習近平とWHO事務局長の「仲」が人類に危機をもたらす
前任のマーガレット・チャンに関しても中国が水面下で動いていたが、習近平政権になってからのチャイナ・マネーの威力は尋常ではない。
テドロスは、今年1月23日のWHO緊急会議で新型コロナウイルス肺炎に関する中国への緊急事態宣言を延期した後、すぐさま中国を訪れ「さらなる視察」をした。
しかし「視察先」として行くべき武漢には行かず、北京の人民大会堂で習近平国家主席と会談しているのである。「中国の現状を詳細に理解するため」としているが、何のことはない「習近平から中国が如何に立派に予防措置をしているかを刷り込まれるため」であったことは誰の目にも明らかだろう。
事実、1月28日付の新華網は、習近平と会談したテドロスが概ね以下のように述べたと伝えている。
――中国政府が打ち出している政治的決心は尊敬に値する。習近平自身が自ら率先して予防対策と治療に関する指揮を行い、国を挙げて全力を注いでいるその姿は絶賛に値する。中国人民を守るだけでなく世界人民をも守ろうとするその姿勢に、WHO事務局長として感謝する。
この日同時に、国連のグテーレス事務総長が「ほぼ同じ言葉」を用いて、中国を絶賛したのは注目に値する。
グテーレスはポルトガル人。中国の特別行政区であるマカオをかつて植民地支配していたのはポルトガルなので、その関係を通して、「中国とグテーレス」は非常に緊密な関係にあり、2016年末で国連事務総長の任期が切れる潘基文(パンギムン)に代わってグテーレスを次期事務総長に押し上げるべく水面下で活発に活動したのも習近平政権だ。