訪日中国人や台湾人の間で、日本のドラッグストアで買える化粧品が人気を集めている。美容マスクや洗顔料は、特に売れ行きが良く、購入に個数制限を設ける店も。留学生が、故郷の友人や知人に郵送するケースもある。なぜ化粧品まで爆買いするのか? (油原聡子)
■1回の購入金額が27万円超
2月下旬、東京・新宿の歌舞伎町にあるドラッグストアには、平日昼間にもかかわらず、大勢の客であふれていた。そのほとんどが中国人や台湾人という。
中国・上海からの旅行者の女性(28)は、マスカラやつけまつげを買いに来た。「日本製のほうが安全だから、欲しかった。中国製はイヤ」と話す。
男性2人と女性1人の中国人留学生のグループは、携帯電話の画面を見ながら、買い物カゴに次ぎ次ぎと商品を入れていた。女性は「中国にいる友人から頼まれた。日本の化粧品は人気。郵送することもあるし、中国に帰るときにお土産に持っていくこともあります」。すでにカゴには、シート状の美容マスク7箱が入れられていた。
この店の中国人スタッフの男性は「化粧品や医薬品を大量に購入する中国人は多い」と話す。美容マスクや化粧水、洗顔料が人気で、「1人2箱まで」など購入個数に制限を設けている商品もある。「中国人の旅行客が1回の購入で27万円以上支払ったこともありましたよ」と男性スタッフ。
同店の1日の来店客は1300人前後で、そのほとんどが外国人だという。最も多いのが中国人で、次が台湾人。最近は韓国人も増えている。男性店長(22)は「中国人旅行客の場合、団体ツアーの自由時間でもある夜に、買い物に訪れるケースが多いですね」と話す。
この店では、一昨年に免税カウンターを設けたところ、外国人の客が増加。売り上げが倍増したという。
■転売目的で大量購入も
日本のドラッグストア研究家で、訪日外国人向け情報サイト「オールアバウトジャパン」で化粧品や医薬品について執筆する、台湾人のチェン・スウビンさん(35)は「ドラッグストアで売られている化粧品は、中国や台湾で買うより、日本で買う方が安いことが多い」と話す。
人気に乗じて、転売目的での大量購入もあるようだ。中国では、個人がインターネット上で売買取引をするサイトで生計を立てている人も多いという。日本のドラッグストア化粧品はこういったサイトでも、人気商品となっている。
チェンさんが先日、東京・新宿のドラッグストアに行ったところ、中国人女性の2人組が買い物カゴ5つに、シートマスクや洗顔料などを大量に詰め込んでいた。女性の1人が「今は日本の化粧品を転売目的で買っている。韓国の化粧品は最近売れなくなってきた」と話していたという。
日本製の人気には、中国人の国民性も関係しているようだ。チェンさんは、「中国人は、自分の国を信じていない人が多い。中国製商品の安全性に不安があったり、偽物が多いと思っていたりする」と指摘している。
■中国のネットで日本製を紹介
また、百貨店で扱われるような日本の高級コスメブランドは、すでに台湾や中国にも出店しているため、日本よりも現地の方が安く買えることが多い。一方、ドラッグストアの化粧品では海外展開していないものもある。また、売っていたとしても、日本の倍近い値段で売られているケースもある。
台湾では10年以上前から、日本製のドラッグストア化粧品は注目されていたが、人気が高まったのはここ数年だという。台湾人向けの日本の観光ガイドにも、ドラッグストアの化粧品や医薬品が紹介されるようになってきた。チェンさんが、2012年に台湾で出版した日本のドラッグストアの化粧品や医薬品についてのガイド本もベストセラーになった。
こういった状況のなか、数年前から、台湾と中国の交流が盛んになったことで、台湾を訪れた中国人が、日本の情報を仕入れるようになり、日本のドラッグストア化粧品の人気が高まった。今では、中国のインターネット上で、さまざまな商品が紹介されているという。
チェンさんは「日本の化粧品はパッケージデザインが洗練されている。芸術に近い出来映えなのも人気の理由」と話す。季節ごとの限定パッケージやキャラクターとコラボレーションしたパッケージも好まれるという。化粧水や乳液など複数の化粧品の効能を1つで得られる「オールインワン化粧品」も、手軽に使えると人気だという。
■1回の購入金額が27万円超
2月下旬、東京・新宿の歌舞伎町にあるドラッグストアには、平日昼間にもかかわらず、大勢の客であふれていた。そのほとんどが中国人や台湾人という。
中国・上海からの旅行者の女性(28)は、マスカラやつけまつげを買いに来た。「日本製のほうが安全だから、欲しかった。中国製はイヤ」と話す。
男性2人と女性1人の中国人留学生のグループは、携帯電話の画面を見ながら、買い物カゴに次ぎ次ぎと商品を入れていた。女性は「中国にいる友人から頼まれた。日本の化粧品は人気。郵送することもあるし、中国に帰るときにお土産に持っていくこともあります」。すでにカゴには、シート状の美容マスク7箱が入れられていた。
この店の中国人スタッフの男性は「化粧品や医薬品を大量に購入する中国人は多い」と話す。美容マスクや化粧水、洗顔料が人気で、「1人2箱まで」など購入個数に制限を設けている商品もある。「中国人の旅行客が1回の購入で27万円以上支払ったこともありましたよ」と男性スタッフ。
同店の1日の来店客は1300人前後で、そのほとんどが外国人だという。最も多いのが中国人で、次が台湾人。最近は韓国人も増えている。男性店長(22)は「中国人旅行客の場合、団体ツアーの自由時間でもある夜に、買い物に訪れるケースが多いですね」と話す。
この店では、一昨年に免税カウンターを設けたところ、外国人の客が増加。売り上げが倍増したという。
■転売目的で大量購入も
日本のドラッグストア研究家で、訪日外国人向け情報サイト「オールアバウトジャパン」で化粧品や医薬品について執筆する、台湾人のチェン・スウビンさん(35)は「ドラッグストアで売られている化粧品は、中国や台湾で買うより、日本で買う方が安いことが多い」と話す。
人気に乗じて、転売目的での大量購入もあるようだ。中国では、個人がインターネット上で売買取引をするサイトで生計を立てている人も多いという。日本のドラッグストア化粧品はこういったサイトでも、人気商品となっている。
チェンさんが先日、東京・新宿のドラッグストアに行ったところ、中国人女性の2人組が買い物カゴ5つに、シートマスクや洗顔料などを大量に詰め込んでいた。女性の1人が「今は日本の化粧品を転売目的で買っている。韓国の化粧品は最近売れなくなってきた」と話していたという。
日本製の人気には、中国人の国民性も関係しているようだ。チェンさんは、「中国人は、自分の国を信じていない人が多い。中国製商品の安全性に不安があったり、偽物が多いと思っていたりする」と指摘している。
■中国のネットで日本製を紹介
また、百貨店で扱われるような日本の高級コスメブランドは、すでに台湾や中国にも出店しているため、日本よりも現地の方が安く買えることが多い。一方、ドラッグストアの化粧品では海外展開していないものもある。また、売っていたとしても、日本の倍近い値段で売られているケースもある。
台湾では10年以上前から、日本製のドラッグストア化粧品は注目されていたが、人気が高まったのはここ数年だという。台湾人向けの日本の観光ガイドにも、ドラッグストアの化粧品や医薬品が紹介されるようになってきた。チェンさんが、2012年に台湾で出版した日本のドラッグストアの化粧品や医薬品についてのガイド本もベストセラーになった。
こういった状況のなか、数年前から、台湾と中国の交流が盛んになったことで、台湾を訪れた中国人が、日本の情報を仕入れるようになり、日本のドラッグストア化粧品の人気が高まった。今では、中国のインターネット上で、さまざまな商品が紹介されているという。
チェンさんは「日本の化粧品はパッケージデザインが洗練されている。芸術に近い出来映えなのも人気の理由」と話す。季節ごとの限定パッケージやキャラクターとコラボレーションしたパッケージも好まれるという。化粧水や乳液など複数の化粧品の効能を1つで得られる「オールインワン化粧品」も、手軽に使えると人気だという。