黒い下着のイメージ、男は「セクシー」女は「○○」の衝撃

ダイヤモンド・オンライン 12/23(金) 6:00配信


 男性のみなさん、パートナーへのクリスマスのプレゼントに下着はどうだろうか。『トリンプ下着白書』の読み方を、同社の女性社員お二人に解説してもらった。意外だったのは「黒」の下着に対する男女のイメージの差だ。(「週刊ダイヤモンド」論説委員 原 英次郎)

 クリスマスのプレゼントはもう購入されたただろうか。日本では、男性が奥さんや彼女とともに、下着を買いに行くという習慣は定着していないが、クリスマスや誕生祝いのときくらいは冒険してもいいかもしれない。

 そこで、トリンプ・インターナショナル・ジャパン(以下、トリンプ)の『トリンプ下着白書vol.16』(2016年6月発表)の読み方を教わりに、同社に突撃してみた。対応してくれたのは、メディア&コンシューマーマーケティング部ブランドコミュニケーション課の増田佳子さんと今井悦子さんだ。

● 多くの女性が適正なサイズの ブラジャーを選んでいない

 同白書でまず注目すべき結果は、経年で見るとブラジャーのサイズが大きくなっていること(次ページ図参照。図はすべて『トリンプ下着白書vol.16』より)。Dカップ以上が過半数に、あと一歩のところにまで迫っている。本当に日本女性の胸は大きくなっているのか。答えは半分イエスで、半分ノーと言えそうだ。

 戦後70年以上をかけて、日本人の生活様式も変化し、栄養状態も改善したため、確かに日本女性のバストは徐々に大きくなってきた。一方、ブラジャーの選び方も影響しているようだ。

 「実際にお店でブラジャーを試着してみると、ワンカップ、ツーカップ大きいサイズにあがることが多いんです。自分のサイズを過小評価しているんですね。バストを盛り上げる状態が正しいと認識している方が多いということも、影響しているのではないでしょうか」(今井さん)

 一世を風靡した「寄せて上げる」がブラジャー選びの常識と思っている女性が多かったが、その認識が修正されつつあるいうことらしい。実際、下着白書の調査によれば、試着して自分が思っていたサイズと異なっていた経験が「ある」と答えた人の割合は、85%にも達している。

 女性の体形は男性以上に出産や年齢によって大きく変化する。パートナーには試着して、適正なサイズを把握するように、アドバイスしてみてはいかがだろうか。

● 年代を超えて人気の色は 「ピンク」「黒」「ベージュ」

 次がブラジャーの色。「何色のブラジャーを一番多くお持ちですか? 」との問いに対しては「ピンク」「黒」「ベージュ」が、年代を問わず不動の御三家となった(右図)。ショーツでは黒がトップである(右下図)。年代別でみると若い層でピンクの比率が高く、年代が上がるほどベージュの割合が高くなる。黒はどの年代でも安定した支持を受けている。

 全くのおじさん感覚で黒の下着といえば、「セクシー」「大人の色気」を感じてしまうが、どうもこれは妄想らしい。

 「女性からすると、黒はスポーティな感じなんです。黒は透けて見えても実は“エロ”くありません。例えばブラジャーの肩ひもが見えていても、タンクトップのひものようにも見えるので、使い勝手がいい色なんです。だから、世代にかかわらず支持されている」(増田さん)

 黒が想起させる男女のイメージの差は、おじさん記者とっては大きなショックでもあり、新鮮でもあった。

 下着白書では、下着の色としても最も好きな色を都道府県別に聞いている。黒がトップに来た上位3県は、福岡県、鹿児島県、沖縄県の九州勢、黒の人気が低いのが、秋田県、青森県、群馬県の東北・北関東勢。「やっぱり情熱的で、開放的な九州は黒かぁ」と、またも妄想してしまうが、毎年の調査ごとに都道府県の順位が大きく変わるため、なかなか一定の解釈はできないとのことだった





 購入価格は 低下傾向が顕著

 最後が購入するブラジャーの価格帯についてだ。1000円~2000円未満(下図)が購入の中心価格帯となった。

 「下着も2極化の傾向が見えます。ブラジャーを消耗品と考える人は1000円~2000円のものを購入し、こだわる人は1万円前後の高額のものをお買いになります。それでかつてブラジャーの中心価格帯だった5000円前後が苦戦している。14年の消費増税で、より消耗品として捉える傾向が強くなっています」(今井さん)

 景気と購入価格帯の関係については、1980年代後半から90年代初めのバブル期のデータがないため、定かなことは言えないが、低価格化を推し進めきた大きな要因の一つに、新たなコンセプトの商品の登場がある。その代表が2008年にユニクロが発売した「ブラトップ」。ブラトップとはキャミソールやタンクトップの内側にブラジャーの機能がついたもので、従来のブラジャーのようにバストの形を整えるためのワイヤーは入っておらず、着心地が「楽」だという(男の私には確かめようがないが)。中心価格帯はまさに1000円~2000円である。

 下着はファッションの盛衰とも深くかかわっている。バブル期以来の大きな流れを、簡略化して振り返れば、次のようになる。

 バブル期は体のラインがはっきり出るボディコン(ボディコンシャス)な服が流行った。このためブラジャーもバストの谷間を強調したり、形をきれいに大きく見せる機能が重視された。その後、バブルが崩壊し失われた20年の間にゆったりとした服が主流になり、バストの形をあまり気にしなくてもよくなる。2000年代に入ると「癒し系」がブームになり、つれて「ナチュラル」や「楽」というコンセプトの商品が支持されるようになる。

 変化の兆しが見えたのが、12年に安倍政権が誕生しアベノミクスをぶち上げて、日本の景気も上向くのではという期待が高まった頃。ファッションや下着でもバブル的なものが復活するのではという期待が高まった。体のラインを強調するようなファッションも出たという、だが、これまでのところ「期待は幻想に終わっています」(今井さん)。

 下着のトレンドを見る限り大きな変化は見られず、ポジティブさアグレッシブさを感じさせる傾向は出ていない。その点ではアベノミクスはいまだ成果をあげすといったところだ。男性用と違い、女性の下着はバリエーションが多い分、奥が深い。

 ちなみに、調査時点は11年とやや古いが、クリスマスに女性が着たい、男性が着てほしい下着の色は、女性が赤、ピンク、黒の順、男性が赤、黒、ピンクの順だった。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161223-00112519-diamond-bus_all&p=2



週刊ダイヤモンド編集部

最終更新:12/23(金) 6:00
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