<トヨタ>自動運転、ITが鍵 米シリコンバレーにAI会社

毎日新聞 11月6日(金)21時32分配信

 トヨタ自動車が6日、人工知能(AI)の研究開発を手掛ける新会社の設立を発表したのは、自動車各社が開発を進めている「自動運転車」でAIが中核技術になっているためだ。トヨタはAIの技術力を高め、自動車以外の分野でも新事業の創出につなげたい考えだ。ただ、AIや自動運転車を巡っては米グーグルなどIT大手も開発を急いでおり、業界の垣根を越えた開発競争が今後さらに激化しそうだ。

 「(AIを搭載した)自動運転や無人運転を活用して、多くの人に車の楽しさを伝える商品を提供したい」。東京都内で記者会見したトヨタの豊田章男社長は、自動運転技術の開発に臨む熱意を語った。

 トヨタが新会社の拠点を米国のシリコンバレーに置いたのは、グーグルやアップルなど米IT大手やベンチャー企業がひしめき、優秀な人材を確保したり、最先端の研究情報を入手しやすい環境にあるためだ。製造工程のムダを徹底的に省くモノづくりの代表企業として知られるトヨタだが、「ITで一日の長がある地域への進出は避けて通れない」(トヨタ幹部)と判断した。

 自動運転を巡ってはトヨタが2020年ごろに高速道路で自動走行できる技術を実用化すると発表。ホンダも同様の計画を明らかにしたほか、日産自動車は市街地での自動運転を目指して開発を加速させている。さらにグーグルも自前の試作車で公道実験を始め、アップルも開発が取りざたされている。「今後の自動車開発で主導権を握るのはIT企業」との見方もあり、こうした危機感がトヨタの新会社設立を後押ししたとみられる。

 自動車アナリストの中西孝樹氏は「自動車産業もIT化が進み、何でも自前でできる時代ではなくなった。今後は業界を超えて、優秀な人材の囲い込み競争が激化する」と指摘している。

 AI技術は自動運転だけでなく、ロボットや建設機械、無人飛行機、家電などさまざまな製品やサービスに活用が期待されている。トヨタの豊田社長も「人工知能技術はさまざまな産業を支える基盤になる」と強調。介護ロボットの開発、工場の生産管理、物資の輸送管理などへの応用も視野に入れているようだ。AIに詳しい小林雅一KDDI総研リサーチフェローは「AIは成熟してしまった産業を再び活性化してくれる鍵を握る技術だ」と指摘している。【竹地広憲、片平知宏】

 【ことば】人工知能(AI)

 人の頭脳のようにさまざまな情報を認知して、判断することができるコンピューター。AIは「Artificial Intelligence」の略語。1950年代から米国を中心に研究が本格化した。最近は人が教えなくても自ら学ぶ「機械学習」の開発も進み、30年後には人類の知能を超えるとの予測もある。多様な製品、サービスでAIの活用が期待され、人の生活、仕事の在り方を大きく変える可能性がある。

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トヨタ、人工知能に1200億円 シリコンバレーに新社

朝日新聞デジタル 11月6日(金)14時28分配信

 トヨタ自動車は6日、自動運転などに使う人工知能技術の開発拠点として、来年1月、米シリコンバレーに新会社を設けると発表した。2020年までに約10億ドル(約1200億円)を投じる。

 新しい会社は「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」。最高経営責任者(CEO)に米国防総省の国防高等研究計画局でロボットコンテストなどに携わったギル・プラット氏を迎える。社員は200人程度を予定する。

 自動運転には、車載カメラなどで集めたデータの分析、判断を担う人工知能の技術が必要になる。トヨタの豊田章男社長は「私たちが人工知能技術を追求するのは、より豊かな社会を実現するためだ」とのコメントを出した。トヨタは人工知能の分野で米スタンフォード大、米マサチューセッツ工科大学と連携すると9月に発表している。(高橋諒子)
朝日新聞社



    最終更新:11月6日(金)16時32分
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      最終更新:11月6日(金)21時36分
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