死因の特定に向けた体制の充実を図るための「死因究明推進基本法案」を、超党派の議員グループが大筋でまとめた。乳児らへの虐待など犯罪の見逃しを防ぐだけでなく、災害や事故による死因を特定し、その後の対策に生かすことを目的とした。議員立法で、今国会への提出を目指す。
死因究明を巡っては、「病死」と誤って判断された2007年の大相撲時津風部屋・力士暴行死事件をきっかけに死因究明推進法が12年に成立した。だが時限立法だったため、14年に失効している。
今法案では基本理念として、推進法が目指した犯罪の見逃し防止に加え、災害や事故の場合も死因究明が被害拡大や再発の防止に寄与すると明記した。例えば交通事故死で、原因が運転ミスなのか、持病の発作なのか死因を究明すれば突き止められる。同様の事故による被害の拡大防止に向けた対策や、医学的な情報を集めて再び災害や事故が起きた際の「次の医療」に役立てることを狙う。
死因究明を国と自治体の責任とし、死因究明の専門機関の整備を全国で進める。さらに、大学や医療機関、警察などが連携して死因を究明する「死因究明推進地方協議会」の設置を都道府県の努力義務とした。時限立法でなく、恒久法とする。
死因の究明には解剖が最適だが、遺体を傷つけることに遺族の抵抗感は大きい。また解剖医は私立大の医学部が集中する都市部に偏在しており、地方では体制が整っていない。このため、国はコンピューター断層撮影(CT)装置や磁気共鳴画像化装置(MRI)で遺体を撮影する死亡時画像診断(Ai)の活用を打ち出している。法案が成立すれば、自治体が医療機関にAi導入の補助金を出す際、予算の確保を後押しすることができる。
乳児らが死亡した場合、死因究明できないと「乳幼児突然死症候群(SIDS)」に分類される。Aiであれば親も断りにくく、虐待死の見逃しを防ぐ効果も期待される。
法案に携わる議員は「『死因不詳』を少しでも減らすことが、次の世代の安全につながる」と話す。【酒井雅浩】
◇死因究明推進基本法案の骨子
・死因究明を災害や事故、犯罪の被害拡大や再発の防止に役立てる
・死因究明の専門機関を全国に整備する
・死因究明で得られた情報を共有し、活用する体制を構築する
・施策を検討、評価する「死因究明推進地方協議会」の設置を都道府県の努力義務とする
死因究明を巡っては、「病死」と誤って判断された2007年の大相撲時津風部屋・力士暴行死事件をきっかけに死因究明推進法が12年に成立した。だが時限立法だったため、14年に失効している。
今法案では基本理念として、推進法が目指した犯罪の見逃し防止に加え、災害や事故の場合も死因究明が被害拡大や再発の防止に寄与すると明記した。例えば交通事故死で、原因が運転ミスなのか、持病の発作なのか死因を究明すれば突き止められる。同様の事故による被害の拡大防止に向けた対策や、医学的な情報を集めて再び災害や事故が起きた際の「次の医療」に役立てることを狙う。
死因究明を国と自治体の責任とし、死因究明の専門機関の整備を全国で進める。さらに、大学や医療機関、警察などが連携して死因を究明する「死因究明推進地方協議会」の設置を都道府県の努力義務とした。時限立法でなく、恒久法とする。
死因の究明には解剖が最適だが、遺体を傷つけることに遺族の抵抗感は大きい。また解剖医は私立大の医学部が集中する都市部に偏在しており、地方では体制が整っていない。このため、国はコンピューター断層撮影(CT)装置や磁気共鳴画像化装置(MRI)で遺体を撮影する死亡時画像診断(Ai)の活用を打ち出している。法案が成立すれば、自治体が医療機関にAi導入の補助金を出す際、予算の確保を後押しすることができる。
乳児らが死亡した場合、死因究明できないと「乳幼児突然死症候群(SIDS)」に分類される。Aiであれば親も断りにくく、虐待死の見逃しを防ぐ効果も期待される。
法案に携わる議員は「『死因不詳』を少しでも減らすことが、次の世代の安全につながる」と話す。【酒井雅浩】
◇死因究明推進基本法案の骨子
・死因究明を災害や事故、犯罪の被害拡大や再発の防止に役立てる
・死因究明の専門機関を全国に整備する
・死因究明で得られた情報を共有し、活用する体制を構築する
・施策を検討、評価する「死因究明推進地方協議会」の設置を都道府県の努力義務とする