イヤホンじゃない、耳に入る“スピーカー”!INAIR「M360」の新感覚サウンドに驚いた

 
 
ファイルウェブ編集部
 
 
これまでの “イヤホン” とは一線を画する、 “インエアー方式イヤースピーカー” 「M360」をご存知だろうか。日本発の音響ブランド「INAIR」が開発したこのモデルは、GREEN FUNDINGでのクラウドファンディングにて、45日間で38,781,940円を調達。ポータブルオーディオイベントにも積極的に出展し、注目を集めている。


「M360」(有線モデル・12,100円/税込)


これまでの製品ジャンルにとらわれず、ゼロから創り出したというM360のコンセプトは、「スピーカーのように、開放的」「ヘッドフォンのように、ダイナミック」「イヤホンのように、小さく軽量」というものである。

従来のイヤホンとは構造がまったく異なる製品とのことだが、具体的には何がどう違うのだろうか。それを確かめようと、今回、編集部スタッフ3名が実際に製品を体験した。


編集部のイヤホンマニア成藤(左奥)、ハマり中の川田(左手前)、新人の杉山(右)でINAIRの魅力を語り合った


“世界最小のスピーカー” は “新感覚” だらけ

成藤 今回取り上げるINAIRの「M360」シリーズ(有線モデルの「M360」、Bluetooth接続モデルの「M360bt」)、自分は前から気になっていたんですよ。イヤホン好きの自分ですが、これはイヤホンではなくスピーカーを出発点として開発が進められた、 “新しいタイプのサウンドデバイス” 。違いを知りたかったんです。


Bluetooth接続モデルの「M360bt」(19,800円/税込)


川田 「スピーカーをどんどん小さくしていく」設計思想で開発されているんだよね。どこでもスピーカーサウンドが楽しめるように、外に持ち運べて、しかも周りを気にしないで聴ける形を追求したら、イヤホンサイズの “世界最小のスピーカー” になったという。


有線/Bluetoothモデルともにシルバーもラインナップ


杉山 それを実現するのが「インエアー方式」と聞きました。自分は入社してまだ数ヶ月、この方式を知らなかったのですが、どういったものなんでしょう?

成藤 知らなくて普通かも。だってこれ、INAIRの独自技術なので。普通のカナル型イヤホンはドライバーユニットの音を音道管を通して耳に届けるけど、インエアー方式は音道管がなく、スピーカーユニットの音をダイレクトに耳の中に広げていくイメージ。オーディオでも、スピーカーの前を遮るように物は置かないですよね。その発想から生まれた方式だそうです。


M360シリーズは「インエアー方式」という独自構造を採用。6mm径のスピーカーユニットが耳の穴に入り込むようなデザインとなっている


杉山 そう言われると納得しますね。スピーカーの音を邪魔するものを間に置かない方が良いというのは、僕でもわかります。

成藤 このインエアー方式を成り立たせているのが、「AIR TUBE woofer Technology」と「インエアーキャップ」。まずAIR TUBE woofer Technologyの方ですけど、スピーカーユニットをAIR TUBEと呼ばれる透明なチューブパーツで包むことで音漏れを抑制しつつ、チューブ内で音を共鳴させて360度に音を響かせる技術です。これによって、音道管を用いないことのデメリットとなる低音の弱さを補い、逆に音道管ではこもりがちになる低音を明瞭に再現するというメリットにもなるんです。


M360の構造イメージ。スピーカーユニットを包む透明な “AIR TUBE” が技術的特徴の1つ


川田 インエアーキャップを外したら、すぐにAIR TUBEに包まれたスピーカーユニットが見えるのは、これまでのイヤホンとまったく違うところだよね。

成藤 そのインエアーキャップはシリコンや低反発素材ではなく、柔らかいスポンジ素材なんですが、これはスピーカーユニットから発する音をなるべくそのまま出すために選んだそうです。あとこれは、「耳内宙空にスピーカーを浮かせる」というM360のコンセプトを実現するのに、とても重要。耳に入れたインエアーキャップがだんだん耳の形に馴染んでくると、ふわりとした装着感と相まって、着けていることを忘れてしまって、まさにスピーカーで聴いているような感覚が得られました。


ソフトスポンジ素材のインエアーキャップのつけ心地はフワフワ。耳に負担がまったくかからない


川田 分かる! 長い時間着けていてもぜんぜん耳が疲れないよね。それに、普通のイヤホンだとイヤーピースのサイズがうまく合わなくて耳にフィットしないことがあるんだけど、M360はスッと耳に収まってくれた。これなら女性とか、耳の穴が小さい人でも無理なく着けられると思うな。でも、着けるのにコツがいるから、最初だけ、しっかり着け方を知っておきたい
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
正しい装着方法で “インエアー方式” の本領発揮

成藤 M360は特殊な構造を採用することで、ハウジングのサイズが極めて小さいですし、インエアーキャップは1サイズ展開ですが、スポンジなので耳に負担を掛けずに装着できますよね。でも特殊な構造だからこそ、普通に着けたら真価が発揮できない。

杉山 最初は普通のイヤホン感覚で、耳に押し込んで聴いてみたんですけど、低音がちょっと弱いかな? と思ったんです。

成藤 M360の音響特性を正しく得るには、装着も正しく行う必要がありますからね。流れとしては、耳を引っ張りながら、中指でM360をグッと押し込む。そして耳を引っ張っている指をパッと離して、その後にM360を押し込んだ中指をゆっくり離す。これでOKです。公式で装着方法を示した動画も公開されていますね。
 



杉山 コツがいるように思えますが、実際にやってみると難しくはないので、これからM360を聴くときにはぜひ実践して欲しいです。この装着方法を試したら、一気に低音のバランスが良くなりました。


左が誤った装着方法。ボディが外を向いており、この状態だと低音が出ず、耳から外れやすい。右が正しい装着方法で、ボディ全体が耳にすっぽりと収まっており、“インエアー方式”の本領が発揮される


川田 インエアーキャップは独自イヤーピースだけど、交換用(1,507円・税込/8個入り)として単売もされているから、汚れたり、なくしてしまったりしても安心なのも嬉しいよね。


イヤホンにはインエアーキャップが3セット付属。単売製品としてもは8個入り(4セット)を用意している


成藤 公式サイトでは、「皮膚や骨まで振動を伝えることで、豊かなベース音を再生」すると説明されています。最適なポジションに装着すれば音を響かせる空間も最大限に確保できますし、よりスピーカーらしい聴こえ方になる。これがM360の本当の音ですね。

普通のイヤホンでは考えられない、音の広がり

杉山 M360は、これまでイヤホンで体験したことのない聴こえ方だったので驚きました! ボーカルや楽器の位置関係がめちゃくちゃわかりやすくって、演奏している空間を目で見ながら聴いているみたい。低音はさっき言ったようにバランスが良く、ブンブンいわせるようなイヤホンというよりは、音楽に必要十分な低音をはっきり、モニターライクに出してくれる印象ですね。


自身でギターを弾き、メタル系に精通する杉山も、低音の聴こえに満足


川田 低音というと分厚い、迫力ある、みたいな表現をされることが多いけれど、M360の低音はクリアで、解像度の高い音という感じです。

成藤 音作りの傾向は名門中の名門と呼べる電気機器メーカー、ウェスタン・エレクトリックのスピーカーの影響が大きいそうです。低音をガツンと出すのではなく、くっきりと描写するのはまさにメーカーの狙い通りですね。

杉山 あと、 “スピーカー” という名前ではありますが、普通に使っていて音漏れはほとんどないですね。それに、それなりのボリュームであれば、外音取り込み機能付きモデルのように、周りの音を聞きながら音楽も十分に楽しめます。

川田 耳をふさがないイヤホンやヘッドホン、という製品もあるけど、M360は耳をふさいでいるけどふさいでいない、みたいな聴こえ方。何も耳に着けていないときに、空気を伝わって聴こえてくる音のようにすごく自然に感じられると思う。アコースティックな演奏とか、その場の空気感が大事なライブ音源とかにすごくマッチしそう!


小さめのイヤホンでないと耳が痛くなるという川田も、その柔らかい装着感に驚いた


成藤 自分もこれまで数多くのイヤホンを聴いてきましたが、M360は普通のイヤホンではないですね。スポンジをかぶせた見た目はインナーイヤー型にそっくりなのですが、正しく装着した時の収まり方、低音の出方、なにより音の広がり方がまったく違います。 “見通しの良さ” とでも言えばいいでしょうか。一度にたくさんの音色が重なっても混ざらず、普通なら埋もれてしまう楽器の音まで心地よく届きます。 “インエアー方式” というまったく新しいジャンルを提唱する理由が、音を聴いたら納得できました。


数々のイヤホンを試聴してきた成藤も初めて体感したというサウンド

 
◇ ◇ ◇


このように、M360シリーズは “モバイルできるスピーカー” にふさわしい仕上がりを実現したモデルだ。有線モデルを愛用するポータブルオーディオプレーヤーなどと組み合わせるのも、aptXに対応するBluetoothモデルで便利なワイヤレス再生を楽しむのも良い。どちらも、広がりある “スピーカーサウンド” に変わりはない。


M360を耳にした全員が、これまでのイヤホンとはまるで違う新感覚の “スピーカーサウンド” を体験した


イヤホン専門店のeイヤホンやヨドバシカメラ、ビックカメラ、東急ハンズ(渋谷店)などの家電量販店での取り扱いも開始された。今後のポータブルオーディオイベントにも出展を予定しているというので、この未知のサウンドが気になる方は、ぜひ一度、その耳で体験してみて欲しい。

最後に、M360を使用したユーザーの生の声をお届けしたい。

コメント1
適切な装着に多少のコツが必要ですが、筐体を耳の窪みにしっかりと密着させた際に聴けるサウンドは、ほかのどのイヤホンとも違うもので驚きました。 包み込まれるような圧倒的な空間表現! 変な強調感がなく、極めて自然ながらもしっかりとメリハリも感じられるサウンドチューニングの絶妙さには脱帽です。アコースティック系の楽器や女性ボーカルなどは生々しさというか、臨場感がエグい!

コメント2
音場が広く、自然に広がっていく感じが心地いいです。解像度も悪くないと思いますが、ボーカルの刺さりが気になります。 装着にはコツが必要で、難易度がやや高いですが慣れれば問題無いですね。圧迫感がなく着け心地は良いです。

コメント3
初めてこのイヤホンを使ったのですが、音の広がりが素晴らしいのでもうお気に入りです。 装着感が良くて耳に付けた状態に慣れてくると没入感がすごい高まります。 イヤホンなんだけどイヤホンじゃないのが、とても不思議な感覚でした。

INAIR 開発元:&COLOR INC.
(特別企画 協力:株式会社ムロコーポレーション