で明らかにし、2020年10月にドイツで開催された国際学会で発表している。 ゆくゆくは涙や唾液の中のGA値を患者が週に1度自宅で計測してアプリに保存。そのデータを基に本人が自己管理の質を高めたり、オンライン診療で医師から指導を受けたりすることのできるシステムに仕上げていきたいと考えている。涙や唾液で、体に針刺し傷も与えずに糖尿病のケアを行えるようにするのが究極の目標だ。 窪田部長は、「家庭での血圧が高血圧治療ガイドラインに盛り込まれたように、糖尿病患者や予備軍のGAをモニタリングする意義についてエビデンスを構築していきたい。GAの値を患者と共有することで行動変容を促して、糖尿病をコントロールできれば」と話す。
橋本 宗明