サウジ在住者が明かす「公開処刑」と「禁欲」の恐怖 女性の足首見えただけで男性興奮…娯楽で首切り場などに人集まる

10/29(月) 16:56配信
夕刊フジ




 ジャーナリストのジャマル・カショギ氏がトルコの総領事館で殺害された事件で、サウジアラビアの検察当局は、犯行が計画的と認めた。イスラム教スンニ派の厳格な戒律や公開処刑で知られるサウジは、閉ざされた部分も多い。治安や情報、男女関係はどうなっているのか。現地在住の日本人が、知られざる石油大国の事情を明かした。

 カショギ氏をめぐる事件について、「国民は基本的に全て知っている」と語るのは、現地に住む日本企業の男性駐在員。サウジではツイッターの普及率が高く、海外のニュースも自由に見られるという。

 一方で「政府が統括している部署が、偽アカウントを使ってSNSで一般人になりすまし、政府を擁護する意見を国中に発信し続けているようだ」とも。アダルト画像や動画は規制されており、安全性が高いVPN(仮想プライベートネットワーク)を使わないと見られないという。

 酒は一切禁止。「特殊飲料(酒)は外交官など特権階級で、各国の駐在員も入手不可能で、闇市で尋常でない値段で買うしかない。闇で買った欧州出身者が逮捕され、駐在外国人に激震が走った」と男性駐在員。

 公共の場で男女を分けることを徹底し、禁欲についても厳しい。レストランやカフェでも男性専用のシングル空間と女性兼家族連れのファミリー専用に分けられているという。

 「女性が男性に頭髪を見せることは、先進国でアンダーヘアを見せて歩くのと同じようなはしたない行為と受け止められる。女性がアバヤ(民族衣装)の裾を上げてナマ足首が見えただけで興奮して自慰を始める男性もいた」(同)

 「強盗やスリが少ないという意味では治安は良い」というが、背景には公開処刑を含めた厳しい刑罰がある。

 2001年の9・11の米中枢同時テロ直後にサウジを取材したジャーナリストの大高未貴氏は「エンターテインメントが少ない分、首切り場の『チョップ・チョップ広場』などに人が集まる。盗みを働いた人も手を油で揚げられるなどの刑に処されることもある」と話す。

 前出の駐在員もこう打ち明ける。「興味本位で見に行った前任者がメンタルをやられて精神科に通ったため、誰もその後、見学には行かなかった。処刑場は旧市街にあるが、何も知らずに訪れてひどい頭痛になった人もいる」

 窮屈な社会を変革しようとしていたのが、今回の事件への関与を指摘する声もあるムハンマド・ビン・サルマン皇太子だ。今年6月には、映画館や女性の自動車運転を解禁し、宗教警察の取り締まり緩和も行った。「西欧社会から自分たちの生活を守ってくれていると大衆は信奉している」(前出の駐在員)

 だが、「政治は王族に支配が集中する18世紀的な体制だ」と大高氏は指摘する。

 「石油の上にあぐらをかいていられる時代でもなくなってきた。ムハンマド皇太子は改革を進めようとしているが、宗教的な反感も買っており、王位継承などでも内紛もあるようだ」

 今回の事件でサウジはどう変わるのか。それとも変わらないのか