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無宗教者の数が世界第3位のスウェーデン人はクリスマスに何を祝うのか

12/21(金) 15:00配信

クーリエ・ジャポン

随分ご無沙汰してしまいした。気づけばもうクリスマスシーズンですね。スウェーデンでは今が一番日照時間が短い時期で気分が沈みがち。クリスマスでもないとやっていられない、という少々やけっぱちな雰囲気が否めません。
とりあえずはクリスマスまでは頑張ろう、そしてクリスマスは思いっきり休むぞ、という強い意志をもってスウェーデン人は暗くて寒い冬を耐えています。

無宗教者は何を祝うのか?
スウェーデンは中国、日本に次いで世界で3番目に無宗教者が多い国と言われ、2015年の調査では神様を信じる人の割合は23%という結果が出ています。
とはいえ教会で結婚式を挙げ、子供が生まれたら教会で洗礼をし、亡くなったら教会の墓地に……という人々も多く、教会はスウェーデン文化に深く根づいています。
というわけで、普段は教会に行かないスウェーデン人もクリスマス(スウェーデン語でJulユールと言います)は盛大にお祝いするわけですが、近年のそれはどちらかというと「買い物合戦」の様相を呈しています。
なぜかアメリカで始まった「ブラックフライデー(感謝祭直後の土曜日から始まる一大セール)」がスウェーデンでも流行りはじめていて、11月の第4週の金曜日 からクリスマス直前まで世の中はセール一色です。
ストックホルムはクリスマスプレゼントなのか、自分のための掘り出し物なのか、沢山の荷物を抱えた人たちでごったがえしています。
私の夫の家族は筋金入りの無宗教者で、宗教に対して非常に懐疑的なのですが、クリスマスやイースター(Påskポスク)には伝統的なごちそうを作って家族でお祝いしていました。
「無宗教なのに一体何をお祝いするの?」と夫に聞いたところ、「うーん……家族かな?」という答え。クリスマスは、普段は離れて暮らしている家族が集まり、一緒に食事を共にするというイベントであり、キリスト教を信じるかどうかは正直どうでも良いような印象です。
そういう意味では家族が一堂に会し、ごちそうを食べて体重を増やし、神様を信じているかどうかに関係なく初詣に行く、日本のお正月に似ているかもしれません






クリスマス謎の伝統その1「聖ルシア祭」

クリスマスに先立ち、12月13日には「聖ルシア祭」という行事が行われます。ルシアとはイタリアの聖人で、なぜかスカンジナビア諸国で絶大な人気を誇り、彼女の聖名祝日である12月13日には少女たちが聖ルチアに扮してナポリ民謡「サンタルチア」を歌いながら教会や学校内を練り歩きます。
その際の扮装が、白いドレスに赤いベルト頭、そして複数のロウソクという、日本人から見るとどうしても「……八つ墓村?」と思わずにはいられないもの。スウェーデン人の同僚に「いまだに聖ルシア祭のコンセプトがよくわからないんだけど……」と言うと「その気持ち、わかる。私もよくわからない」と言われました。
ただ小さな子供たちにとっては楽しいイベントのようで、聖ルシアの扮装をして練り歩くのは少女たちの憧れのようです。男女平等が進んでいるスウェーデンでは男の子がルシアになってもいいじゃないかという機運もありますが、反対も多く、議論を呼び起こしているようです。

クリスマス謎の伝統その2「ドナルドダックのディズニーアニメ」

1960年から毎年12月24日の午後3時から4時にかけて、テレビでドナルドダックのディズニーアニメ「Kalle Anka och hans vänner önskar God Jul(原題From All of Us to All of You)」が放送されるのがお約束。たまに内容が若干変わることもあるものの、基本的にはディズニーアニメを流すようです(ちなみに今年は「バンビ」の一部も放送されるそうで、ちょっとした話題に)。
スウェーデンなのに60年近くも毎年ディズニー映画を放送する理由を知りたくて「なぜ?」と夫に聞いてみたところ、「わからない。伝統だからじゃない?」との答え。人口約1000万人のスウェーデンで380万人が視聴するという大人気番組なのに、誰も「なぜクリスマスイブにディズニー映画を見るのか?」と疑問に思うことはなく、特に気にしていないようです。
もしかしたらテレビ局がディズニー社と特別な契約を結んでおり、格安で放送できるからではないか……と私は睨んでいますが、本当かどうかは謎です。




クリスマス謎の伝統その3「カール=バッティル・ヨンソンのクリスマスイブ物語」

イブに必ず放送されるアニメはディズニー映画だけでありません。
1975年から毎年、スウェーデンのアニメ「カール=バッティル・ヨンソンのクリスマスイブ物語(原題“Sagan om Karl-Bertil Jonssons julafton”)」が放送されるのも伝統なのです。
お話は郵便局で働く14歳のカール=バッティルが、クリスマスにロビン・フッドばりに郵便局に集まった裕福な人々のプレゼントを勝手に貧しい人々に配るという内容。最終的に裕福な人々も「これぞクリスマス精神。よくやった!」とカール=バッティル君の行動を褒めるのですが、「それは…犯罪なのでは?」という疑問が頭から離れません。
でも、スウェーデン人は気にしていません。非常に政治的な内容ながら人気は高く、ディズニーアニメと同様にクリスマスイブの伝統としてスウェーデンに根付いています。
日本人から見ると少し奇妙に思えるような伝統を持つスウェーデンのクリスマス。でも家族を大切に思う気持ちは日本人と同じです。今年のクリスマス、私も夫の家族と一緒にカール=バッティル君のアニメを見て「…やっぱり犯罪だよね、これ?」と思うことでしょう。

吉田裕子