「猫たちを守りたい」 行き着いたのが保護猫カフェの運営だった

sippo 7月6日(水)11時45分配信



 猫とふれあえるだけでなく、保護団体などから引き取った猫を譲渡してもらえる「保護猫カフェ」が奈良県内に2店ある。「殺処分ゼロ」を目指す店は、猫を飼いたい人が保護猫と出会える場となっている。

【写真特集】洋館のような保護猫カフェ

 近鉄生駒駅のほど近く、黒猫の看板が保護猫カフェ「Dear Cat」の目印だ。多い日は30人ほどが来店する。

 広々とした洋室に十数匹の猫がいる。どれも飼い主を失ったり野良だったりした猫たちだ。飼い主を募集しており、2015年10月に開店し、これまでに28匹が新しい飼い主の手に渡った。

「人なつっこいね!」。津市から訪れた川口理子さん(9)が黒猫をなでて言った。代表の沢江奈緒子さん(29)から捨て猫だったと聞き、「何でそんなことするんだろう」。

 猫は沢江さんが保護施設や愛護団体から引き取った。ペットショップで4年ほど働いた経験がある沢江さんは、動物との関わり方を考えた末、保護猫カフェに行き着いた。猫を大切にしたいという思いを店名に込めた。

 引き取った猫は感染症を検査し、避妊や去勢の手術をする。譲渡を希望する人には、長く飼い続けてもらえるかを確認したり、家に行って環境をチェックしたりする。1週間ほどの試し飼い期間も設ける。沢江さんは「二度とつらい思いをさせないように。そんな思いです」と話す。

 もう1店は橿原市八木町の「和風桶(おけ)猫喫茶withラブファイブ」。14年6月に開店した。店にいるのは店長の横田千絵さん(30)が保護団体から引き取った猫たちだ。家で猫を飼えないという桜井市の歯科衛生士、染矢英維(えい)さん(25)は「店の雰囲気が良くて、去年から週に1回ほどのペースで通っています」。

 これまで譲渡した猫は37匹。横田さんは「猫とふれ合い、一匹一匹を知ってほしいです」と話す。譲渡後も飼い主が店を訪れたり、連絡を取り合ったりと、交流は続いているという。

 県と奈良市によると、15年度に県内の保健所に収容された猫1795匹のうち、自然死を含めた殺処分は1673匹。5年前と比べて221匹減った。




sippo(朝日新聞社)



最終更新:7月6日(水)11時45分
sippo