【日本総局長ジェイコブ・スレシンジャー】
ジェイコブ・スレシンジャーは日本に関するニュースの総責任者です。2009年からWSJとダウ・ジョーンズ経済通信の総局長を務めています。日本に関するニュースで、どれを記事化し、どこに掲載するのか、あるいはどんな特集を組むかを決めています。ニューヨーク本社とのやりとりは日本時間の深夜におよぶこともめずらしくありません。また、日本で大きな事件が起きた時には自ら「The News Hub AM Report」というWSJのビデオ番組に出演します。
スレシンジャー記者が東京支局で働くのは今回が2度目で、前回は1989年から1994年までテクノロジーと政治を担当していました。日本の政治に非常に詳しく、1997年には“Shadow Shoguns”という、田中角栄から小沢一郎までの日本の権力構造に関する本を書いています。これは大学の指定本としても使われたことがあり、なかなかの力作です。その後、ワシントン支局で13年間、米国の経済政策や政治を中心に取材し、2004年の大統領選の報道では報道チームの主力メンバーでした。
“Shadow Shoguns”では、奇跡といわれた戦後日本の急速な経済発展の裏で、利権と政治が深く結びついていたことを、日本のことをあまり知らない人にも分かるように具体的に解説しています。つまり、経済発展の名の下に政治腐敗が許容されていた部分もあったわけです。田中角栄についても、建設業者と密接な関係があったことを詳しく紹介した上で、長年強固だった自民党の政治基盤が次第に崩れて2009年の本格的な政権交代に至るまでの過程を描き、現在の政治構造の源流を解説しています。
【インタビューにエッセーに多彩な活躍―サンチャンタ真理子記者】
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Ko Sasaki for The Wall Street Journal
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Ko Sasaki for The Wall Street Journal
米国で育ったという経歴をもつサンチャンタ真理子記者(Twitterアカウントは@sanchanta)は現在、東京支局の副支局長でもあります。日本語は米国での子供時代に土曜日の補習校で習ったという彼女は、有名経済紙Financial Times に10年間在籍し、ニューヨーク支局、東京支局の特派員を経てロンドン本社で国際企業セクションのエディターを務めました。
WSJには2009年に入社し、日本のビジネス、社会など幅広い分野を取材しながら、記事の編集もこなしています。ファーストリテイリングの柳井正会長、JR東海の葛西敬之会長、蓮舫行革刷新担当大臣など、多くの政界、ビジネス界リーダーをインタビューしてきました。昨年春には日本航空の稲盛和夫会長の就任後初めてのインタビューに成功しています。
また日本社会における女性の現状に関心を持っていて、昨年APEC主催の女性起業家サミットではパネル・ディスカッションの司会を務めました。
前回A-hedというエッセー記事をご紹介しましたが、サンチャンタ記者も得意な分野です。彼女の「ウサギ小屋にサヨナラ-ルームシェアを始める日本女性」という記事はユニークな視点から書かれています。日本の一般的な住居の狭さは世界でも有名ですが、外国人は、日本人はどうしてそんな狭い部屋に耐えられるのか、と不思議に思っている。でも日本人だって「ウサギ小屋」に住みたいわけではない。最近若い女性を中心に広がりつつあるルームシェアについて、生活・消費関連の研究機関への取材などで社会的な分析を加えて、読み応えのある記事に仕上げています。
また、「ゴルフ用品メーカー買収、日中企業間の関係強化の表れ」という記事では、日本企業が中国との関係を深めることによって生き残りをかけている様子を取材しています。まさに時代の最先端にある経済現象に注目するサンチャンタ記者の視点は、とてもWSJ的なものと言えるのではないでしょうか。
【日本の政治、経済を分かりやすく解説―林由佳記者】
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Bloomberg News
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Bloomberg News
林由佳記者はダウ・ジョーンズ経済通信で10年以上経験を積んだベテラン記者です。東京、ニューヨークで活躍した後、WSJ東京支局の取材チームには2004年に加わりました。政治、外交、マクロ経済などを取材しています。なぜ日本の政治は安定しないのか、なぜ日本経済は長期低迷を続けているのか、など海外の読者にとって分かりにくいテーマを分かりやすく説明するという、非常に難しい任務を負っています。基地問題に揺れる沖縄を含む日本各地を飛び回りながら2人の子供を育てる母親でもあり、仕事と育児の両立テクニックは他の記者たちのお手本になるほどです。
林記者は菅首相と小沢民主党元代表との関係についても辛口です。Japan Real Timeのブログ「菅、小沢の両氏、新年早々から激突」では、「日本の政治の世界では、政敵といえども正月松の内ぐらいは和やかに新年の挨拶を交わすものである。しかし、与党民主党の二人の重鎮――菅直人首相と小沢一郎元代表――の間には、そんな余裕など全く感じられない」と皮肉っています。
昨年9月の「日本のキングメーカー、ついに首相の座に動く」という記事では、大方の予想を裏切って民主党代表選に立候補した小沢氏のことを「日本の政界にあって第一級の戦略家」と紹介し、より「対等な」日米関係を強調する外交姿勢が米政府の神経を逆なでしていると指摘しています。このように様々な分野に関して冷静で鋭い視点から記事を書いている林記者にぜひ注目していただきたいと思います。
【ジェームズ・シムズ記者】
ジェームズ・シムズ記者は日本に滞在して18年になる、日本通で知られるアメリカ人記者です。1997年にダウ・ジョーンズ経済通信に入社し、為替市場から日本の政治、金融問題まで幅広く担当してきました。これまでに小泉純一郎、森喜朗両元首相、タイのタクシン元首相など、数多くの著名人をインタビューしています。
今は「Heard on the Street」という、1960年代から続くWSJの定番投資情報コラムを執筆するチームの一員でもあります。Heard on the Streetでは政策でも企業の業績でも、悪いものは悪いときっぱりと言い切ることが大切です。今月の内閣改造で与謝野馨氏が経済財政担当相に任命されたことを受けて彼が執筆したHeard on the Street、「【コラム】財政再建のタカ派、デフレではハト派-与謝野馨氏の横顔」では、与謝野氏は財政の立て直しという難題には真剣に取り組もうとしているけれども、一方で経済拡大というもう一つの課題を無視している、と厳しい意見を述べています。
現在、テレビ東京の「この日本人がスゴイらしい」という番組にもレギュラー出演中です。
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【ニューヨーク共同】「今なお極めて理性的な結果重視の技術者」。米紙ウォールストリート・ジャーナルは8日、会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)の勾留理由開示手続きでの様子などを詳細に報じた。
同紙は「日本の検察官は伝統的に、取り調べを通じて容疑者に自白するよう圧力をかけてきた」が、最近は取り調べの録音・録画(可視化)の義務付けで、そうした傾向は減っていると説明。ゴーン容疑者は自らの考えを反映する調書にしか署名していないとの弁護人の話を伝えた。
同紙は「日本の検察官は伝統的に、取り調べを通じて容疑者に自白するよう圧力をかけてきた」が、最近は取り調べの録音・録画(可視化)の義務付けで、そうした傾向は減っていると説明。ゴーン容疑者は自らの考えを反映する調書にしか署名していないとの弁護人の話を伝えた。