あれだけ、切磋琢磨して、

頑張って、

過重労働して、

たったの

売上高21.5億円、営業利益3.6億円


「厳しい事業です」

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あのSKE48に買収価格「30億円」の価値はあるか

4/6(土) 5:00配信
東洋経済オンライン
 SKE48事業に対する買収価格は30億円――。

 2018年10月5日に結成10周年を迎えたSKE48。だが、名古屋・栄を拠点に活動するこの女性アイドルグループに激震が走ったのは、それからまもない11月13日のことだった。

【写真】SKE48のセンターには松井珠理奈がやっぱり似合う

 というのもSKE48はメンバーやスタッフごと、AKB48や姉妹グループ(SKE48、HKT48、NGT48)の運営会社AKSから、KeyHolder社(ジャスダック上場)に事業譲渡されることが発表されたからだ。譲渡価格は何と30億円!  これをキャッシュで支払った。
 同時に開示されたSKE48事業は、2017年11月期実績で、売上高21.5億円、営業利益3.6億円と、ガラス張りで開示され、業界関係者の間では「高い」という評価がもっぱらなのだ。

■売上高21.5億円、営業利益3.6億円もガラス張り

 SKE48を買った持ち株会社のKeyHolderは2019年1月、事業の受け皿となる芸能プロダクション子会社として、株式会社SKE(SKE社)を新設した。つまり当面はSKE48のことのみを手がける会社である。
 「会社名もグループの名前になり、親しみがあります。まだ始まったばかりなので実感は正直ないですが、イチから作り上げる楽しみがあります。気持ちも新たにいろんなことに目を向けて、より一層がんばっていこうと思います」

 新会社への移管後、SKE48のキャプテンである斉藤真木子が64人いる現メンバーを代表して、寄せたコメントだ。3月1日からはSKE社による運営が始まり、これから新たな門出に臨むということだろう。
 実はKeyHolderは、多数の買収によって総合エンタメ企業になりつつあり、その分、グループが複雑な構成になっている。2020年3月期のKeyHolderグループの体制について整理してみたい。

 持ち株会社KeyHolderは傘下に、SKE社、広告代理店オルファスのほか、有力なテレビ番組制作会社を2社持つ。人気番組「マツコの知らない世界」(TBS)や「林修の今でしょ! 講座」(テレビ朝日)を制作するKeyProduction社と、「有吉ジャポン」(TBS)を制作するフーリンラージ社だ。



また旧スタジオアルタ運営のKeyStudio社は、「笑っていいとも!」(フジテレビ)時代からの知名度を生かし、秋元康プロデュースのオーディション番組(テレビ朝日)から誕生した「ラストアイドル」の定期ライブなど、ほぼ毎日イベントを開催している。さらに秋元や弟の伸介らが出資するFA Project社は、乃木坂46を卒業したばかりの西野七瀬をキャラクターに起用したカラーコンタクトレンズを、今春投入する予定だ。
 KeyHolderグループの下、新たなSKE社は”事業”としてのSKE48を、どう活用していこうというのか。その指揮を執る赤塚善洋社長は、実は業界では知る人ぞ知る、名うての仕掛け人だ。

 作曲家やスポーツ選手のマネジメントを経験し、短いながら一時期、エイベックスに在籍したこともある。エンタメ寄りの広告代理店としてオルファスを立ち上げた(SKE社もオルファスも赤塚社長が兼任)。

 そのオルファスで2015年に電通と共同で企画したのが、「セブン-イレブン×乃木坂46フェア」である。累計600万ダウンロードを突破した乃木坂46の公式ゲームアプリ「乃木恋」の制作・配信も手がけた。まさか、乃木坂46のキーマンがSKE社の社長に就くとは、双方のファンもびっくりしたに違いない。
 総合エンタメを目指すKeyHolderグループは、必要に応じて、さらなる買収の可能性もにおわせており、その動向に注目が集まっている。その意味で、これから大きなカギを握るであろう、SKE社の赤塚社長を直撃した。

■「私がKeyHolderと秋元康の橋渡しをした」

 ――最近、SKE48のエースである松井珠理奈が自らのグループを描いたドキュメンタリー映画で、「ウチらが戦うのはもうAKBじゃない、乃木坂だから」と乃木坂46に対するライバル心をあらわにした発言をし、話題になりましたが。
 いやいや、私は乃木坂さんの成長過程の一部に、仕事として携わってきただけなので。しかしそれは私の財産となっています。まず、KeyHolderが旧スタジオアルタを借り、KeyStudioという会社を作った。2018年7月から営業を始める過程で、オルファスがスタジオ運営の業務委託を受けたのが始まりです。

 KeyHolderの親会社である金融会社Jトラスト(東証2部上場)の藤澤信義社長と、「KeyStudioから新しいコンテンツが生まれていくと面白い」という話をしていました。オルファスは乃木坂46関連の仕事を通して秋元先生や弟の伸介さんにお世話になっていたので、コンテンツを生み出す相談をしたところ、KeyHolderグループと秋元先生の関係が生まれました。




――つまりKeyHolderグループ、その親会社Jトラストの″総帥″である藤澤氏と秋元氏の橋渡し役をしたのは、赤塚社長だったのですね。

 1年くらい前でしょうかね。そのときにはSKE48の話はまったくなかったです。その後、運営会社AKSと話す機会が増え、藤澤社長がたまたま(SKE48の地盤である)岐阜出身だったこと、名古屋周辺の土地柄なのか、メンバーとの関係が密接でファンのロイヤルティーが高い点も重要なポイントになり、譲渡の話がまとまりました。
 ――SKE48のファンのロイヤルティーの高さは、名古屋発祥の「カレーのココイチ」のキャンペーンもあり、企業が注目しています。最近では昨年11月、イオンカードが男性顧客を開拓する目的で、SKE48という初めてアイドルを起用した提携カードを投入しました。こうした土地柄も関係ありますか。

 最終的に大きかったのは、SKE48のメンバーに個性が備わっていて、AKB48グループでも最も輝いている子たちが多い、と個人的に感じていたということでした。面白い輝き方をしている、と言ってもいいかもしれません(笑)。
 ――KeyHolderは2018年3月期に主力のゲームセンター運営事業を売却、2019年3月期に不動産事業で食いつなぎ、2020年3月期に向けて総合エンタメ企業へ脱皮している最中。赤塚社長がJトラストの藤澤社長やAKSの吉成夏子社長(パチンコメーカーの京楽産業.グループ出身)と出会い、SKE48をKeyHolderグループにおける総合エンタメの核として引き受けたわけですね。京楽グループとしても10年前の立ち上げから手塩にかけて育てた“愛娘”を手放すのは大きな決断だったと思います。
 はい。2018年の8月ごろから話し始め、11月には発表しましたが、なかなか苦しい選択だったと思います。その思いはわれわれもしっかり受け継いでいきたいと思っています。

 ――しかし、SKE社とオルファスの社長業を兼務ということで、乃木坂46や韓国女子アイドルグループのTWICEの仕事もしながらSKE48の舵取りもするというのは、大変そうですが大丈夫ですか。

 SKE48は規模もそれなりに大きい。SKE社長もオルファス社長も続けるので、最初にJトラストの藤澤社長から頼まれたときは躊躇の念もありました。ただ、所属レコード会社が私の古巣のエイベックスだったことは、決断の決め手になりました。いまだにお世話になっている会社で、CD販売以外にもいろいろな提携ができると思いました。エイベックス社内にはSKE48のメンバーへの思い入れを持ち、彼女たちの個性をよく把握している人も多いので、力になってもらえると信じています。




――確かにSKE48には須田亜香里や松村香織のような、個性とそれをアピールする力でのし上がってきたメンバーが多い。その生き様に魅力を感じたファンたちが、彼女たちを支え、押し上げてきたと言えます。

 そういう個性って、われわれがああだこうだ言って、芽生えるものではないです。もともと生まれ持ってきたもの、身につけてきたものだと思います。今のファンのみなさんは、アーティストの名を冠した商品を作っても、そこに信憑性がなければ見抜いてしまいます。「やらされている感」は見抜かれてしまうんです。そういう意味で、SKE48のメンバーは個性があって面白い子が多いので、いろいろやりがいがあると思います。
■劇場は名古屋・栄のままで変わらない

 ――SKE社は本社が東京・虎ノ門ですが、名古屋が拠点なのは変わらないのですか。「名古屋から出ていってしまう」と心配するファンの声をよく聞きます。

 SKE48劇場も名古屋・栄のサンシャインサカエから変わりません。3月から、われわれが運営させてもらうにあたって最も意識するのは、地場の企業や媒体との連携をしっかりと築いていくことです。1年目はそこを固め、ゆくゆくは日本全国、アジアへと展開させたいですね。48グループの強みは地域性だと思っています。
 ――上場する芸能マネジメントの会社は、エイベックスとアミューズくらいで、ホリプロや吉本興業は上場廃止しました。SKE48が主要事業となることで、数字がガラス張りになるが、不安はないですか。

 上場は最大の武器にもなりますが、同時に細心の注意も払わなければいけません。そこはKeyHolderグループの管理部門と連携しながらやっていきたい。もっとも、情報化が進んだ今の社会では、われわれがきちんと管理できていることも発信しやすくなるので、武器にもなります。法に触れないことを前提に、なるべく自由にしていきたいと思っています。まずはスタッフのコンプライアンスに関する意識の統一を図ることが必要です。




――秋元康・特別顧問はKeyHolderの総合エンタメ化戦略にどのように関わってくるのでしょうか。

 どう関わっていただくかは、われわれがメンバーとも相談する中で、提案や企画をどんどん上げ、アドバイスをいただく形になるでしょう。KeyHolderグループでいえば、SKE48だけではなく他のエンタメ分野も広げていくので、そちらも相談します。

 ――乃木坂46はメンバーが卒業後も同じ事務所がマネジメントしている。そういうことを想定しているのでしょうか。あるいはほかのアイドルユニットや別種のタレントもマネジメントするとか。
 卒業メンバーのマネジメントもありえますし、いい意味でSKE48のメンバーを刺激できるような別のアイドルグループを作っていくかもしれません。売れることも大事ですが、息の長いアーティスト活動をしてもらうことのほうが大事だと、考えています。

 (文中敬称略)
竹内 一晴 :ジャーナリスト