コンセプトですが、

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日産インフィニティの販売店が「テスラ3」を売ったワケ

12/11(水) 12:17配信

Wedge

 

 

 

 

 

 

 

 

これぞ究極のカスタマーサービスなのか、それともディーラーとしては大きな裏切りなのか。カナダのケベック州にある日産インフィニティのディーラーで、ちょっと考えられない顧客へのデリバリーが行われた。

 インフィニティ・ディーラーが顧客に販売した車、それはテスラモデル3。この顧客は長年インフィニティブランドの車を買い続けたロイヤリティの高い顧客だったが、 EVに興味があり購入したい、という相談を受けたという。しかしインフィニティブランドにはEVは今のところ存在しない。そこで考えた末に、テスラモデル3をインフィニティを通して販売したのだという。

 

 インフィニティというのは日産の上級ブランド、トヨタレクサス、ホンダのアキュラなどと同じで、ライバルとなるのはBMWメルセデスアウディなどになる。日産にはリーフというEVが存在するものの、インフィニティブランドとしてはEVのラインナップがない。この顧客はインフィニティブランドにこだわっていたため、提供できる車がなかったのだ。

 これは日本車がラグジュアリーセグメントでのEV導入に遅れを取っていることを意味する。ライバルとなる欧米メーカーはすでにジャガーも含め、EVオプションを提供しているためだ。インフィニティでは2021年にQXの名前でEVのSUVを発表する予定なのだが、この顧客はそれまで待てなかった、ということらしい。

インフィニティのディーラーでテスラモデル3を受け取り喜ぶ市長

 実はこの顧客、ケベック近郊のシャーブルックという市の市長なのである。そのため、このディーラーでは「インフィニティのディーラーでテスラモデル3を受け取り喜ぶ市長」の写真をフェイスブックに投稿、大きな話題となった。一応ここでは「インフィニティのEVが登場する21年までのつなぎとして、我々と市長が最も満足できる方法を見つけ出した」としており、QXが発売になれば市長が乗り換える可能性を示している。ただしEVとしては実績があり、自動運転機能も充実させているテスラを市長が気に入って手放さない可能性もある。

 実はカナダではこうした例は割によく見られるのだという。話題のEVに乗り換えたい顧客に対し、ディーラーが独自にテスラ車を購入してそれを顧客に販売する、という方法だ。別にテスラが欲しければオンラインで購入できるのだが、テスラショップが近くにない、やはりディーラーで買ってアフターケアをしてもらうほうが安心、など様々な理由であえてディーラーを通してテスラ車を買う顧客というのは存在するらしい。

 しかし今回のことが大きく取り上げられたのは、それがインフィニティという価格帯としてはテスラとライバル関係になるラグジュアリーメーカーが、「自分たちのブランドにはEVがない」ことを認め、しかもそのデリバリーの模様をフェイスブックで大々的に発表した、ということだろう。

 ただし疑問は残る。なぜこのディーラーは同系列である日産リーフを勧めなかったのか? 日産ではラグジュアリーブランドを求める顧客を満足させられなかったからなのか、それとも顧客が品質、評判などからテスラを好んだためなのか

 

 

 

日本と欧米でのEVの考え方の違い

 ここで浮き彫りになるのが、日本と欧米でのEVの考え方の違いだ。日本のメーカーが発表するEVはどちらかというと街乗り目的の小型車が多い。リーフ、トヨタのミライなどを見てもわかるように、EVのラグジュアリースポーツカーというのはまだ存在しない。一方で欧米のものは一部シボレーボルトのような例外はあるが、どちらかというと価格の高い、高デザイン、高スペック、高価格のものが多い。

 EVというとまだまだガソリン車に比べて割高だが、そこを逆手に取ってラグジュアリーカーとして売り出すのが欧米のやり方なのに対し、日本のメーカーはEVの継続走行距離に不安がある、という点から街乗り用の小型に特化している感がある。EVの手軽な使い方としては正しいような気もするが、テスラモデル3は継続走行距離が300キロ以上に達しており、街乗りの手軽さとデザイン性、高級感を満たしている。

 一方で日本の狭い道路を考えれば、1人または2人乗りの小型EVが今後ヒットする可能性もないことはない。

 正解はないのだが、テスラがサイバートラックを発表して話題になったように、EVもこれからはフルラインナップの時代だ。小型車からミッドサイズ、スポーツカー、SUV、ピックアップ、と様々なEVが市場に出始める。日本の技術力があればすぐに追いつけるのかもしれないが、世界的にEVに向かう潮流の中でやや出だしが遅れている、という感は否めない。今回のインフィニティディーラーの話題はまさにそれを象徴しているのではないだろうか。

土方細秩子 (ジャーナリスト)

 

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191211-00010001-wedge-n_ame&p=2