<世界のヒット商品>ハウス「C1000」 タイで人気

毎日新聞 8月30日(日)11時45分配信

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 ハウス食品グループ本社とタイの食品メーカーとの合弁会社がタイで製造・販売するビタミン入り飲料「C-vitt(シービット)」は、日本で「C1000(シーセン)」で知られる同飲料の現地版だ。2012年に販売を開始したシービットは、「都市部のコンビニエンスストアで必ず置かれる『定番』飲料」(ハウス食品グループ本社)となり、年間14億円を売り上げるヒット商品に育った。

 タイではビタミンCをサプリメントとして摂取する習慣が徐々に広っている。「健康への関心が高まっているのに、おいしく飲める栄養補助飲料は少なく、商機がある」とみて、同社はタイ向け飲料の開発に乗り出した。

 課題は味付けだった。タイ人は甘めの味が好みで、日本の「C1000」では酸っぱすぎる。開発を担当した同社の角田哲男さんは、現地のジュース売り場などを歩き、タイ人好みの味を探った。「日本に戻って試作品をつくり、タイで試飲してもらい反応を見る」日々が続いた。

 試作を繰り返した結果、レモン味の酸味を抑えつつ、タイで庶民的な果物として親しまれている柑橘(かんきつ)類「マナオ」の風味を取り入れた新商品を開発。レモン味をベースにしたものだけでなく、現地で人気があるオレンジ味、ザクロ味もラインアップに加えた。

 タイでは、「ビタミンCは1本につき120ミリグラムまで」と規制されており、レモン果汁50個分のビタミンC(1000ミリグラム)を配合した「C1000」を名乗れなかった。このためビタミンを連想させる「Vitt」という造語と、「C」を組み合わせ、「C-vitt(シービット)」と名付けた。

 価格は標準的なジュースと同じ1本15バーツ(50~60円)に抑えた。毎日のように飲む若者もおり、角田さんは「さらに普及させ、タイ飲料業界の『4番打者』を目指す」と意欲を燃やしている。

 ◇武田食品のプラッシーが原点

 「C1000」の原点は、武田食品工業(当時)が1958年に発売したプラッシーで、ビタミンPとCを配合した機能性飲料の先駆けだった。ビタミンCを1本あたり100ミリグラム配合したシーアップを経て、90年にビタミンCを1000ミリグラム配合したC1000ブランドが生まれ、翌91年、レモン果汁を使ったビタミンレモンが誕生した。武田食品は2006年以降、親会社の武田薬品工業が医薬品に集中するため段階的にハウス食品グループに売却され、傘下のハウスウェルネスフーズがC1000を展開している。

【岡大介】


最終更新:8月30日(日)11時45分
毎日新聞