(CNN) 世界で2番目に高い超高層ビル「上海中心大厦(上海タワー、高さ632メートル)」に、三菱電機の超高速エレベーターが導入された。エレベーターとしては世界一の速度で来場者を展望台へと運ぶ。
同エレベーターの速度は秒速20.5メートル。ウサイン・ボルト選手を上回り、チーターの走る速度に近い。
しかし速度を追求する超高層ビルは上海タワーにとどまらない。日立製作所はこの夏、中国南部の広州市で最も高い超高層ビルCTF(高さ530メートル)で、秒速20メートルの超高速エレベーターを披露した。地上階から95階まで、わずか45秒で到達する。
同ビルの開発にかかわった設計責任者は、「速さを望んではいたが、これほどの速度は予想していなかった」と振り返る。ただし「『最速』のタイトルはすぐに失うだろう」とも予想していた。
CTFのエレベーター内では速度が表示される。ハイテク技術を駆使した気圧調整システムで耳を守り、重力の影響で感じる耳詰まりなどの不快感を防ぐ仕組みも装備した。
サウジアラビアに建設中のジッダ・タワーは、2019年に完成すれば高さ1キロの世界最高層ビルになる。必然的に高速エレベーターは必須だ。
この課題に取り組むフィンランドのコネは、「ウルトラロープ」エレベーターを開発。炭素繊維製のケーブルを使って1キロ以上の長さをつり上げられる強度を実現した。
コネによると、ウルトラロープの重さは従来のロープのわずか3分の1。速度は秒速10メートルを上回り、52秒で最高層階に到達する。完成時には日立のエレベーターを上回る可能性もあるという。
ただし専門家は、エレベーターでは気圧が問題になることから、速度は秒速約24メートルが限界になると予測している。