Clarionはカーオーディオで

フルデジタルサウンドシステムを実現して、

多数販売しているので、

ホーム・オーディオ(ポータブル・オーディオ)

に、簡単に、移行することが、できたんですねえ!

信号劣化のない

デジタル伝送の

究極のピュアサウンド

只今現在、オンリーワンな製品ですので

是非、聴いてみたいですねえ。

でも、私は、

「音の川下には、真空管」を

推薦している人間ですので

矛盾いたしますが、

やはり、

ピュアーなデジタル伝送の音とは???

「気になります!」
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技術の粋を集めた結晶。あのClarionが作ったフルデジタルサウンドヘッドホン「ZH700FF」を聴く



野村ケンジ






先日Clarion(クラリオン)が発売した「ZH700FF」は、PCなどとのUSB接続やポータブルプレーヤーなどとの光接続によって、格段にピュアなサウンドを実現する、フルデジタルサウンドにこだわったハイエンドヘッドホンだ。





カーナビやカーオーディオで有名なClarionが「なぜいきなりヘッドホンを手がけたの?」という疑問を持つ人もいることだろう。

当然、筆者もそう思ったのだが、開発者にいろいろと話を聞き、製品に触れていくことで疑問が解消し、ZH700FFのコンセプトが明確に分かるようになってきた。そういった経緯を踏まえつつ、ZH700FFの詳細について紹介していこう。

カーオーディオで培ったフルデジタルサウンドシステム

そもそも、カーオーディオの世界では狭い&レイアウトの自由度がない空間で良質なサウンドを実現しなければならず、そのためにデジタルサウンドコントロールが欠かせない。

実際、そういった音質&音場補正技術はAVアンプよりも早いタイミングでスタートし、20年以上にわたり追求し続けてきたこともあって、現在はかなり高度なテクニックやノウハウが盛り込まれたサウンドシステムを作り上げている。

その最先端モデルとしてClarionが手がけているのが、フルデジタルスピーカー「Z7」やフルデジタルサウンドプロセッサー「Z3」などで、巧みなデジタル調整技術と“スピーカーユニットのボイスコイルまでデジタル伝送することで究極のピュアサウンドを実現する”という画期的なコンセプトにより、これまでにない良質なサウンドを実現するに至っている。



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Clarionはカーオーディオでフルデジタルサウンドシステムを多数販売している。左からZ3、Z7、Z25W




そんなカーオーディオで培ったClarionならではの技術力、上質なサウンドを幅広い人に知って欲しい、という思いで作り上げられたのが、このZH700FFなのだ。

そのためZH700FFには、一般的なヘッドホン作りとは視点の異なる発想や、Clarionならではの音響技術が数多く盛り込まれている。

たとえばドライバーユニットは、高級モデルに採用実績のある平面振動板を採用しつつ、さらに、振動板の両側にマグネットを配置しつつダンパー部が不要な「フローティング構造」や、複数のエッチングパターンを張り巡らせた「マルチボイスサーキット構造」を採用する独自タイプを開発。高い応答性と低歪みを実現している。


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「フローティング・フラットドライバー」の構造図。平面振動板を穴の開いたケースとネオジウムマグネットで挟み込む。フローティング構造としたことで、振動板の面全体をデジタル信号で高速応答駆動することができる




とはいえ、最大のトピックといえばやはり、カー用スピーカーなどで培ったフルデジタル構成のサウンドシステムだろう。Clarionが「フルデジタルサウンドテクノロジー」と呼ぶこちらのシステム、最終のドライバーユニットまでデジタル信号で伝送されるため、信号劣化のない画期的な方法となっている。




ZH700FFに搭載された画期的なテクノロジー

具体的には、Dnoteと呼ばれるデジタル信号処理技術を活用したものだが、片側4つのボイスサーキットをセットで採用していたり、デジタルコントロールも併せて独自のサウンドチューニングを施すなど、Clarionならではのノウハウも多岐にわたってみられる。

また、回路ブロックごとに独立したLDO電源を採用することでノイズを低減したり、SILMICアルミ電解コンデンサやPMLCAPフィルムコンデンサなどの高品位パーツを妥協なくチョイスすることで、更なる高音質化を推し進めている。このあたりは、ハイエンドモデルならではの贅沢な造り込みといえる。



いっぽう外観に関しては、ブラック&シルバーの落ち着きのあるカラーコーディネイトを基調としつつも、ひねりの入ったカタチのアルミ製ヨーク(ヘッドバンドとハウジングの接続部分)や、電池の残量&充電状況を4色表示するLEDイルミネーションなど、一目でそれと分かる個性的なデザインにまとめ上げられている。


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横から見たところ。ひねりが加えられたアルミ製ヨークがデザイン上のアクセントになっている




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イヤーカップ部にはバッテリーの残量を色で表示するイルミネーションも装備



また、内部に低反発素材を採用したイヤーパッドは、後方斜め下がいちばん厚手となる立体縫製仕上げを採用。これにより、外部の騒音をしっかり遮断すると同時に、平面振動板ドライバーユニットが斜め前方に位置することで適切な定位感が得られるよう配慮されている。
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後方斜め下(写真では上部)が最も厚くなる立体縫製仕上げのイヤーパッド
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快適な装着感と音質に配慮した構造と設計



もうひとつ、このフルデジタルサウンドシステムには大きなメリットがある。それは、バッテリーの持ち時間がかなり長いことだ。音質を最優先にして開発された製品であるのにもかかわらず、光デジタル接続で約12時間、電源効率が最も悪いスマホなどとのOTG-USB接続であっても約6時間という連続再生を実現している。


もちろん、ヘッドホンでもっと持続時間の長い製品はあるが、音質に妥協のないハイエンドモデルでありながら、実用的なバッテリー持続時間を実現してくれたのは、ありがたい限りだ。

ZH700FFのサウンドとは?

さて、いよいよ肝心の音質についてレビューしていこう。ということで、同梱されているUSBケーブル(これがまたこだわりの強い一品で、布巻のOFCケーブルを採用している)を使い、「ZH700FF」をMacBookAirと接続してそのサウンドをチェックした。ちなみに、プレーヤーはAudirvana Plus 2.60を使用している(Direct Modeをオフにする必要があった)。
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右のイヤーカップにボリュームボタンを装備



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USB端子からPCの音声を入力することが可能だ


 
一聴して感じるのは、正統派と例えるべきだろう、とても素直な、とても自然に感じる音色だ。よく聴くと、帯域特性や音場感などかなり細部までデジタルコントロールさせている様子が随所に見られるのだが、まとめ上げ方が巧みで、ナチュラルという言葉がピッタリのサウンドに作り上げられている



音場もごく自然で、完全な前方定位とまではいかないが、左右にも奥行き方向にもしっかりとした広がり感を感じる、良質なサウンドフィールドを実現している。

たとえば、よしうらけんじ「Birds and Seven Woods」(アルバム「TONES」収録曲)は、デジタルエフェクトを一切使わず、ホールのエコー成分のみで構成されている自然な音場感が特徴の楽曲だが、キレの良いパーカッションが生み出す響きによって、各楽器の配置はもちろん、反響音によってホールの大きさや壁の素材まで実感できる。こういったリアルさは、素性の良い音色あってこそ実現できるもの。そういった点で、なかなかの資質の高さを感じさせる。


 
いっぽうで、Ysayeのヴァイオリンの音色は、普段よりもボーイングのタッチが柔らかく、優しげに聴こえる。倍音の乗り方が良く、心地よい響きになっているのだろうか。とはいえ、フォーカスの高い基音によって、豊かな表現の演奏を聴かせてくれるのも確かだ。




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選択している入力ソースを表示するインジケーターも用意




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光デジタル入力はステレオミニ入力と兼用の端子だ



 
女性ヴォーカルもナチュラル至上主義の歌声といったイメージ。たっぷりとした低域を含むため、ほんの少し鼻にかかったハスキーな歌声で、情緒感たっぷりに歌い上げてくれる。また、ヴォーカルレコーディングやマスタリングの特徴が顕著に表れるのも興味深い。



たとえばTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND「打ち寄せられた忘却の残響に」の24bit版(小池光夫氏マスタリング)/32bit版(原田光晴氏マスタリング)を聴き比べると、24bit版がとても素直でのびやかな声なのに対し、32bitのほうは発声のしっかりした艶のある声に感じられる。こういったほんのちょっとの違い、ハイレゾならではの表現の違いをしっかりと拾い上げてくれるあたりは、素晴らしくもありがたい。



 
続いて、プレーヤーをPCからDAP(Astell & Kern AK380)に変更し、光ケーブル接続で聴いてみる。なお、今回の試聴では光ケーブルはSUPRAを使用した。

DAPとの接続では抜けの良いダイレクトなサウンドが聴ける

なんと、こちらはPCに比べてヌケの良い、ダイレクト感の高いサウンドへと変化する。ヴァイオリンは演奏の立ち位置が近くなり、細部までしっかりと見渡せるサウンドとなった。




サウンドキャラクターとしては、やや高域の表現が鋭くなったイメージで、輝きの強い音色に変化している。自然さ、という点ではPCとのUSB接続に分があるものの、音のインパクトの強さ、活き活きとした表現ではこちらだろう。またJポップ系との相性も、こちらの方が良いかも。TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDを聴くと、よりクリアな演奏を楽しむことができる。

最後にひとつだけ、リクエストしたい部分がある。それは低域の表現についてだ。

基本的には質感の高い、響きの美しい低域なのだが、たっぷりとした量感を確保しているためか、多少なり中域の楽器に影響を及ぼす傾向がある。そのため楽曲のジャンルや種類によっては、もう少し低域のピークを下に持っていくか、ややボリュームを絞りたくなる。ほんのちょっと、もう一声のバランス調整が欲しい気になるのは確かだ。
 
などと言っていたら、朗報が入ってきた。実はこの「ZH700FF」、デジタルコントロールで音質調整を行っているため、ある程度のチューニング変更が可能となっていて、将来的に別のプリセットを提供できないか、ただいま検討している最中という。



こちらはユーザー自身が調整できるわけではなく、保存できる設定も1つだけだが、好みやよく聴く音楽ジャンルに合わせてある程度の音色調整を行えるのは嬉しい限り。ぜひとも実現を期待したい。


 
このように「ZH700FF」は、既存の高級ヘッドホンとは生い立ちだけでなく理想の音質へのアプローチも異なる、オンリーワンな製品であることが確認できた。

もちろんオーディオ機器なので音の良さが最優先なのは当然だが、コンセプトや存在感の強さもあわせて魅力をカタチづくっている個性際立つ製品で、一度気になったら手放せそうにない製品であると断言しよう。

(特別企画 協力:Clarion)