スーパー・コンビニ「公設民営」 買い物弱者対策 出店相次ぐ

8/21(月) 10:59配信
北海道新聞
自治体が事業者に働きかけ
 人口減で採算の悪化したスーパーが撤退したり、その恐れが高まった地域で、市町村が建設費を補助する「公設民営」店舗の出店が今年、道内で相次いでいる。いずれも住民の訴えを受け、自治体が事業者に働きかけ実現した。背景には、重要な社会インフラの小売店がなくなれば地域は衰退するという危機感がある。

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建設費の半額3550万円を補助





 「閉店したスーパーでは週2、3回買い物していた。地域から店がなくなったら生活は困ったはず。本当によかった」。今月1日、紋別市の上渚滑(かみしょこつ)地区にオープンした「セイコーマート上渚滑店」に来店した近くの主婦小川富美子さん(72)は笑顔を見せた。

 上渚滑地区は人口約920人。地区で唯一のスーパーが1月、経営難で撤退した。車のない高齢者も多く、住民らの期成会が市に商店誘致を要請。市はスーパーを市の第三セクターに暫定的に引き継ぐ一方、誘致を働きかけていたセコマ(札幌)との交渉を加速させ、店舗建設費の半額3550万円の補助を提案した。

 店内にはバス待合所や催しに使える空間も設け、住民が来店しやすい環境を整えた。紋別市の宮川良一市長は「災害時の拠点にもなる。店の役割は大きい」と強調する。
運営費補助も迫られる可能性
 空知管内沼田町では4月、町や地元経済界などが建設費を負担した商業施設の中核店として、道北アークス(旭川)の「ダ・マルシェぬまた店」が開店。3月に閉店した町内唯一のスーパーの後継店だ。オホーツク管内滝上町、西興部村でも自治体が建設費などを補助した店が年内にオープン。富良野市も2015年、生鮮食料品店が少ない地区で出店する事業者への補助制度を設けた。

 買い物弱者問題に詳しい明星大の関満博教授は「広い北海道は移動販売の経費もかさみがちで、公設型店舗は増える」とみる。ただ公設型も人口減の進行で採算が悪化し、運営費補助も迫られる可能性を指摘。「さらに公費投入を認めるのか、店の商圏外の住民も含めた議論が必要」と話す。



(紋別支局・半藤倫明、北見報道部・和賀豊)






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最終更新:8/21(月) 16:06
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