『鳥貴族』大倉忠司社長 「息子の夢より自分の夢」を追い続けて

7/31(月) 6:30配信
マネーポストWEB
『鳥貴族』が居酒屋チェーンのトップに君臨しようとしている。味にうるさい大阪の地で、9坪という小さな店から始まった店を、「全品280円均一」という戦法でここまで育て上げたのは、何よりも“自分の夢”を大切にする男だった。攻めの手をゆるめない彼の次の一手は。そして夢を後押しする家族の思いとは──。
 町工場で生まれ育った『鳥貴族』代表取締役社長の大倉忠司さん(57才)が飲食業を選ぶきっかけになったのは、高校時代のビアガーデンでのアルバイト。
「とても楽しくて、この道で生きようと、調理師専門学校に進学しました。高校時代に天職に出合えるなんて幸せだと思ったのですが、今思えば、自分で天職にしたのですね。もしアルバイト先が洋品店で、そこが楽しかったなら、きっと今頃衣料の仕事をしていたでしょう」(大倉さん。以下「」内同)
 その後、近所の焼き鳥店で働き、そこの店長から「一緒に大きなチェーンを作らないか」と誘われて入社。25才で独立し、鳥貴族1号店を立ち上げた。
「初めは閑古鳥でした。当時は悩みましたが、だんだん、“悩んでいるときこそ成長している”ことに気づいたんです。そのうち、困難に当たると“よし来た”と思うようになりました(笑い)」
 創業から1年後、全メニューを250円均一にすることで、赤字が好転した。
「100円ショップもそうですけど、均一ショップって安いだけじゃなくて、お得なものを見つける楽しさがあって、そこが面白いと思ったんです。『これは値段通りの商品だな』と感じることもあれば、『あっこれはお得かも』と思うことがある。それが面白い」
 1985年の創業から休みなく夢中で働き、事業を拡大させてきた大倉さん。「仕事が楽しいから、プライベートで息抜きをするという意識は全くなかった」と振り返る。しかし5年ほど前から、週休2日制を守るよう部下に言われ、土日は休むようになった。
「丸一日休むのは盆と正月くらいでしたから、子供たちの学校行事に一度も参加したことがありませんでした。今は罪滅ぼしのつもりで、家族団らんの時間をつくっています。3人の息子たちはすでに成人して独立しているので、年に1~2度家族で食事に行ったり、温泉旅行に行ったりしています」




大倉家は祖父の代から起業家だ。商売人の家系である証に、“忠”の字を継ぎたいという思いから、長男の名前にも“忠”をつけた。
 仕事に没頭し、長く母子家庭状態だった大倉家だが、家族仲はよく、息子たちは一度も反抗期がなかったという。

「妻が私を父親として立ててくれたのが大きいです。『お父さんに感謝しなさい』と言って育ててくれました。だからなのか、息子たちには絶対に私の悪口を言わない。見てないでしょうけど、私は自分の背中を見せて、働く姿勢を伝えてきたつもりなんですけどね。自分の力で、夢を追い続けてほしいと思っています。

 誤解してほしくないのは、私は息子らの夢より自分の夢の方が大事だということ。自分の人生ですからね。応援はしますけど、息子たちには、説教じみたことは言いませんよ。ただ、カラオケでは『野風増』を歌って、メッセージを伝えています。“男は夢を持て”ってね(笑い)」

 酉年も後半戦。大きな夢を背負った『鳥貴族』は、さらに力強く羽ばたきそうだ。

※女性セブン2017年8月10日号







最終更新:7/31(月) 13:20
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