米がWHO非難「台湾のコロナ早期警告を無視」、中国に過剰な配慮
4/10(金) 11:01配信
【AFP=時事】米国は9日、台湾が早い段階で新型コロナウイルスの人から人への感染を警告していたにもかかわらず、政治を優先して無視したとして、世界保健機関(WHO)を非難した。
【図解】新型コロナ感染の検査方法とウイルスの構造
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はこれに先立ち、WHOを「非常に中国中心的」と非難し、資金拠出を一時停止する可能性もあるとけん制していた。
トランプ氏による突然の警告は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への備えを怠ったとして非難を浴びる中、国外に身代わりをつくるための政略だとの批判もある。米国では新型ウイルスによる死者が1万6000人超に上っている。
米国務省は、WHOは新型ウイルスへの警鐘を鳴らすのが遅すぎ、中国に配慮しすぎていると非難。台湾からの情報について調査しなかったことに疑問を呈した。
同省の報道官は、「WHOが2020年1月14日の声明で人から人への感染は確認されていないと発表したことに表れているように、台湾からの情報を公表しなかったことを(米国は)深く憂慮している」と述べた。
同報道官は、「WHOがまたしても公衆衛生より政治を優先した」と指摘し、2016年以来、台湾のオブザーバー参加さえ認めていないことを批判した。さらに、WHOの行動によって「時間と人命が失われた」と述べた。
台湾は、中国と地理的に近く関係が深いにもかかわらず、新型コロナウイルスによる死者が5人にとどまっており、封じ込めに成功している。陳建仁(Chen Chien-jen)副総統によると、台湾は昨年12月31日、人から人への感染についてWHOに警告していた。
疫学者でもある陳氏は英紙フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)に対し、台湾の医師らは中国・武漢(Wuhan)の医師らが罹患(りかん)していると把握していたが、WHOはその情報を確認しようとしなかったと述べた。
台湾は9日、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長が、新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)への対応をめぐり、自身に対する個人攻撃とWHOに対する批判を台湾政府が主導していると非難したことを受けて、テドロス氏に謝罪を要求した。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200410-00000010-jij_afp-int
【翻訳編集】 AFPBB News
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台湾、WHO事務局長に謝罪要求 新型コロナめぐる「中傷」で
【4月9日 AFP】
台湾は9日、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長が、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)への対応をめぐり、自身に対する個人攻撃とWHOに対する批判を台湾政府が主導していると非難したことを受けて、テドロス氏に謝罪を要求した。
テドロス事務局長はスイス・ジュネーブでの記者会見で、自身とWHOに対してインターネット上で広がっている批判や侮辱に触れ、「この攻撃は3か月前、台湾から来た」と指摘。
「台湾、そして外務省も、(批判的な)動きを把握している。(台湾側は)そこから距離を置くことなく、あらゆる誹謗(ひぼう)中傷のさなかに私を批判し始めたが、私は気にしなかった」とテドロス氏は語った。
同氏のこの発言は台湾で怒りを呼び、台湾側は「事実無根」と反論。外交部(外務省)はこの「中傷」への謝罪を要求した。
蔡英文(Tsai Ing-wen)総統はフェイスブック(Facebook)上で、テドロス事務局長に台湾訪問を促し、台湾のウイルス対策から学んでほしいと伝えるとともに、「中国からの圧力に抵抗する」よう求めた。
さらに「われわれは長年、国際機関から排除されてきており、差別を受け孤立させられる気持ちがどんなものか、誰よりもよく分かっている」と記した。
台湾は、パンデミックが始まった中国と、地理的にも貿易面でも近接しているが、新型ウイルスによる死者は5人、確認された感染患者は380人にとどまっている。
公衆衛生の専門家らは、台湾の新型ウイルス感染対策を評価しているにもかかわらず、WHOと台湾の関係は、パンデミックが始まって以降目立って悪化している。
台湾はWHOの年次総会で、以前はオブザーバーの立場が認められていたが、近年は中国政府からの外交圧力があり、台湾はWHOを含む主要な国際機関から閉め出されている。(c)AFP