私も、従業員が、「咳」ををしたら、


鼻声だったら、


「FLU」(インフルエンザ)かどうか聞きます。

「フルー」だったら、即、その場で、帰宅させます。

わたしなんか、90%、即、もらいます。

本当に、迷惑です。




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ドイツでは職場で風邪がバレたら、上司に呼び出され自宅へ強制送還…

1/25(金) 18:02配信
クーリエ・ジャポン
こんにちは! ミュンヘンの、アヤノです。

みなさん、お正月のお休みはいかがだったでしょうか。松の内が過ぎ、七草粥を食べたと思ったらもう成人式があって……。学生の方は、受験シーズンに突入しますし、日本の1月は本当に駆け足で過ぎていきますね。

まさに、昔の人が言ったように「1月は往ぬる」。この1月特有の慌ただしさは、理由や様子が多少違っても、ドイツに住む我々も同じです。

多くの人がクリスマスから新年にかけて休暇を取得するので、滞った仕事を片付けたり、同時に大きな戦略会議や営業会議、または展示会があったりと、何かと慌ただしい日々が続きます。

そんななか、日本と同じように毎年ドイツでも流行る厄介なものが、これ。

風邪です。
ありがたくない季節の到来

私が住むミュンヘンはドイツの中でも南部に位置する都市です。“南”とつくから温暖なのかというとまったくそうではなく、緯度で言えば、ほぼ、札幌と同じところに位置します。

また、ここから40分も車で走れば、アルプス山脈の入り口ですから、山々から吹き折りてくる雪混じりの風は、冷気もスピードもすざまじく、大気は実際の気温以上に冷たく感じます。

そんななか、毎日、身が縮むような寒さを抜けて学校や職場に通うわけですから、当然のように例年、この時期は大変多くの方が風邪をひかれます。

みなさんのお耳にも届いているかもしれませんが、年末からヨーロッパは大寒波に見舞われていて、例年以上の寒さと雪に、街も人も多少疲れているところもあるのだと思います。

私の勤めるオフィスでも、「旦那さんが寝込んだ」とか、「子供の幼稚園で学級閉鎖……」、そんな話を耳にし始めたと思ったら、あっという間に一人、また一人。この1週間で、ばたばたと音を立てるように病欠の人が増えていきました。

では、ドイツで風邪をひくと、どんなことが起きるのか。

今回は、日本でもドイツでもこの時期はおなじみのこの厄介な病と、それによって起こるあれこれを、私の体験を通してみなさんにお伝えしてみようと思います。


体感はほぼ2時間。「風邪?」から「帰れ!」まで。

私は30歳まで日本で仕事をしていました。若さゆえの気力も体力もありましたし、基本的にすこぶる健康で頑丈な私は、その当時、風邪をひいて寝込んだという記憶はありません。

でもそれ以前に、「風邪ぐらいで会社を休むなんて怠慢」という、ガッツと根性の社風の中での仕事でしたから、多少具合が悪くても薬を飲んで通勤していたような気がします。

病欠といえば、入院レベル。

極端にいえばそんな感覚のままでドイツで就職し、初めての冬。私は風邪をひきました。

なんとなく喉が痛いなあと思っていたら、夜にはくしゃみや鼻水が出るように。寝たら治るだろうと早めに就寝したのに、ついに咳まで出るようになりました。

夫に「今日は無理しない方がいいんじゃないの?」と散々言われたのに、それでも、私の頭の中には「病欠」という選択肢はありません。むしろ、風邪なんかで仕事を滞らせて迷惑はかけられないし、熱だってないし……。

子供じゃないしプロなんだから、仕事は責任を持ってやりきらないと。そんな気持ちで会社に出勤したところ、給湯室で同僚に、「あら? 風邪じゃない?」と声をかけられました。

たいしたことないのよ、ちょっと喉が痛いだけ……。そう言って、納得したようには見えない彼女から逃げるようにデスクに戻ったら、同じオフィスの同僚たちにも風邪じゃないの、風邪でしょう、無理せず今日は早退したら、と矢継ぎ早に声をかけられる始末。

それでも頑固に大丈夫だからと押し通して仕事を続けていたところ、内線電話で上司から呼び出されました。

何かやらかしたかな、と不安にかられながらノックをし、ドアを開けました。すると、渋い顔をした上司にジロリと見られて一言。

「帰宅してください。そして当分、出勤しないこと」

つまり、給湯室での会話から数時間で、私はオフィスを強制的に追い出されることになったのです。



そもそも、効率とは何かを考えてみる

私は、正直ショックでした。上司に、あんなにストレートに「帰れ」と言われるのは、私にとっては解雇されたくらいの驚きだったからです。

ガラガラに空いている地下鉄に乗って家に戻ると、不安で涙が出ました。私は本気で会社に「いらない人材」だと思われたと悲しくなったのです。日本でのキャリアを捨て、この寒い国であれだけドイツ語を頑張って、やっと掴んだポジションなのに。風邪なんかで失ってしまうのか……。

夕方帰宅した夫は、涙ながらにそう訴える私に、「解雇になんかなるわけないだろ!? なんでそうなる?」と笑って言いました。

「そりゃあ、上司はそうするよ。君の風邪をうつされて、今は健康な人まで会社に来れなくなるダメージを考えたら、感染してる君一人を返したほうがダメージは少ないものね」

それに、と彼は付け加えました。

「人は健康な状態でもミスを犯すもんだよ。風邪の時に、ちゃんと確実に仕事ができるわけないでしょう?」

ドイツでの就業が10年を超え、私自身が小さいながらもチームを率いる立場となった今思えば、何もかも当然のことで、当時の私の動揺は今では恥ずかしいほどのナイーブさですが、これは私にとっては衝撃的な事件でした。

言われてみれば、その通りです。

熱がなくても計算ミスや連絡ミスが起こるのに、体温が高くなっていたり、体が弱っている時に、ビジネスのシビアな判断ができるわけがないのです。効率を考えれば多少、完成の時間を遅らせても、完璧に仕上げたほうがいいに決まっています。

また、会社にとっても、大量の「健康でない社員」が発生するのは大きな損失です。その発端を担っていいわけがありません。自分のせいで他人を病気にしてしまうことは、それこそ迷惑をかけること以外の何物でもありません。

つまりは、風邪を抱えた人間が会社に行っても、誰も幸せにはならないということです。本当に、当たり前ですね。

ただ、就職超氷河期組としては、無理をし続けないと職にありつけないという時代が長く、その当たり前を当たり前として、感情が受け入れるまでに、とてつもなく長い時間がかかりました。当時は頭ではわかっていても、どうしても病欠に罪悪感が付きまといました。

企業や職場環境、また雇用環境によって多少の印象の差はあるかもしれませんが、私が見る限り、ドイツではこの「病気なんだから、病欠は当たり前」が努力指標ではなく、まさに金科玉条のごとくかかげられていて、遂行されているように思います。

この国も日本と同じように空前の人手不足ですが、新聞やニュースでも頻繁に「風邪の大波がドイツを直撃」「各業界で経済活動に影響」と流れるので、同僚や取引先の不在で多少業務がスローダウンしても、全体的にしょうがないね、という空気です。

私はドイツで、スケールとキャラクターのそれぞれに違うドイツ企業を3社経験してきましたが、この国の人々が評価する「効率」は、誰かの無理によってつくられた最大瞬間速度ではなく、恒久的に供給できる無理のない平均速度を意味しているという気がしています。別の角度から切り取れば、ずっと無理をし続けることは不可能だから、無理はしない、と言えるかもしれません。

つまり、モチベーションを高く持つという意味での“頑張る”と、限界を超えるという意味での“無理をする”の線引きがはっきりしているということです。だから、風邪の時にする無理は、誰の助けにもならないからしないと割り切れるのかもしれません。その無理は、評価されない可能性が高いからです。

事実、私が風邪をひいてした無理は、“迷惑”という評価をいただいたわけですから……。

たかが風邪で大げさな、と思われるかもしれませんが、この「帰れ」事件は私に、効率とは何かと考えるきっかけをくれました。転んでもただでは起きない、ではないですが、風邪の功名もあるにはあったのかもしれません。

以来、これは完璧に風邪だなと思ったら、しょうがないと割り切って、無理せず養生するようにしています。結果としては、そちらの方が“効率よく”治ります。

では、風邪にかかった私は次に何をしたか。当然、病院に行きました。

そこでの出来事と、私がドイツの洗礼を受けた、別の衝撃的事件については、次の「ドイツで風邪にかかったら・病院編」にてお伝えしたいと思います。
牧亜弥乃