埼玉県で平均世帯年収が最も高い学区は「さいたま市中央区上落合」の862万円――。不動産情報サイト「住まいサーフィン」を運営するスタイルアクト(東京都中央区)が東京都、神奈川県、千葉県に続き、埼玉県の学区ごとの年収一覧を公表した。
「埼玉県で最も世帯年収が高かったのは、再開発が盛んな、さいたま市中央区にある上落合小学校の学区でした。中でも上落合7丁目には、国家公務員宿舎や大手企業の大規模社宅があり、特に年収が高いエリアとなっています」(スタイルアクト担当者)
だが、この上落合小にしても、他都県のトップと比べると見劣りする。東京1位の港区立南山小(平均1409万円)は別格として、神奈川1位の川崎市立宮前平小(同1044万円)、千葉1位の千葉市立打瀬小(同1064万円)に大きく離されているのだ。
「さいたま市は、市街地環境の保全を理由に建物の高さ制限が厳しく、浦和駅西口南高砂地区など一部を除き、高層マンションが建ちにくい。これが世帯年収の低迷に影響したと考えられます。小規模マンションは建て替えや買い替えが難しく、資産価値でタワマンに劣る。高収入のサラリーマンが購入をためらう可能性があります」(不動産業界関係者)
そしてもうひとつの疑問が、文教地区として知られ、人口も多い「さいたま市浦和区」が県内トップでなかったこと。合併前は旧・与野市に位置する上落合小(最寄り駅はJR埼京線「北与野駅」)の1位は、正直なところ意外な気もする。
■きっかけは公務員宿舎の値上げ?
この疑問の答えが、スタイルアクトの「国家公務員宿舎があり……」というコメントにある。
国家公務員の年収は670万円程度と発表されているが、これはあくまで管理職を除外したものだ。人事院勧告のモデル年収では、本省課長補佐(35歳・配偶者、子1人)で約744万円、同課長(45歳・配偶者、子2人)が約1200万円となっている。
「その高給取りの公務員が住む国家公務員宿舎の家賃が、国民の批判で3年前から段階的に値上げされた。東京23区の世帯用(管理職クラス)の平均家賃6万5700円は11万6300円と5万円以上も高くなった。ところが、さいたま市などの官舎の値上がり幅は低く、月5万~6万円程度の家賃で済むので、官舎を引っ越した人も多いと聞く」(前出の不動産業界関係者)
実は、神奈川1位の宮前平小も、周辺に公務員宿舎が多い。人気の武蔵小杉エリアがトップにならなかったのも、推して知るべしか。
最終更新:4/22(土) 9:26
