カリスマYouTuberヒカルの年収は5億円 「日本一にふさわしいのはぼく」〈dot.〉

8/15(火) 10:33配信
AERA dot.
 2017年8月現在、並み居る人気YouTuberを抑えて月間登録者数1位に輝いているヒカル(Hikaru)。「日本一のYouTuberになる」「勝てる自信がある」など“ビッグマウス”に隠された本音と戦略、そして後進への思いを聞いた。

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――8月13日に埼玉県所沢市で開かれたオフ会には全国から約2千人が集まりました。

ヒカル:チャンネル登録者数が100万人を超えたときに、「なにかほかとは違うおもしろいことをやろう」と軽い気持ちで始めました。これから、1年間で3万人くらいと会うと思いますが、やっぱり視聴者さんに会うとすごく楽しいし、励みになります。

――オフ会には小学生から大人まで幅広い層が参加していました。

ヒカル:ぼくの動画は基本的に30代の男性が好みそうな内容で構成されています。カードゲーム屋のおっさん(店長)を起用した、大人が楽しめるようなトーク動画など、小学生や若者が面白いと思うような内容ではない。だから動画では、小学生や中高生に人気のカードを登場させたり、人気ゲーム機をプレゼントしたりして、大人と若者の両方が視聴する理由をつくる。これがぼくの動画の根本的なロジックです。

――登録者数200万を超える人気YouTuberと無料で会えるイベントは珍しいですね。

ヒカル:芸能人ではないので、お金をいただいて来てもらうことには抵抗があります。歌も踊りもできない、これといった芸を持たないぼくに地方からでも会いに来てくれるのですから無料で当然だと考えています。

――昨年、動画クリエイター事務所のVAZと共同して、youtuber事務所「NextStage(ネクストステージ)」を設立されました。

ヒカル:YouTuberとしての立ち位置や戦略、動画の企画に対して企業案件以外で事務所から「こうしろ」と言われたことはなく、すべて自分で考えています。事務所で主催のイベントは違いますが、オフ会のような個人のイベントを開くときは、取材対応などの広報活動は事務所に協力してもらっていますが、経費は自分で負担しています


――毎回となると膨大な金額になりそうです。

ヒカル:今年度の年収は5億円くらいになると思います。視聴者さんがいてこその収入なので、これくらいは当たり前です。

――5億円ですか。すごいですね。その内訳を教えてください。

ヒカル:広告収益(再生数に応じた報酬)が60%。あとは企業案件が40%です。広告収益は1再生あたり0.1円くらいが平均と言われていますが、ぼくの場合は動画の再生時間が長かったり、高評価が多かったりするので単価が高く設定されていて、広告収益がほかのYouTuberよりも高い。

――どんな企業から依頼がきますか?

ヒカル:視聴者の年齢層が若いので圧倒的にゲームアプリ会社が多いです。最近、依頼が急増しているので、月に4本くらいと決めています。3カ月先まで予定が埋まっているのが現状です。アプリだとダウンロード数というものさしがあるので、動画を投稿した後、すぐに効果がわかります。だから企業さんもYouTuberに依頼するのだと思います。

――競馬の宝塚記念で1340万円を使ったり、人気ゲーム機を100台プレゼントしたり、お金がかかる企画が多いですよね。

ヒカル:「札束の暴力」と言われています(笑)。動画でお金を使うのは僕の個性のひとつです。圧倒的な個性がないといまのYouTube界では生き残っていけません。いろんなジャンルを扱うYouTuberが増えて、新規参入がとても難しくなっています。

――大金を使うことに対して視聴者からの批判も少なくありません。

ヒカル:嫌われることも個性のひとつだと考えています。大きなことを言って興味を抱かせ、動画に誘導する。嫌いだけど無視できない。そんなYouTuberを目指しています。正直な話、批判されてもまったく怖くない。本音で話して嫌われて、それで評価が下がっても、質の高い動画を投稿し続けていれば必ず再評価されます。嫌われることを恐れて本音を話せなくなるほうが怖い




――ヒカキンさん、はじめしゃちょーさんなど、超有名YouTuberを抜いて「日本一のYouTuberになる」と公言されています。なぜ「一番」にこだわるのですか?

ヒカル:トップとその他大勢では得るものがまったく違うからです。メディアの取り上げ方も違いますし、もちろん収入も違う。あとはぼくくらいしか「日本一」にふさわしい人間はいないと信じているからです。

――その根拠はなんですか?

ヒカル:自分の才能を信じていることと、戦略的に考えて日本一になれる自信があることです。

――どんな戦略ですか?

ヒカル:魅力的な動画を毎日投稿し続ける。それと「日本一になる」と言い続けることも重要です。洗脳ではありませんが、それを視聴者さんに刷り込んでいく。「もしかしてヒカルが日本一になるんじゃないか」と思わせる。いま3割くらいの視聴者さんは本気で考えていると思います。それが半数を超えると、大きな風になる。ぼくの頭の中では、すでに1位になった自分が見えています。あと2年くらいですね。そこで日本一に手が届きそうになければYouTuberはやめようと思っています。
――NextStageには禁断ボーイズさん、ピンキーさんなどのYouTuberが所属しています。彼ら後輩をどのように見ていますか?

ヒカル:本人と直接話したことはありませんが、禁断ボーイズのいっくんは大変な才能の持ち主です。年下を尊敬したことはあまりないのに、彼に対してはそれに近い思いを抱いています。以前の彼は夢ばかりが大きくて実力と経験が伴っていませんでした。そのうえ天才肌の職人気質で、動画の編集を自分でやらないと気がすまないタイプ。でもNextStageを立ち上げてからは、ぼくの考え方や行動を盗むようになった。いまは周囲に頼って、彼にしかできない企画立案などに時間を割くようになりました。これが戦略的な行動です。

――最近の禁断ボーイズさんは毎日動画を投稿しています。

ヒカル:実は彼はコミュ障で、たまに病むんです。ツイッターで批判されると1日中悩んだり、動画投稿が長い期間止まったりすることも過去にはありました。周囲を頼るようになって精神的に安定してきましたね。

――今後について教えてください。

ヒカル:正直、心の底からYouTuberでいることを楽しんだことはありません。ぼくにはいっくんのようなクリエイティブな才能はない。「札束の暴力」と言われるようなパワーゲームを戦略的に続けているだけです。いずれ禁断ボーイズは、ぼく以上の支持を集めるトップYouTuberになると思います。彼らのような後輩に道を譲って、それを支援するような立場になると思います。

※9月29日発売予定の『AERA English 2017秋冬号』(朝日新聞出版)にもヒカルさんのインタビュー記事を掲載します。




最終更新:8/15(火) 15:55
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