今治タオル、パリへのアンテナショップ出店中止
世界を 震撼 しんかん させたパリの同時テロの影響が、愛媛県内にも波及した。
今治市のタオル製造業者などでつくる「四国タオル工業組合」(近藤聖司理事長)は17日、同市内で定例理事会を開き、来年に予定していたパリへのアンテナショップ出店を取りやめることを決めた。ファッションの都で高品質タオルの知名度を上げて競争力の強化を図る狙いだったが、治安の改善が見通せないことから、スタッフの安全を考慮した。
同組合によると、2009年頃からフィンランドやイタリアなどの欧州諸国で事業者向けの展示会などに出展してきた。フランスについては、「年間約8000万人の観光客が訪れる発信力と大きな購買力のある地域」(近藤理事長)と位置づけ、来年1月から3月に、初めてパリに出店することにしていた。日本雑貨を扱うセレクトショップに、組合に加盟する約10社の商品などを並べる計画だった。今月初旬に、組合幹部らが現地を訪れて会場のセレクトショップを決定していた。
ただセレクトショップがある地域はパリ中心部にあり、テロ後に組合員からは出店の見直しを求める声が上がっていた。
この日開かれた理事会には、組合幹部ら約20人が出席した。組合員からは「せっかく準備してきたのだから実施すべきだ」「テロに屈するべきではない」といった意見もあったが、スタッフの安全確保などの観点から中止を求める声が大勢を占めたという。
近藤理事長は「安全が担保されない限りは店を出せない。非常に残念だ」と肩を落とした。計画に携わった理事は、「悔しい気持ちはあるが、安全が第一だ。改めて別の時期に、今治タオルの海外展開を考えていきたい」と話した。(林興希)
2015年11月18日 11時18分 Copyright © The Yomiuri Shimbun