「1番・ライト」で出場したイチローがパドレス戦の1回に先頭打者として内野安打でローズの4256本の歴代最多安打に並ぶと、ツイッターでは、瞬時にMLB公式、ESPN公式、FOXスポーツ公式などが次々にイチローの日米通算安打がローズのメジャー通算安打と並んだことを伝えた。
2安打目で、日米通算でローズのメジャー通算安打数を超えると、再び祝福ツイートがあふれた。各メディアのツイートは米国人ファンに分かりやすく伝えるためか、オリックス時代とメジャーリーグ時代の画像を並べ、それぞれで記録した安打数を加えるなど工夫。
メジャーリーグ公式ホームページは、イチ-ローズ:記録を組み合わせたバッターが、ヒットの物語を発展させていく、というタイトルで記事を載せた。
イチローは九回に二塁打を放ち、未知の領域へ入った。イチローの通算安打は現在4257本、日本で1278本、メジャーリーグで2979本。メジャーリーグのヒットキング、ピート・ローズは4256本で彼の野球生命を終えている、と表現。
マーリンズのマッティングリー監督は「明らかにイチローはとても特別な選手。彼の今日の記録、進み続けて3000本へ向かっていることを見るのはとても素晴らしいこと。この場で、こういったことを見ることができたのは素晴らしいことだ」と自身の喜びを語った。
マーリンズのデービッド・サムソン球団社長は書面で「もしも、チームに25人のイチローがいれば、25回、ワールドシリーズ優勝リングを得られるだろう」などと談話を発表。
メジャーリーグ公式ホームページでは最後に、MLBはこのコンバイン記録は承認しておらず、そのためイチローはメジャーリーグ記録を更新したわけではなく、イチローはサム・ライス(2985安打)メジャー通算安打30位リストに近づいていると結んでいる。
対戦したパドレスのサンディエゴユニオントリビューン紙は「イチローはイチローの方法でピート・ローズを撃った」という見出し。
イチローが試合後の会見で、「いつの日かデレック・ジーターのような誰かがミスター・ローズの記録にチャレンジし、越えてくれればよいと思う。試合を正しい方法でプレーできる誰かが」と話したとし、イチローは注意深く言葉を選んで礼儀正しく、日米通算安打記録に反論しているピート・ローズにメッセージを送ったようだとした。
この記者はシンシナティ出身でローズの現役時代を知っているそうで、引退後のローズの状況を少々嘆きながら、イチローに対しては「あなたは自分で勝ち取り、当然のこととして名声を得たのだ」と締めくくった
ニューヨークデイリーニュース紙は、「悪いな、ピート・ローズ。イチローがずっとメジャーリーグでプレーしていたら、4600安打していたという理由はこれだ」という見出し。
ピート・ローズの「日本の記録とは比べられない」という主張に対して、「日本は130試合なので、イチローは、むしろ安打数を失っているのだ。イチローはメジャーでプレーしなかったことで350ヒットを失っていると考えられる。4256安打にこれを足すと、4606本となる」と数字を出した。
同紙は、かつてのチームメートで、先に3000本安打を達成しているヤンキースのアレックス・ロドリゲスが記録について語ったコメントを掲載。
「アレックス・ロドリゲスはイチローの素晴らしさをしゃべり尽したが、メジャーリーグは一つしかないと言った」と見出しをつけた。あくまでも非公認記録というスタンスだ。
ロドリゲスは、「02-03年に彼(イチロー)の家で食事をしたときに、イチローは50歳までプレーしたいと言ったので、椅子から転げ落ちそうになった。彼はとてつもない情熱と集中力を持っている。今までに見たことのないユニークな打者」とイチロー素晴らしさについて存分に語った。その一方で記録については「メジャーリーグはメジャーリーグ。メジャーリーグはひとつしかない」と日米通算安打数とメジャー通算最多安打数とは比べられない、という考えを示した。
もしもイチローが始めからずっとメジャーリーグでプレーしていたら、との質問には「ピートを怒らせたくはない」とアレックス・ロドリゲスは笑いながら、「イチローは、どんなことにも可能性はある。レジェンドたちを疑うことはない。ピートもイチローも2人ともレジェンドだ」とローズを立てながらも、「イチローが最初からメジャーリーグでやっていたら記録を更新した可能性もあっただろう」と仄めかした。
イチローの日米を合わせた記録を巡る論争に関して、A.ロッドのこのコメントがひとつの答えなのだろう。
つまりイチローの能力と努力は、日米の垣根もローズのそれをも越えたものなのである。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160616-00000003-wordleafs-base&p=2