アイリス・オーヤマのリーズナブルで、無駄を省いた家電
山善
Twin Bird
全米一位の 船井
などなど、
頑張っている中小、大家電メーカーは、
存在します。
記事や、メディアなどで話題に
シャープ
三菱、
日立
東芝、
ソニー
パナソニック
小泉
その他、エアコン・メーカー
全体を通して、一般論としては、
1) 想像力がない
2) 良いアイディアがあっても、シニアの経営幹部が、許可しない
3) 昔よりは早くなったとはいえ、いまだに襲い、決断と、生産化
4) 日本市場と、個別の開発途上国向けの製品の差別化
5) 融通性と、小回り
など、など、
まだまだ、問題点は、山積みです。
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もはや瀕死……?「日の丸家電」復活の日は来る?
日本の総合電機メーカーが、勢いを失ったと言われるようになって久しい。ただ、一時は「 瀕死( ひんし) 」とさえ言われたものの、最近になって、各社の業績が回復基調に入りつつある。不採算部門の整理などのリストラも業績回復の一因だが、一方で「メーカーの家電作りの手法が変化している」と専修大学教授の中村吉明氏は指摘する。
「三種の神器」今は昔…
高度経済成長期、日本製の家電は「三種の神器」(電気冷蔵庫、電気洗濯機、テレビ)という言葉が示すように強烈な存在感を放っていた。
当時、市場は膨張し続けており、現在のように韓国、中国のメーカーといった強力なライバルも存在しなかった。高品質な商品を開発すれば、生産台数を超える購入希望者が殺到したため、心配は無用だった。
しかし、現在はサムスン電子やLG電子などの韓国メーカーのほか、日本や米国、韓国などのメーカーの受託生産(EMS)などで技術力を伸ばした中国メーカーが立ちはだかり、日本の総合電機メーカーは、海外はおろか、日本市場でもすっかり存在感を失ってしまったかのように見える。
また、英ダイソンも、イノベーション(技術革新)で飽和した市場を変化させた。強い吸引力を持つ充電式のスティック型掃除機や、羽根のない扇風機などの「突き抜けた」製品を武器に、今では日本市場を席巻している。
当時、市場は膨張し続けており、現在のように韓国、中国のメーカーといった強力なライバルも存在しなかった。高品質な商品を開発すれば、生産台数を超える購入希望者が殺到したため、心配は無用だった。
しかし、現在はサムスン電子やLG電子などの韓国メーカーのほか、日本や米国、韓国などのメーカーの受託生産(EMS)などで技術力を伸ばした中国メーカーが立ちはだかり、日本の総合電機メーカーは、海外はおろか、日本市場でもすっかり存在感を失ってしまったかのように見える。
また、英ダイソンも、イノベーション(技術革新)で飽和した市場を変化させた。強い吸引力を持つ充電式のスティック型掃除機や、羽根のない扇風機などの「突き抜けた」製品を武器に、今では日本市場を席巻している。
売却が続く日本の事業…
このように、消費者のニーズに鋭く反応し、安価に製品を提供する企業や、ニッチ(隙間)の市場に個性的な製品を投入する外資系などの企業が出現し、従来の「延長線上」で家電を作り続けてきた日本の総合電機メーカーは苦境に陥った。
三洋電機の白物家電(冷蔵庫・洗濯機)部門の中国・ハイアールへの売却、シャープの台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業への身売り、東芝の解体と白物家電部門の中国・美的集団(マイディア・グループ)、テレビ部門の中国・海信集団(ハイセンス)への売却……それぞれの原因は必ずしも「家電販売の不振」というわけではないが、結果として「日の丸家電」は瀕死の重傷を負ってしまった感がある
三洋電機の白物家電(冷蔵庫・洗濯機)部門の中国・ハイアールへの売却、シャープの台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業への身売り、東芝の解体と白物家電部門の中国・美的集団(マイディア・グループ)、テレビ部門の中国・海信集団(ハイセンス)への売却……それぞれの原因は必ずしも「家電販売の不振」というわけではないが、結果として「日の丸家電」は瀕死の重傷を負ってしまった感がある
国内メーカー、最高益相次ぐ
しかしその後、日本の総合電機メーカーは、世界的な好景気を背景に、「選択と集中」で不採算部門を整理したり、リーン(筋肉質)な企業体質に変えたりしたことにより、復活の兆しを見せている。
例えば、パナソニックはセンサーや電池などの車載製品や、工場の自動化に使う機器などがけん引し、18年3月期連結決算の最終利益は前期比58%増の2360億円と、過去最高だった08年3月期(2818億円)以来の高水準となった。
また、鴻海傘下入りしたシャープは、18年3月期の最終利益が702億円となった。最終損益が黒字になったのは14年3月期以来、4期ぶりだ。
例えば、パナソニックはセンサーや電池などの車載製品や、工場の自動化に使う機器などがけん引し、18年3月期連結決算の最終利益は前期比58%増の2360億円と、過去最高だった08年3月期(2818億円)以来の高水準となった。
また、鴻海傘下入りしたシャープは、18年3月期の最終利益が702億円となった。最終損益が黒字になったのは14年3月期以来、4期ぶりだ。
一方、テレビやオーディオなどの黒物家電メーカーのイメージが強いソニーは、ゲームや音楽、映画部門が健闘し、18年3月期の最終利益が前年同期の6.7倍の4907億円となり、08年3月期以来、10期ぶりに過去最高を更新した。
さらに、日立製作所と三菱電機も18年3月期、本業のもうけを示す営業利益が過去最高になった。ただ、19年3月期には大手電機8社のうち4社が減益予想となるなど、その流れが持続可能なものになるかどうかは予断を許さない状況ではある。
しかし、「マスマーケット」(不特定多数の顧客がいる市場)を捨て、「コアマーケット」(少数の限られた顧客で構成される市場)に対し、顧客と意見交換しながら、不完全な製品・サービスであっても市場に投入し、改良を加えていくという日本の総合電機メーカーの戦略は、少しずつ成功の様相を見せ始めている。
さらに、日立製作所と三菱電機も18年3月期、本業のもうけを示す営業利益が過去最高になった。ただ、19年3月期には大手電機8社のうち4社が減益予想となるなど、その流れが持続可能なものになるかどうかは予断を許さない状況ではある。
しかし、「マスマーケット」(不特定多数の顧客がいる市場)を捨て、「コアマーケット」(少数の限られた顧客で構成される市場)に対し、顧客と意見交換しながら、不完全な製品・サービスであっても市場に投入し、改良を加えていくという日本の総合電機メーカーの戦略は、少しずつ成功の様相を見せ始めている。
パナソニックに変化の兆し?
例えば、パナソニックの家電作りは変わり始めている。
家電部門の社内分社「アプライアンス社」は、エアコンからテレビ、オーディオまで白物、黒物を問わず、多彩な製品を展開、比較的安定した利益を上げつつある。
当面は「現時点でもうかっている製品」で引き続き着実に利益を上げる方針だ。しかし、そういった製品が今後、長期的に利益を上げ続けるとは決して考えず、常に変化を求め続けていく必要があると考えているようだ。
その「先兵」ともいえるのが、「(組織を)エッジ(端)から変えていく」という方針のもとに作られた「ゲームチェンジャーカタパルト」というプロジェクトだ。
これまで、日本の大手メーカーはリスクを取らず、一定以上の売り上げを見込める製品でなければ販売しないのが常だった。経営層からも意見を集め、吟味に吟味を重ねて作り上げた「完璧」な製品を発売してきたのだ
家電部門の社内分社「アプライアンス社」は、エアコンからテレビ、オーディオまで白物、黒物を問わず、多彩な製品を展開、比較的安定した利益を上げつつある。
当面は「現時点でもうかっている製品」で引き続き着実に利益を上げる方針だ。しかし、そういった製品が今後、長期的に利益を上げ続けるとは決して考えず、常に変化を求め続けていく必要があると考えているようだ。
その「先兵」ともいえるのが、「(組織を)エッジ(端)から変えていく」という方針のもとに作られた「ゲームチェンジャーカタパルト」というプロジェクトだ。
これまで、日本の大手メーカーはリスクを取らず、一定以上の売り上げを見込める製品でなければ販売しないのが常だった。経営層からも意見を集め、吟味に吟味を重ねて作り上げた「完璧」な製品を発売してきたのだ
パナの目指す“カデン”とは?
一方、カタパルトは、パナソニックブランドを当てにせず、発売してもすぐに売れないことを覚悟のうえ、「速攻」で製品化・サービス化するという新規事業を公募するための活動だ。たとえ、「未完成」のものであっても世に問い、消費者とともに新しい“カデン”を考え、完成に近づけていく取り組みと言える。
なぜ“カデン”とカタカナにしているのか。従来の「家電」の枠を取り払い、「製品」か「サービス」かの線引きもせず、一から改めて考え直すということを意味するそうだ。
社内から応募があった新しいカデンの提案は、経営陣ができるだけ注文をつけないよう配慮した事前選考を経て、毎年春に米テキサス州で行われる、サウス・バイ・サウスウエストという音楽・映画などを組み合わせた大きなイベントに試作品を出展。訪れる人に評価してもらうそうだ。
事業化が決まれば、社内から独立させて新たに組織化。提案者が最後まで完結させることを前提に、パナソニック内部で行わない場合もある。その際、米シリコンバレーに拠点を置く日系ベンチャーキャピタル(VC)、スクラムベンチャーズとパナソニックが共同で設立した企業が金銭面や経営面でサポートする仕組みも設けている。
仕組みは「緩やかな社内ベンチャー」といえるだろう。自由な発想で事業を提案し、上司からの「ダメ出し」で頓挫(とんざ)しないように外部の評価によって事業化につなげるシステムを取り入れ、「伸ばせるところまで伸ばしてみる」試みだ。
なぜ“カデン”とカタカナにしているのか。従来の「家電」の枠を取り払い、「製品」か「サービス」かの線引きもせず、一から改めて考え直すということを意味するそうだ。
社内から応募があった新しいカデンの提案は、経営陣ができるだけ注文をつけないよう配慮した事前選考を経て、毎年春に米テキサス州で行われる、サウス・バイ・サウスウエストという音楽・映画などを組み合わせた大きなイベントに試作品を出展。訪れる人に評価してもらうそうだ。
事業化が決まれば、社内から独立させて新たに組織化。提案者が最後まで完結させることを前提に、パナソニック内部で行わない場合もある。その際、米シリコンバレーに拠点を置く日系ベンチャーキャピタル(VC)、スクラムベンチャーズとパナソニックが共同で設立した企業が金銭面や経営面でサポートする仕組みも設けている。
仕組みは「緩やかな社内ベンチャー」といえるだろう。自由な発想で事業を提案し、上司からの「ダメ出し」で頓挫(とんざ)しないように外部の評価によって事業化につなげるシステムを取り入れ、「伸ばせるところまで伸ばしてみる」試みだ。
尖った商品の数々
現時点では製品化・サービス化されたものはまだないものの、候補は絞り込まれているそうだ。例えば、日本酒を適温に冷やすだけでなく、瓶を挿入するだけでラベルを読み取って、蔵元の情報や、その日本酒に合う料理をパネルに表示する冷温庫「サケクーラー」や、インテリアのように住空間に溶け込むデザインで、自然などの美しい映像を映し出すディスプレー「アンビエント・メディア・プレーヤー(AMP)」もカタパルト発のアイデアの一部だ。
AMPは現在、映像作家らを巻き込みながら、各地でPRイベントなどを精力的に行っている。
ゲームチェンジャーカタパルト代表の深田昌則氏は、「グーグルが検索事業から、アマゾンが書籍販売から事実上『脱皮』しているのに、パナソニックは家電メーカーのままでいいのか?」という危機意識から、プロジェクトを考案した。
深田氏は「将来、何が流行するかなんて(誰も)わからない。それは会社の幹部だって同じだ。今は(売り上げは)小さくても将来、大化けするかもしれない。ゲームチェンジャーカタパルトは、そのプラットフォーム(基盤)となる」と胸を張る。そして「我々は(海外企業などの)『破壊的イノベーション』に備えている」と、対決姿勢をあらわにする
AMPは現在、映像作家らを巻き込みながら、各地でPRイベントなどを精力的に行っている。
ゲームチェンジャーカタパルト代表の深田昌則氏は、「グーグルが検索事業から、アマゾンが書籍販売から事実上『脱皮』しているのに、パナソニックは家電メーカーのままでいいのか?」という危機意識から、プロジェクトを考案した。
深田氏は「将来、何が流行するかなんて(誰も)わからない。それは会社の幹部だって同じだ。今は(売り上げは)小さくても将来、大化けするかもしれない。ゲームチェンジャーカタパルトは、そのプラットフォーム(基盤)となる」と胸を張る。そして「我々は(海外企業などの)『破壊的イノベーション』に備えている」と、対決姿勢をあらわにする
「急回復」したシャープ
一方、鴻海傘下入りしたシャープの家電部門も元気を取り戻している。
そもそもシャープの家電事業はかつて、電子手帳やワードプロセッサ「書院」、左右両開き冷蔵庫、携帯電話、ウォーターオーブン「ヘルシオ」など、独創性と質の高さを兼ね備えた製品を生み出すことで定評があった。
2000年代前半に推し進めた液晶テレビ・パネルへの集中投資は一見、成功したかのように見えた。工場の地名をとった「亀山モデル」が一世を風靡(ふうび)したのを覚えている人もいるだろう。液晶パネル自体が画質の良し悪しを決める、といわれた時代だった。
しかし、結果的に液晶の「一本足打法」になり、家電事業全体への投資が不十分になった。そして液晶が「コモディティー化(日用品化)」し、差別化が困難になった結果、韓国や中国などのメーカーの攻勢に押され、家電事業の維持さえもままならない状況に陥った。
しかし、鴻海の買収後は、鴻海の郭台銘会長、シャープに送り込まれた戴正呉社長の舵(かじ)取りで、家電事業にも再び資金や人材といった経営資源を投入し始めた。さらに、世界最大のEMSである鴻海の部材調達網を活用したコスト削減が奏功。その復活ぶりは同業のメーカーが驚くほどだ。
そもそもシャープの家電事業はかつて、電子手帳やワードプロセッサ「書院」、左右両開き冷蔵庫、携帯電話、ウォーターオーブン「ヘルシオ」など、独創性と質の高さを兼ね備えた製品を生み出すことで定評があった。
2000年代前半に推し進めた液晶テレビ・パネルへの集中投資は一見、成功したかのように見えた。工場の地名をとった「亀山モデル」が一世を風靡(ふうび)したのを覚えている人もいるだろう。液晶パネル自体が画質の良し悪しを決める、といわれた時代だった。
しかし、結果的に液晶の「一本足打法」になり、家電事業全体への投資が不十分になった。そして液晶が「コモディティー化(日用品化)」し、差別化が困難になった結果、韓国や中国などのメーカーの攻勢に押され、家電事業の維持さえもままならない状況に陥った。
しかし、鴻海の買収後は、鴻海の郭台銘会長、シャープに送り込まれた戴正呉社長の舵(かじ)取りで、家電事業にも再び資金や人材といった経営資源を投入し始めた。さらに、世界最大のEMSである鴻海の部材調達網を活用したコスト削減が奏功。その復活ぶりは同業のメーカーが驚くほどだ。
シャープのIoT戦略
冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなど様々な家電がIoT化し、インターネットとつながる機能を持つ製品も多く、自前のシステムなどを構築し、利用料として継続課金(サブスクリプション方式)にするなどし、将来的にはリカーリング・ビジネス(商品販売後も、ネットにつないで自社のサービスを利用してもらうなどし、継続的に利益を上げられるビジネス)を目指しているようだ。
シャープも含めた各社は現時点で、家電がネットにつながることによるメリットをうまく訴求できていない、と筆者は考えている。しかし、同社では「闇雲に(ネットに)つながるサービスを始めて、(すぐに)採算が合わないからとサービスから撤退することは許されない」(シャープIoT事業本部の白石奈緒樹・副事業本部長)という。
なぜか。取扱説明書には短期間でサービスが終了する可能性があると記載していても、白物家電の耐用年数は10年ともいわれており、多くの人は製品を10年前後使い続ける。そして、次に買い替える時、途中でサービスを止めるようなメーカーの家電を選ぶだろうか。つまり、メーカーとしては、長期間、責任を持って続ける覚悟でサービスを始めなければいけない、というのだ。
さらに、自社の家電製品には自社で開発したクラウドコンピューティングシステムを用意し、責任を持ってサービスを提供すべきと考えているという。「安易に他社のソフトウェアを使うと、自社の(サービス展開の)自由度が下がってしまう」(白石氏)と言う。
最近のシャープ製品の好例としては、「ヘルシオ・ホットクック」などが挙げられる。昨年、ウォーターオーブンのヘルシオか、ホットクックでIoTを活用する「ヘルシオデリ」というサービスを始めた。
ヘルシオデリは、飲食店紹介サイト大手のぐるなびと組んで、有名レストランのシェフの料理の材料や作り方をメニューとしてデータ化。ネットで注文した食材のキットを、ウォーターオーブンの一部機種かホットクックのいずれかに入れ、セットしてボタンを押すだけで、家電がネット経由で調理情報を自動的に取得し、有名レストランのシェフが作る料理と同じものができ上がる仕組みだ。
ヘルシオデリは、家電がネットにつながるメリットを世に示すだけではなく、共働きの世帯が増える中「家事の時間を少なくし、おいしいものを食べよう」というコンセプトのもと、生み出されたそうだ。
シャープも含めた各社は現時点で、家電がネットにつながることによるメリットをうまく訴求できていない、と筆者は考えている。しかし、同社では「闇雲に(ネットに)つながるサービスを始めて、(すぐに)採算が合わないからとサービスから撤退することは許されない」(シャープIoT事業本部の白石奈緒樹・副事業本部長)という。
なぜか。取扱説明書には短期間でサービスが終了する可能性があると記載していても、白物家電の耐用年数は10年ともいわれており、多くの人は製品を10年前後使い続ける。そして、次に買い替える時、途中でサービスを止めるようなメーカーの家電を選ぶだろうか。つまり、メーカーとしては、長期間、責任を持って続ける覚悟でサービスを始めなければいけない、というのだ。
さらに、自社の家電製品には自社で開発したクラウドコンピューティングシステムを用意し、責任を持ってサービスを提供すべきと考えているという。「安易に他社のソフトウェアを使うと、自社の(サービス展開の)自由度が下がってしまう」(白石氏)と言う。
最近のシャープ製品の好例としては、「ヘルシオ・ホットクック」などが挙げられる。昨年、ウォーターオーブンのヘルシオか、ホットクックでIoTを活用する「ヘルシオデリ」というサービスを始めた。
ヘルシオデリは、飲食店紹介サイト大手のぐるなびと組んで、有名レストランのシェフの料理の材料や作り方をメニューとしてデータ化。ネットで注文した食材のキットを、ウォーターオーブンの一部機種かホットクックのいずれかに入れ、セットしてボタンを押すだけで、家電がネット経由で調理情報を自動的に取得し、有名レストランのシェフが作る料理と同じものができ上がる仕組みだ。
ヘルシオデリは、家電がネットにつながるメリットを世に示すだけではなく、共働きの世帯が増える中「家事の時間を少なくし、おいしいものを食べよう」というコンセプトのもと、生み出されたそうだ。
ソニーの「復活劇」
かつての赤字体質から一転、18年3月期に最終利益で史上最高となったソニーはどうだろうか。
ソニーは映画、音楽、銀行など、幅広い分野でビジネスを展開しており、もはや総合電機メーカーとはいえない存在になった。だが、依然としてソニーブランドの黒物家電は多くの「ファン」がいる。
ソニーは液晶テレビ向けのパネルを自社で生産せず、韓国のメーカーなどから調達している。昨年から販売を始めた有機ELテレビも同じだ。
現在は、画像の色、明るさやノイズなどを調整し、美しい画像を映し出すためのソフトウェアの競争が激しくなっている。特にソニーは画像処理技術を得意とし、テレビの「高画質」を前面に押し出している。また、画面から音が出ているように感じる設計にするなど、コンテンツを臨場感あふれるものにするための工夫も重ねている。
このようにソニーは、洗練されたデザインや使いやすさなども含め、付加価値の高い製品に特化した「量より質」の戦略を明確に打ち出している。家電部門だけで黒字が出るようなビジネスモデルを試行錯誤して、成功を収めたと筆者は考えている。
ソニーは映画、音楽、銀行など、幅広い分野でビジネスを展開しており、もはや総合電機メーカーとはいえない存在になった。だが、依然としてソニーブランドの黒物家電は多くの「ファン」がいる。
ソニーは液晶テレビ向けのパネルを自社で生産せず、韓国のメーカーなどから調達している。昨年から販売を始めた有機ELテレビも同じだ。
現在は、画像の色、明るさやノイズなどを調整し、美しい画像を映し出すためのソフトウェアの競争が激しくなっている。特にソニーは画像処理技術を得意とし、テレビの「高画質」を前面に押し出している。また、画面から音が出ているように感じる設計にするなど、コンテンツを臨場感あふれるものにするための工夫も重ねている。
このようにソニーは、洗練されたデザインや使いやすさなども含め、付加価値の高い製品に特化した「量より質」の戦略を明確に打ち出している。家電部門だけで黒字が出るようなビジネスモデルを試行錯誤して、成功を収めたと筆者は考えている。
「気骨」見せる日の丸家電
各社とも、10年後に海外のメーカーなどに勝っているかもしれないし、負けて家電から撤退しているかもしれない。しかし現在、日本の家電メーカーに共通するのは「座して死を待つ」のではなく、戦略を熟考しつつ、海外メーカーに勝とうとする「気骨」を見せていることだ。
各社の担当者らの話を聞きながら、「日の丸家電」にも海外製品と戦える底力がある、と筆者は安堵(あんど)した。耳を澄ますと復活の足音が聞こえてくる気がする。今後の総合電機メーカーから目が離せない。
■中村 吉明( なかむら・よしあき )
1987年、早稲田大大学院修了、通商産業省(現・経済産業省)入省。環境指導室長、立地環境整備課長、産業技術総合研究所企画副本部長などを経て、現職。米スタンフォード大大学院修士課程、東京工業大大学院博士課程修了。専門は産業政策論、産業論。近著に「AIが変えるクルマの未来-自動車産業への警鐘と期待」(NTT出版)がある。
各社の担当者らの話を聞きながら、「日の丸家電」にも海外製品と戦える底力がある、と筆者は安堵(あんど)した。耳を澄ますと復活の足音が聞こえてくる気がする。今後の総合電機メーカーから目が離せない。
■中村 吉明( なかむら・よしあき )
1987年、早稲田大大学院修了、通商産業省(現・経済産業省)入省。環境指導室長、立地環境整備課長、産業技術総合研究所企画副本部長などを経て、現職。米スタンフォード大大学院修士課程、東京工業大大学院博士課程修了。専門は産業政策論、産業論。近著に「AIが変えるクルマの未来-自動車産業への警鐘と期待」(NTT出版)がある。
専修大学教授 中村吉明