日産自動車が韓国政府と徹底抗戦の構えだ。同社のディーゼル車「キャシュカイ」が不正に排ガス規制を逃れたとして韓国環境省から韓国日産と同社長が刑事告発された問題で、日産が不正認定取り下げなどを求め行政訴訟を検討していることが明らかになったからだ。日産ははなから不正を全面否定しており、日本の外務省や経済産業省と連携して「いわれなき」不正認定を覆すために争う方向だ。
日産が何より受け入れがたいのが不正認定。韓国での不正認定が、事実のように各国に“飛び火”すれば、ブランドイメージを損ねる恐れがあるからだ。
ただ、問題をめぐる韓国政府と日産の認識は大きく異なる。韓国環境省が問題視するのはキャシュカイに搭載された排ガス低減装置の温度。キャシュカイにはエンジンが壊れるのを防ぐため、一定温度になると排ガス低減装置が止まる機能が搭載されている。
この機能は各社も搭載しており、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が違法ソフトウエアを使い不正に排ガス規制を逃れていたのとは異なり、合法だ。
キャシュカイの場合、装置の停止温度が35度と韓国で売られる車の中でも低く排ガスも多かった。このため排ガス量から不正の“やり玉”に挙がったというわけだ。
一方、日産の言い分としては、キャシュカイは韓国の規制でも認める欧州の排ガス規制「ユーロ6」の適合を得ており、こうした事実からも「不正は一切ない」との立場。日産と韓国の意見は食い違ったままだ。