なぜ「盗撮」は減らないのか? 撮りたがる加害者の心理に迫る

卑劣な盗撮事件が後を絶たない。スマートフォンの普及で簡単に撮影できるようになったことも背景にある一方、小型カメラを仕掛けるなど巧妙な手口で犯行に及ぶケースもある。盗撮に手を染める加害者の心理を探ってみた。
《盗撮》
盗撮は刑法に規定がなく、各都道府県が迷惑防止条例で「卑わいな行為」などとして禁止。1年以下の懲役や100万円以下の罰金などの罰則がある。〔毎日新聞〕
盗撮は刑法に規定がなく、各都道府県が迷惑防止条例で「卑わいな行為」などとして禁止。1年以下の懲役や100万円以下の罰金などの罰則がある。〔毎日新聞〕
多すぎる盗撮、巧妙化する手口
年間2408件…スマホでの犯行は最多の33%
警視庁の統計では、都内の盗撮の検挙件数は平成23年が263件だったが、24年に484件、25年は633件に増えた。25年の警察白書によると、24年中の全国の盗撮検挙件数は2408件で、犯行に使われたのは、スマホが792件(33%)と最多。シャッター音を消すアプリも頒布されており、誰もが簡単に盗撮することができる環境にある。
防犯用、監視用名目で販売される隠しカメラを悪用
隠しカメラなど盗撮用の機器は、防犯用や介護の監視用という名目でネットなどで販売されており、販売自体は違法ではない。小型のカメラによる盗撮は非常にわかりづらく、直径1ミリ程の穴があれば設置可能だと言われている。
トイレや脱衣所に…女性が協力するケースも
風俗ライターの蛯名泰造氏によると、喫茶店などのトイレにある汚物入れの底の部分を2、3センチ上げ底にし、内部にカメラを仕掛ける手も。温泉の脱衣所では協力者の女が洋服のボタンにカメラを仕込んで撮影するという。
自撮り棒で低いアングルから盗撮
スマホの画面を下に向けて取り付けていた自撮り棒
腕時計型の隠しカメラで動画撮影
文字盤の「6」の下にレンズが仕込まれた時計型のカメラ
「盗撮スポット」を紹介するサイトまで存在
警察関係者によると、ネット上には女性の下着を盗撮しやすい人気スポットを集めたサイトがあるという。特定の商業施設の名前をあげて「エスカレーターが急勾配で有名」と説明したり、「朝の通勤ラッシュ時は色んな人間がいるから怪しまれることはほとんどない」などと指南している。