マーティ・フリードマン「だから日本はクール」 米メディアに語る日米の音楽観の違い





80年代アメリカで音楽活動を開始し、2003年に東京に活動の拠点を移したロック・ギタリスト、マーティ・フリードマン。90年代にメガデスのメンバーとしてヒット曲を量産した彼は、相川七瀬やももクロなど著名アーティストのサイドマンを務めたり、ライター業やテレビ出演もこなす。2019年1月からの全米ツアーが決定したマーティが、日本への印象をアメリカの音楽サイトなどに語った。
♦︎日本のメタルに感激
 日米両方の音楽カルチャーに精通するマーティは、日本のメタルが音楽シーンのメジャーな一角を成していることを歓迎している。氏が音楽サイト『Blabbermouth.net』に語ったところによると、アメリカではジャンルが明確に分かれており、メタルはアンダーグラウンドな扱いを受けることが多い。一方日本ではマキシム ザ ホルモンのように極めてメジャーなバンドがあり、メインストリームの一部になっている。そのCDがマライア・キャリーの横で売られていたり、ファミレスでスレイヤーくらいヘビーなスラッシュメタルがかかっていたりする。その裾野の広さに、「だから日本はクールなんだ」と思わずにはいられないという。他ジャンルとの融合も日本のメタルの特徴で、例えばアイドル・ソングの一部にヘビメタが取り入れられていることも多い。
 同サイトの別記事でマーティは、ミュージシャン像にも違いがあると指摘する。アメリカでは、授業に出ずに紙飛行機を飛ばしているような若者が、女の子の気を引きたくて始めるようなことが多い。長髪のならず者というイメージで、それがロックンロールのスピリットでもある。日本ではルックスも良く、きちんと学校に通っていて、すでに彼女もいるような子たちがバンドを組むことが多く、それが意外に感じたとのことだ。アングラなアメリカのメタルよりも、日本のメタルは大衆に受け入れられている傾向があるようだ



お行儀の良い日本のライブ
 プロ奏者として世界各地でライブを開催するマーティにとって、地元日本でのライブは欧米ツアーよりもやりにくく感じる場合があるという。ジューイッシュ・ジャーナル紙(電子版)に対し、日本人は演奏中はじっと聴き入り、終わってから喝采を送ると語っている。曲中はとても静かなので、小さなミスが目立ってしまうのがプレッシャーになっているようだ。他の国ではプレーの間中騒がしいので、多少自由にやろうが誰も気づかないと打ち明けている。
 マーティはBlabbermouth.netにも同じ趣旨のコメントを語り、日本の客席はまるでクラシック・コンサートのように静かだと例えた。小さなミスが目立ってしまうので、ライブ・アルバムはあえて東京ではなくメキシコ・シティで収録したと明かす。
♦︎安全な東京の街
 音楽活動以外で日本が好きなところはどこかと尋ねるBlabbermouth.netに対し、毎日が安全なことだと答えている。ニューヨークを巨大にしたような都市なのに、どこも安全だと語る。歌舞伎町に住んでいるが、朝4時に目が覚めて何か食べたいと思えば、そのまま買い物に出ても何の問題もないと言い切っている。日本の治安をいたく気に入っているようだ。
 一方、アメリカの暮らしを懐かしく思うことも。東京に住んでいるため、アメリカの友人たちと会えないのは本当に辛い、とジューイッシュ・ジャーナル紙に語る。ただ、ワールド・ツアーなどで海外を訪れる機会も多いため、完全に東京だけで活動しているという意識ではないようだ。ほかに日本の暮らしで困っていることとして、アメリカのスーパーの充実したシリアル・コーナーが恋しいと語り、意外な繊細さを見せた。


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