<韓国船荷>世界で漂流…海運最大手破綻、入港拒否され

毎日新聞 9月11日(日)10時30分配信



 【ソウル米村耕一】


韓国の海運最大手、韓進(ハンジン)海運が8月末に日本の会社更生法適用に相当する「法廷管理」を申請した。事業そのものは継続しているが、取引先などとの事前調整が不十分だったため、破綻後に世界各地で韓進の船舶が入港を拒否され、国際的に物流が混乱する事態に発展している。

 ◇政府対応に高まる批判

 入港できないのは入港料や荷降ろしにかかる費用を誰が負担するのか不透明なほか、債権者から船舶を差し押さえられる恐れがあるためだ。聯合ニュースによると、港に入れないまま漂流しているコンテナ船は10日現在で77隻、積み荷の総額は最大で140億ドル(約1兆4000億円)規模になったという。韓国メディアはサムスン電子のディスプレーや冷蔵庫などを乗せたコンテナ船2隻が米カリフォルニア州ロングビーチ港沖で立ち往生しているなどと報じた。サムスン電子側が荷降ろし費用を負担すると申し出ている状況だという。

 経営破綻そのものは韓進海運の問題だが、韓国内では物流が混乱しないよう事前に対策を取っておくべきだったと、韓国政府の対応への批判も高まっている。聯合ニュースによると柳一鎬(ユイルホ)経済副首相兼企画財政相は9日、国会で「結果的に荷主に被害が行き、事後対策しかできていないとの批判については謙虚にうけとめる」と述べ、対応の不手際を謝罪した。

 混乱解消のために韓進海運の母体である韓進グループが1000億ウォン(約93億円)規模の支援を表明しているが、まだ実行されていない。

 物流企業の経営破綻では、日本航空が2010年、あらかじめ主要取引先などと調整して債権の扱いや経営支援先を決めておく手法で会社更生法を申請し、混乱を回避して運航を続けたケースがある。

 ◇日本国内にも影響…荷主代替手段

 国土交通省によると、日本国内でも、入港料や荷役料金を払えなくなった韓進のコンテナ船が各地の港に入れなくなり、一時立ち往生した。その後、本社から母港のプサンに帰るよう指令があり、全船がプサンに向かったという。

 コンテナ船には食料や機械部品などが積まれており、国内の荷主に影響が出ている。東京港では荷主が入港料などを負担してコンテナを降ろしたケースもあるが、荷主の多くはプサン港で韓進のコンテナを他の船に積み替えるなど代替手段をとらなければならないという。







【川口雅浩】

最終更新:9月11日(日)13時34分
毎日新聞