ミシュランで三つ星獲得の小林圭さん、フランス滞在での「変化」語る
1/30(木) 12:39配信
【AFP=時事】
Photo : Google Images, Pinterest、
日本人シェフの小林圭(Kei Kobayashi)さん(42)が、自身の考えを語る──それはフランスに赴いたからこそ身についたものだという。
格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」フランス版で、小林さんが最高位の三つ星を獲得した初の日本人シェフとなってからまだ1日もたっていないが、仏パリに構えるレストラン「ケイ(Kei)」の電話は鳴りっ放しだ。
少人数のチームスタッフが清潔な厨房内を忙しく動き回るなか、小林さんは熱っぽい語り口でAFPのインタビューに応じた。
「日本人は大抵、とても無口だ。だがそんなふうでは、フランスでは生き残れない」
ここ数年、十数人の日本人シェフたちが、えり抜きのフランス高級料理界に新風を吹き込んでいるが、その多くは「柔和」を絵に描いたような人だという。
おじぎをして、謙虚な感謝の言葉をたどたどしく一言二言述べてからその場を去るような人だ。
だが、小林さんは違う。三つ星を獲得したミシュランの授賞式でも、自分がいかに気難しく、いかに多くを要求するかということを語っていた。
金髪をジェルでまとめ、どこかエンターテイナーのような雰囲気のあるこの若きシェフは、チームスタッフに対する要求が非常に高いことを躊躇(ちゅうちょ)することなく認める。
だが、以前はそうではなかったと述べ、フランスが自分を変えたのだと説明した。
小林さんは、AFPの取材に「今はもっとストレートに言う。フランスの人のように、思っていることを口に出す」と語った。そして、広くはないが完璧に設計された厨房の中で大声で指示出しをしながら、「自分はとても難しい」と述べた。
「自分と一緒に働くのはストレスだらけだ。あらゆることに目を光らせてチェックする」
決して「親しみやすい」とは言えないフランス人シェフと比べても、「自分は気難しいだろう」と小林さんは笑顔を見せる。
■「フランスには感謝している」
フランス人シェフを相手に、若い日本人シェフが相手の得意分野で、しかも相手のホームグラウンドで、より大きな活躍を見せているのではとのAFPの質問に、小林さんは事を荒立てないよう慎重に言葉を選びながら、次のように答えた
「日本人を受け入れ、活動の場を提供してくれたフランスには感謝している」
そして、日本人の料理人がフランスの伝統の中で150年近く訓練を受けてきたことにも触れた。
事実、小林さんは新進フランス料理ヌーベル・キュイジーヌのパイオニア、アラン・シャペル(Alain Chapel)氏のドキュメンタリーを見たことをきっかけに、父親と同じ料理の道を歩むことを決心したのだという。小林さんの父親も料理人だ。
■「お見事と言うしかない」
小林さんのレストランについては、料理界の最高目標である三つ星を得るのに十分な気品が備わっていないとの見方を示すフランス人美食家もいる。しかし、ミシュランガイドの「最大の敵」でさえも、ミシュランの調査員らの審査は適性だったとの考えを示している。2019年に三つ星から二つ星に格下げされミシュランを訴えた、いわゆる「チェダーゲート(Cheddargate)」事件で知られる著名なフランス人シェフ、マルク・ベイラ(Marc Veyrat)氏だ。
ベイラ氏は小林さんについて、「お見事と言うしかない」と述べ、「小林さんのような人がここにいるのは素晴らしいことだ」と述べている。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200130-00000019-jij_afp-int&p=2
【翻訳編集】 AFPBB News
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