ロックダウン「やらなければピークアウト見えない」 大阪府医師会長訴え
4/14(火) 16:56配信
大阪府など7都府県に緊急事態宣言が出され、2週間目に入った。新型コロナウイルスの災禍は一般市民のみならず医療スタッフにも及び、医療崩壊の不安が高まる。大阪府医師会の茂松茂人会長(68)が毎日新聞のインタビューに応じ、現状では宣言の期限となる5月6日までの収束はないと言及。日本でも米ニューヨークなど海外で実施されているロックダウン(都市封鎖)を「ある時期にはやらなければ、絶対にピークアウトは見えない」と訴えた。
茂松会長は、政府の緊急事態宣言のタイミングを「今の感染の広がり方をみると、3月下旬の3連休あたりで考えても良かった」とし、2週間程度遅かったと指摘。早めの対応でピークアウトの兆しが見えてきたイタリアなど欧州の現状を念頭に「人が動かないことが非常に重要。早ければそれだけ早く抑えられる」と説明した。
その上で、公共交通機関が動き、一定の店舗が開店している日本の状況について「だらだらやっているとそれだけ収束まで長くなる。思い切りある決断が必要だ」と政府のさらなる対応を求め、「中国・武漢は完全に閉鎖してやっと落ち着いた」と述べた。
一方、14日に始まった府による休業要請については、外出抑制により、新規感染と医療機関の負担が減少する方向に向かうとして「ありがたく思う」と評価。医療崩壊を起こした「海外のようにならないようにしなければならない。医療関係者にはそれくらいの危機感がある」と語った。
軽症者や無症状の感染者をホテルに移送する取り組みについて、21日以降は医師会から医師を派遣すると明らかにした。発熱などの症状のある患者を一般の患者と隔離して診察する「発熱外来」への医師の派遣も一部地域では始めており「社会的使命の中で医師会としてやらなければならない」と述べた。こうした活動で医師が感染し、経営する医療機関が休業となるリスクもあることから、「どう補償してもらえるのかも考えてほしい」と行政に注文した。
宣言により、医療機関へのマスクや防護服などの物資は強制的に確保・供給されることになったが、実際は不足しており、現場には勤務に伴う感染の不安があるという。「医師や看護師を守れなければ医療崩壊につながる」と危機感を募らせ、「国がある程度買い上げ、医療機関中心に供給することを考えてほしい」と早急な対応を求めた。【近藤諭】
◇茂松茂人(しげまつ・しげと)
大阪医大卒。同大整形外科助手や病院勤務を経て、1990年、大阪府茨木市に茂松整形外科を開業した。2016年6月に府医師会長に就任。府の新型コロナウイルス感染症対策協議会の委員として、専門的な立場から府の方針策定に関わっている。同府箕面市在住。
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