「トランプ氏は自衛隊を分かってない」 ブライアン・マグラス氏

産経新聞 4月10日(日)7時55分配信
 □米ハドソン研究所米海軍力センター副所長

 米大統領選でトランプ氏が共和党指名候補になれば党は破壊され、大統領になれば国、世界にとり非常に悪いことになると考え、友人のエリオット・コーエン(米ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院教授)と一緒に公開書簡への呼びかけを始めた。

 トランプ氏は二十数年来、同盟国が負担を引き受けないようなことを米国はやめさせるべきだと主張している。一方で、(イラクの)油田を爆撃して原油を手に入れろという。一貫した世界観があれば「新孤立主義」と「軍事的冒険主義」は両立しないはずだ。

 日韓に駐留米軍の費用を負担させるように主張しているトランプ氏は両国がどれだけの駐留経費を負担しているか理解していない。自衛隊がいかに強力かも分かっていない。(大統領になれば穏健路線を取るとの見方には)「希望は戦略ではない」といいたい。トランプ氏が穏健になったら、すべての支持者が激怒する。

 私は安倍政権の下で脅威を深刻にとらえ、日本国民の間に憲法の見直しや日本の役割強化を認める動きがあることがうれしい。大統領候補は同盟国とともに中国に強い姿勢を示したいと思うものだが、トランプ氏はそんなことは言わない。

 米国の「核の傘」はアジアの安定にとって有益だった。確かに核兵器や米軍駐留には費用がかかるが、米国が得る経済的な利益は大きい。トランプ氏のいうように米軍の撤退で軍拡競争の拘束が解かれれば不利益が生じる。(談)
最終更新:4月10日(日)8時38分
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