ここにきて日本市場に於けるマツダの足踏み状況が顕著になってきた。
今年に入り対前年の販売台数は急落。59.2%という激しい落ち込みを見せた5月の数字で驚いていたら、6月になって一段と落ち込み、54.4%だという。昨年6月の半分しか売れていないということになる。
マツダCX-4やスバルの投入予定新型SUV他を写真でチェック(画像37枚)
今年前半の累計も74.7%と25%ものダウン。売れ行き急減の理由はいくつか挙げられるけれど、最大の課題だと思われるのが新車効果に頼った販売戦略だと思う。
毎年出していた新型車の売れ行きを調べてみたら、1年程度で落ちてしまう。メディアの露出が少なくなるのと比例している。
なぜか?
ここにきてマツダは値引きを極端に絞ってきた。マツダに聞くと「値引きしてまで売りたいと思わない!」と強硬。どうやら値引きの本質が理解出来ていないようだ。
マツダ低迷期でも付き合ってくれた顧客層に対しても頑として値引きはしない模様。買えない客は長年マツダを乗ってきてくれた顧客でも手放しているようなのだ。
また、中古車市場を分析すると新型車は大きなマイナーチェンジまで高い相場をキープしている。中古車と新車が同じモデルだからだ。
けれどマイナーチェンジを行えば型式遅れになってしまう上、中古車の流通台数増え、相場は明確に落ちてしまう。
中古車の価格は下取り査定と密接にリンクしているから、当然の如く値落ちする。リセールバリューが悪くなってしまう、ということ。
そいつを調整する役割を果たしているのは「値引き」なのだ。したがってデビュー直後は値引き無し。1年ごとに10万円くらいづつ拡大するくらいでちょうど良い。
なのにマツダは発売から3年経ったモデルでも値引きしない。ユーザーからすれば毎年割高になっていく。売れなくて当然だと思う。
毎年新型車を出すという戦略もあるが、昨年の場合、販売台数を望めないロードスターのみ。今年も中国で導入したSUV「CX-4」の国内導入を断念したことで、新型車無し。
抜本的な販売戦略を変更しない限り、厳しい状況が続いてしまうと考える。そんなこんなで株価も直近の高値の半額以下になった。
一方、堅調なのはスバル。年内に新世代プラットフォームを使う新型インプレッサを発売予定。売れ筋になっているSUVも来年は「XV」や「フォレスター」をフルモデルチェンジして投入する計画という。
株価だって直近の最高値5080円に対し、最近の株価下落の流れを受けても3642円(マツダの高値は3208円で今や1376円)。
このあたりでマツダは流れを変えたいところだ。
[Text:国沢光宏]