愛知県豊田市で23日、68歳の女性がクマに襲われけがをするなど、クマによる被害が相次いでいます。もし遭遇してしまった場合、対策の1つは「死んだふりをしないこと」だそうです。

 

パトカーのすぐ横に…新潟県では2人が襲われる

「あっ!クマがいた」(撮影した視聴者)

 19日の朝、新潟県魚沼市の食品会社の敷地に、パトカーがクマを追いつめた様子です。付近の住民が撮影していました。

 この場所で発見される前、クマは250mほど離れた自動車販売店で、2人の男性従業員を襲っていました。

 

「車の警笛とかを鳴らして、外に人がいたので『家の中に入ったほうがいい』と話をした。クマは素早くて、川をだだっと駆け上がっていった」(自動車販売店の同僚)

 クマは駆け付けた猟友会に射殺されました。体長135cm、5~6歳のオスでした。

 

山形県では夜の住宅街を疾走する姿が…

「えっ!?クマ!」(撮影した視聴者)

 一方、山形県鶴岡市では、20日の午後10時過ぎ、友人とドライブ中だった男性が歩道を走るクマを発見しました。

 私たち人間の生活圏に、クマの出没が相次いでいるのです。

 

愛知県では女性が襲われけが

 クマに襲われる被害は愛知県でも…

「女性はこの辺りでクマに襲われたということです。クマに注意を呼びかける看板が設置されています」(記者)

 23日午前8時ごろ、豊田市加塩町で、側溝の掃除をしていた女性(68)が、ツキノワグマとみられるクマに襲われました。右肩を引っかかれけがをしましたが、命に別状はありませんでした。

「イノシシやシカはよく出ますけど、クマは初めてです。いつ出てくるかわからないし、本当に怖いです」(近くの住民)

 

 

クマよけスプレーを持った警察官が警戒

 近くの小学校では、校庭で行う体育の授業が中止になり、警察官はクマよけのスプレーを手に警戒にあたっています。

 学校からの要請を受け、保護者は学校まで子どもを迎えにきました。

「早速鈴を買ってきて、カバンにつけています」
「外で遊ばせるのは怖いなと思う」(保護者)

 

 

 

 

 

 

 

翌日にも周辺で目撃情報

 女性が襲われたのが23日朝。それから1日以上が経過した、24日午前10時ごろ、約3.2km離れた場所でクマの目撃情報がありました。

 豊田市によりますと、道路管理のため車でパトロールをしていた男性が1頭のツキノワグマを目撃、山に逃げていくのを目で追ったところ、子どもとみられる2頭も目撃したということです。

 

 

今年は木の実が少なく人里に

 市の職員が現場を確認しに行ったところ、クマのものとみられる足跡などが発見されました。

 クマの生態に詳しい岐阜大学の浅野准教授によると、今年は特にクマの出没に注意が必要だといいます。

「冬眠前のツキノワグマは、えさ資源としてブナやドングリといった実を食べますが、今年は全国的に実りがよくなくて、その影響で人里により出て来やすくなっています」(岐阜大学 応用生物科学部 浅野玄准教授)

 

 

岐阜県高山市 観光地に近い公園にも出没

 そして、観光地でも…

 岐阜県・高山市の「城山公園」。観光客でにぎわう古い町並みからも近く、紅葉の名所としても知られています。

「葉が色づき始めた、高山市内の公園です。紅葉の名所として知られるこちらの場所で、今年の7月、クマが目撃されました」(記者)

 

 

高山市の目撃情報は去年の倍の300件以上

 7月の目撃情報を受けて高山市は、全ての入り口17カ所を4年ぶりに閉鎖し、約1カ月半、立ち入りを禁止しました。

 高山市内では春からの目撃情報が、去年の倍にあたる300件以上寄せられています。

 19日にも、40代の男性が、クマに襲われ重傷を負うなど、人身事故が5件起きています。

 市の対策は?

「クマが出てから『クマ出没注意』の看板を、約15カ所設置しました。害外国の方(旅行客)も利用する公園なので、英語や中国語でも表記しています」(高山市 都市計画課 桑原将史主査)

 

 

 さらに公園内に一斗缶を置いて、音を鳴らしてクマに用心させるようにしています。

「クマ対策にラジオを聴きながら歩いている。人の会話を聞くと、クマは寄ってこないというので、1人なのでラジオを流しながら歩いている」(毎日散歩に利用している男性)
「スマホにクマの目撃情報が頻繁に入る。夜には近づかないようにと思っている」(主婦)

 高山市は市民向けのメール配信に加えて、観光客には、市のホームページで情報を確認してほしいと話しています。

 

 

 

 

 

 

クマに遭遇しないための対策は?

 クマに遭遇しないためにどうしたらいいのか、クマの生態に詳しい岐阜大学の浅野玄准教授に伺いました。

 やはり音が大事だといいます。鈴やラジオを鳴らす、あるいは複数人で入るなどして、人の存在をクマに先に知らせることで、近づいてくるのを防ぐことができます。

 

 

もし遭遇してしまったら…「死んだふり」は通用せず

 もし、クマに遭遇してしまったら、どうすればいいのでしょうか。

 浅野さんによると、その場で倒れる、いわゆる「死んだふり」作戦は通用しません。

 「死んだふり」をしたとしても、攻撃してこないとは言い切れないからです。
   
 クマは人よりも走るスピードが速いので、走って逃げるのは危険です。

 大切なのは、クマの行動をしっかりと見ながら、興奮させないようにゆっくりと離れることだそうです。

 

 

襲われた時 身を守る姿勢は?

 万が一、襲ってきた場合、唐辛子を含んだクマよけスプレーを顔めがけて噴射するのが効果的だといいます。

 スプレーを持っていない時に襲われそうになったら、うつぶせになったり、しゃがんだりして、下を向いて首を手で覆う「身を守る姿勢」を取ります。そうすると、首や顔といった急所は最低限守ることができるということです。クマは必要以上に人を襲うことがないので、最初の1撃を防ぐことが大事だということです。

 ただ、一番大事なのは、遭遇する前にしっかり対策しておくことだということです。各県のホームページで公表されている出没情報を事前に確認して、情報があればそこに出かけるのを控えましょう。

 

 

 


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