日本語科目が廃止の危機=大学受験、存続運動広がる―英

時事通信 12月28日(月)15時15分配信

 【ロンドン時事】英国の大学入学の条件となる資格試験(Aレベル試験)の外国語科目から、日本語を除外する動きが出ている。
 フランス語やドイツ語などと比べ、受験者数が少ないことが理由の一つ。これに対し「日本語教育を守ろう」と、試験存続を求める運動が広がりを見せている。
 英国では統一的な大学入試はなく、大学側がAレベルの成績などを基に入学者を選抜する。大学進学を目指す16~18歳は、Aレベル試験に向けて通常3~5科目を集中的に勉強し、成績に応じて志望校の合否が決まる。外国語科目の日本語は2015年、222人が受験した。
 ところが、教育省の指針に基づき試験問題の作成・実施を担う民間の試験機関が15年春、日本語やポーランド語、ウルドゥー語など「受験者が少ない外国語」について、17年以降は新たな試験開発を行わないと発表。事実上の廃止宣言で、実行されれば、公的教育機関でこれらの言語を学ぶ機会が失われる可能性がある。
 発表を受け、在英邦人や関係者の間には「日本語教育の危機」への懸念が拡大。一部の日本語教師が始めた「日本語Aレベル存続」を訴えるオンライン嘆願書には、15年12月までに3600以上の署名が集まった。外国語教育奨励の方針を掲げるキャメロン政権は、試験機関に計画再考を促しており、「広範な言語教育の確保」(教育省声明)に取り組む構えだ。
 海外での日本語教育を支援する国際交流基金・ロンドン日本文化センターの赤澤智輝副所長は、「Aレベルは、英国で日本語を学習する生徒たちの目標になっており、ぜひ存続に向かうよう期待する」と語る。嘆願書のコメント欄には「日本語が大好きで、勉強したい。廃止はあんまりだ」「日本文化と言語は世界的にもユニークで、それを深く学び、理解するのは価値あること」といった声が寄せられている。 
最終更新:12月28日(月)15時20分
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