トランプ氏:シリアに警告「48時間以内に重大な決断」
シリアでの化学兵器使用を「残忍で凶悪」と改めて非難
【ワシントン高本耕太、ブリュッセル八田浩輔、モスクワ大前仁】トランプ米大統領は9日午前、ホワイトハウスで開いた閣議の冒頭、シリアでの化学兵器使用を「残忍で凶悪」と改めて非難し、「今後24~48時間以内」に重大な決断をするとの考えを示した。前日の8日にはアサド政権が「大きな代償を払うことになる」とツイッターで警告しており、昨年4月に続く軍事行動に踏み切る可能性もある。9日には超タカ派で新任のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)統括の下、国家安全保障会議の幹部会議が開催される見通しだ。
トランプ氏は8日、マクロン仏大統領と電話で協議し、化学兵器使用に関し「アサド政権が責任を負うべし」との認識で一致し、「強力な合同の対抗措置」の実施も確認した。シリアに派遣した米軍の早期撤収も主張するトランプ氏だが、この日はツイッターに「けだもののアサド」と投稿。アサド政権の後ろ盾のプーチン露大統領やイランも強く非難した。
トランプ政権は昨年4月にシリアの化学兵器使用への対抗措置として、シリア空軍基地へ計59発のミサイル攻撃を実施。これがアサド政権に戦略転換を強いるまでの影響を与えていないとみて、再攻撃に踏み切った場合、より大規模なものになる可能性がある。トランプ氏は9日、米軍幹部らとの会合も予定しており、軍事選択肢について説明を受けるとみられる
また欧州連合(EU)も8日の声明で、被害状況などの証拠からアサド政権による化学兵器攻撃だと示唆されると指摘し、「化学兵器が、特に民間人に使用され続けているのは重大問題だ。最も強い表現で非難する」と述べた。
一方、露外務省は8日、東グータ地区で住民が塩素ガスで攻撃されたとの情報を否定する声明を発表し、「根拠がなく、偽りの臆測は、テロリストと、妥協しようとしない反体制派をかばう狙いがあるものだ」と反論。さらに「(外部勢力が)シリアへ軍事介入すれば、そこには正当な政府の依頼を受けて露軍が駐留していることから、容認できるものではなく、最悪の結果を招く恐れがある」と指摘。米国が軍事介入しないようけん制した
