日本が一番の対外純資産保有国…世界全体で対外純資産額の実情をさぐる
(2019年時点最新版)
国単位での資産額は債務と債権を相殺した、特定の国から他の国々に対する「対外純資産額」で示される。その額についてIMFの公開データベースの値を基に、世界全体での実情を確認する。
対外純資産とは対外資産と対外負債を合算したもので「対外」とは該当国が他国に保有している資産や負債のこと。大まかな説明としては「資産…海外に対して色々な形で貸し付けているもの」「負債…海外から色々な形で借り受けているもの」となる。
次に示すのはIMFのデータベースで対外純資産額(公的なものと民間のものを合算した額)を確認できる国のうち、年ベースで取得可能な最新値となる2017年分に関し、その値が確定している国、計137か国について、上位国と下位国を抽出したもの。米ドル換算された値を用いている。なお下位陣のグラフでは対外純負債国(対外純資産がマイナスの国)で負債額がもっとも大きい国を左にしている。


最大の対外純負債保有国はアメリカ合衆国。次いでスペインだが、アメリカ合衆国の額が大きすぎてグラフがゆがみを見せるほどに。アメリカ合衆国とスペインとの差は6倍以上。
スペインの次はオーストラリア、ブラジル、メキシコ、フランス、アイルランド、トルコと続く。経済的に難儀していることもあり、やはりそうなのかという感想を抱く国もあれば、意外なところで顔を見せていると思わせる国もある。
他方最大の対外純資産を有するのは、全世界で精査しても日本だった。次いでドイツ、中国、香港が続く。この4か国が対外純資産額で1兆ドル超え。さらにノルウェー、スイス、シンガポール、サウジアラビアが続く。
なおそれぞれのグラフの最下位がマイナス0.105兆ドル、プラス0.031兆ドルであることから、残りの97か国はプラス0.031兆ドルからマイナス0.105兆ドルに収まっていることになる。
この対外純資産は公的なものと民間のものを合算したもので、さらに資産部分は即時換金できるものでは無い。純資産を計算する時に行う、資産と負債の合算に、さほど深い意味合いは無い。個々の国の財政状態を概要的に知る程度のもの、状況の改善を模索するための参考資料程度のものであることに留意しておくべきであることは言うまでも無い。
一方で、債務だけをことさらに強調して不安をあおったり、資産のみを提示して健全性をアピールするのも不健全な話には違いない。それらのような話がある際には、今件の対外純資産額の実情は、大いに役立つことだろう