独HIGH ENDで聴いた「特別な音」<1> レコードプレーヤー
「AirForce Zero」異次元サウンドの衝撃
山之内 正
HIGH ENDはレコード再生の殿堂というべきイベントで、その傾向は年々強まっている。真空管アンプでLPを鳴らしたオクターブもそうだが、ターンテーブルの領域で今年の頂点をきわめたのは「AirForce Zero」をドイツで初公開したTechDASである。同社の西川氏が秘蔵のレコードを再生しながら独自技術を紹介するプレゼンテーションはミュンヘンの会場でも大変な人気を呼び、関心の強さは日本以上かもしれない。
丸一日かけてセッティングしたというAirForce Zeroから出てくる音には微塵の揺らぎもない。盤に針を落とした瞬間から異次元の静寂が聴き手を釘付けにし、普通ならあり得ないほど音量を上げてもうるさく感じることがない。デューク・エリントン・オーケストラのライヴ録音は生演奏さながらの音圧でホーン楽器が飛び出し、オテロでデズデモーナが歌うアヴェ・マリアの消え入るような弱音に息を呑む。「LPレコードからここまで広いダイナミックレンジを引き出せるとは思ってもみなかった」。その場にいた全員がそう感じていることが表情から読み取れた。
丸一日かけてセッティングしたというAirForce Zeroから出てくる音には微塵の揺らぎもない。盤に針を落とした瞬間から異次元の静寂が聴き手を釘付けにし、普通ならあり得ないほど音量を上げてもうるさく感じることがない。デューク・エリントン・オーケストラのライヴ録音は生演奏さながらの音圧でホーン楽器が飛び出し、オテロでデズデモーナが歌うアヴェ・マリアの消え入るような弱音に息を呑む。「LPレコードからここまで広いダイナミックレンジを引き出せるとは思ってもみなかった」。その場にいた全員がそう感じていることが表情から読み取れた。