「学歴・頭のIQ」で、「仕事能力」は判断できない。仕事ができるかどうかは、「仕事のIQ」にかかっている。
『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(ミセス・パンプキンとの共著)が合わせて25万部突破の大ベストセラーになった「グローバルエリート」ことムーギー・キム氏。
彼が2年半の歳月をかけて「仕事のIQの高め方」について完全に書き下ろした最新刊『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』は、早くも20万部を突破、「ITエンジニアに読んでほしい! 技術書・ビジネス書 大賞 2017」ビジネス書部門の大賞を受賞し、世界6カ国で翻訳も決定するなど、世界中で注目を集めている。
この記事の写真を見る
本連載では、ムーギー氏が「世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ教訓」の数々、および「日常生活にあらわれる一流・二流の差」を、「下から目線」で謙虚に紹介していく。
本連載の感想や著者への相談、一流・二流の体験談・目撃談はこちら
■入社早々判明する「デキない」新入社員
「桜が今年もきれいやのう~。ほんでも、この週末の雨で、すぐ散ってしまうのが悲しいがな~」
というわけで、2017年も4月中旬にさしかかり、街中でフレッシャーズスーツを身にまとった若者たちが、社会人デビューよろしく連日飲み会に繰り出している。
何事も始まりが大切なものだが、世の中には入社した途端、その後の悲惨な末路を予想させる、早くも没落した新入社員も少なくない。
私は今回の記事から、人に対して「二流」という言葉を使うのをやめた。これは、「人を一流と二流に分けるな」という愛する読者からの反発が、あまりにも強いからだ。
別に編集部にいさめられたわけではない。しかしながら、この全体的な「人を一流と二流に分けるな! 大バカ自称『グローバルエリート』めが!!」という空気を“忖度(そんたく)”して、「二流」という言葉を書く使ってコラムを断筆宣言することにしたのだ。
私が「二流」の代わりに今後使っていく言葉は「最弱」である。
最弱の新入社員とは、入社式から早くも遅刻するのは当たり前。新人研修のときは学生時代のノリでウケを狙って滑ってしまうのが基本形。おまけに学生気分が抜けずに入社初日に、社内恋愛の相手をひたすら物色している人たちのことだ。
そんな最弱の新入社員は、どのようにして、入社早々、人としての弱みをフルスロットルで発揮してしまうのか。たかだか入社して1週間も経っていないのに、桜が散る前にすでに出世コースから散ってしまっていることが、ものの見事にバレてしまうのか。早速、紹介していこう。
最弱な新入社員の特徴その1が、なんといっても学生時代の気分がまったく抜けない人たちだ。
■的外れ、目立ちたがり、面接だけはうまかったのに…
【1】学生時代のノリで、目立ちたがり
先輩社員になぜだか友達として振る舞い、入社初日で早くも反感を買ってしまう、ダメダメな新入社員の人たち。
全体会議でもゼミの時の発表よろしく、積極的に手を挙げては的外れな発言を連発し、社員全体をドギマギさせる。
揚げ句の果てに、地道な仕事はまったくやらないのに、会社の慰労会などのイベントの司会など、目立つ仕事だけはすべて積極的に引き受けるのだから、手に負えない。
日本ほど、「大学生に対する寛容性」と「社会人に求める規律正しさ」のギャップが大きい社会はない。
この社会から求められる行動規範の変化に適応できない人は「会社生活への不適合者」として、入社早々、そのキャリアの先行きに、ダメダメのバッテン印がついてしまうのである。
【2】面接だけうまかったのに……仕事はまったくできない!
次に最弱新入社員の典型が、面接では大活躍したのに、入社したあとは毎日その面接担当者を「後悔のどん底」に突き落とす人たちである。
これは、就活市場が売り手市場で、企業がこぞって採用数確保のために前のめりの採用活動をしていることと無関係ではない。面接対策や就活コーチングを施す塾やセミナーの増加に伴い、面接のテクニックだけは達者だが、仕事の意欲は「まったくない」人が急増しているのである。
私はうわべだけの就活対策や面接対策には猛反対である。自分の志望動機が低く、適性のフィットもないのに、とにかく面接で「その会社が聞きたがること」「聞いて喜ぶこと」だけを振り付けし、面接だけ難なく突破して、入社後に活躍できるわけがないからだ。
就職活動や採用活動の成否は、単にその経歴に見合った「よい会社」に入ることではない。そもそも入社後も自分がモチベーションを高く保ち、自主的に仕事に励みたくなるような精度の高いキャリアマッチングができているかどうかが大切なのだ。
この点、面接だけは難なくこなしたものの、まったく適性のない職場に入ってしまった人は、入社早々、「スタートダッシュ」の反対ともいえる「スタートストップ」状態に陥ってしまうのだ。
そしてやりたくない苦手な仕事の重圧に押しつぶされ、5月病を待たずして、早くも4月病を発症してしまうのだから、私はお手上げで、すっかり降参である。
最弱新入社員の3つ目にして、人として最も致命的な特徴が、なんといっても、早くも社内恋愛に奔走する人たちである。
【3】新人研修で、早くも同期と恋に落ちる
学生気分の抜けない二流の……ではなく、学生気分の抜けない「恋愛体質の新入社員たち」は、とにかくすぐ恋に落ちる。
私がいた某大手外資系の某企業では、入社早々、同期のみならず複数の先輩と恋に落ち、男性中心の職場をすっかり「恋の修羅場」にしてしまった、二流の美人女性社員がいたものである。
このような「恋愛体質の女性」は、数カ月ごとに次々と社員と恋に落ち、さらに、悔しいことに、私以外のほぼ全員と交際するありさまだった。
■「恋愛体質」美人女子社員の末路は?
これは性差別ではないのかと糾弾しなければならない、けしからん話なのだが、「優秀な男性社員が会社に来るモチベーションを高めるために、きれいな女性社員を雇おう」などという、二流、三流以下の恥ずかしすぎる採用基準を掲げるおじさんたちが存在する。
そんな中、社員のモチベーションを上げるどころか、毎週のようにさまざまな社員と大いなる自由恋愛を繰り広げ、男性社員の同期がみな恋敵となってしまう、恥ずかしいありさまだ。
恋人をめぐって入社早々、「恋のバトルロイヤル」を繰り広げる失態をさらしている会社があるのは、大変恥ずかしいのみならず、恐ろしいことである。
しかし、お天道様は、天罰を与えるものである。やがて、「彼女のせいで社員同士の仲が悪化し、殺伐とした二流の職場になっている」との経営陣のおしかりを受け、その「恋愛体質」の美人女性社員は、すっかりプロジェクトから干されてしまったのだ。
ここまで、入社早々、その将来のキャリア転落が約束される、恥ずべき没落社員の特徴を、顔を赤らめながら書きつづってきた。それでは、入社した途端、将来の活躍が予想される「最強の新入社員」の特徴とはどのようなものだろうか?
ここまで述べてきた「アカン新入社員」の恥ずかしい3大特徴を兼ね備えていないのは最低限の条件として、「最強の新入社員」は総じて、以下のような特徴を有している。
■「最強の新入社員」の3大特徴
【1】「社会人としての自覚」がある
まず将来が明るい新入社員は、社会人として求められる「礼儀正しく、規律正しいはつらつとした若者像」を見事に体現してみせる。
まだ学生気分が抜けずにおちゃらけた同期が多い中、プロフェッショナルマナーを意識して大人の振る舞いを見せるだけで、比較的、簡単に「印象良好なスタートダッシュ」が可能なのだ。
【2】「何でもやりますスピリット」がある
最強の新入社員は、どんな仕事でもまず謙虚に全力投球するものである。
使いづらく、徐々に仕事を任せられなくなる最弱新入社員に限って「私はそんな仕事をするために、入社したわけではありません。それは、バイトさんか秘書さんに任せたらどうですか?」などと平気で口にしたりする。
ダメダメ新入社員が何かにつけて仕事を選別している間に、最強の新入社員は「どんな仕事でも、その人と信頼関係を築く好機」ととらえ、どのような雑務でも期待以上の仕事を行い、社内で徐々に信頼関係を築いていくのである。
【3】「旺盛な学習習慣」がある――日々の雑務に忙殺されない
最後に、「最強の新入社員」と「最弱の新入社員」の間で最も大きな差がつくのが、「日常の雑務に忙殺されず、学習習慣をもっているかどうか」の違いだと言っても過言ではなかろう。
多くの企業で、いざ入ってみると、「ろくでもない資料作成」や「つまらないエクセルへのデータ入力」「上司に依頼されたプレゼン作成のトリプルチェック」など、それはそれは退屈な仕事が、際限なく自分を襲ってくるものである。
しかし、その後、早々と出世していく最強の新入社員たちは、これらの雑務に忙殺されることなく、必ず自分の勉強時間を確保する。
そして、雑務以外の「この職場で学んだことを、次の転職の時に高値で売ってやる」くらいのたくましい商売根性で、戦略的に重要なコア業務への継続学習を欠かすことがないのだ。
ここまで、4月にめでたく新入社員となられた、若手社員の皆様に、エネルギー満タンの応援コラムを書いてきたわけだが、みなさんの会社の「最強の新入社員」とは、どのような特徴を有した人々だろうか?
社内人間関係の多くが初対面で決まってしまうことが多いだけに、「入社時の自分への評判」には細心の注意を払わなければならない。
皆様にとって実り多きキャリアに向けた、幸先よいすばらしいスタートダッシュになることを祈念しつつ、今回の記事を締めさせていただきたいと思う。
