<世界遺産・勝連城跡>古代ローマ銅貨が出土 国内初

毎日新聞 9月26日(月)22時32分配信



 ◇「海外との交流を考える貴重な資料」

 沖縄県うるま市教育委員会は26日、世界遺産で国指定史跡の「勝連城(かつれんじょう)跡」から、3~4世紀のローマ帝国のコインとみられる銅貨4枚と、17世紀のオスマン帝国のコインとみられる銅貨1枚が出土したと発表した。国内の遺跡から両帝国のコインが出土するのは初めて。勝連城はアジアとの交易で14~15世紀に栄えたとされることから、市教委は「当時の沖縄と海外との交流を考える貴重な資料になる」としている。

 市教委によると、2013年度に「四の曲輪(くるわ)東区」で遺構調査したところ、小さな円形の金属製品10点を発見。ローマ文字やアラビア文字、人物像が確認されたことから、専門家と分析した結果、5枚が両帝国時代の銅貨とみられることが判明した。

 3~4世紀のローマ帝国時代の銅貨とみられるのは4枚で、このうち2枚は14~15世紀と推測される地層から出土した。大きさは直径1.6~2センチ、厚さ0.1~0.17センチ、重さ1.5~3.6グラム。当時の皇帝とみられる肖像やローマ字が打たれているものもある。

 また、1枚はオスマン帝国の銅貨とみられ、直径2センチ、厚さ0.6ミリ、重さ1.2グラム。「1687年」を示す当時の暦が刻まれているのが確認された。

 勝連城は12~13世紀に築かれ、民衆から人気が高かった有力按司(あじ)(領主)の「阿麻和利(あまわり)」の居城として知られる。阿麻和利が首里王府軍に攻め入られて敗北したことで1458年に廃城した。2000年に世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つとして登録された。






【佐藤敬一】

最終更新:9月26日(月)23時12分
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