中国人観光客らによる「爆買い」で人気が高いのが“神薬”とも呼ばれる日本の医薬品。特に昨年10月に中国のネットメディアで「日本で買わなければいけない」と紹介された「12の医薬品」が売り上げを伸ばし、その中で5製品が取り上げられたのが大阪市に本社を置く中堅大衆薬メーカーの小林製薬だ。ニッチ(隙間)でも類似品のない新市場の開拓を目指す戦略が中国人らのハートをつかみ、爆発的なヒットにつながっている。(阿部佐知子)
◆サイトきっかけ
「インバウンド(訪日客)の取り込み策を強化する」。7月1日の新製品発表会で、小林製薬の小林章浩社長はこう意気込んだ。
好調なのが、傷口に塗ると皮膜で菌の侵入を防ぐ液体絆創膏「サカムケア」だ。4~6月の売り上げは前年同期の5倍以上。このほか、皮膚の赤みを改善する塗り薬「ニノキュア」は約1・5倍、額に貼るタイプの冷却剤「熱さまシート」は約4割増になった。
売り上げが伸び始めたのは、昨年10月に中国の大手ポータルサイト、捜狐(SOHU)で「日本で買わなければいけない12の神薬」という記事が掲載されたのがきっかけだという。同サイトでサカムケアは「傷口を水分から保護するので衛生的」と紹介され、熱さまシートは「はがれにくい。急な発熱のために常備したい」とコメントが載っている。
◆「他にはない」
なぜ、これらの売れ行きが好調なのか。小林製薬の広報担当者は「日本製の安心感と類似商品がないためでは」と分析する。
他に12製品に選ばれた大正製薬の「口内炎パッチ」は一般的な塗り薬の口内炎薬と異なり、シールのように貼るタイプにしたのが特徴で患部に密着させることができる。同じく12製品に入った参天製薬の目薬「サンテボーティエ」は疲れ目に対する効能だけでなく、香水の瓶のような容器とバラの香りが高級感があり、女性向けと紹介された。
?中堅メーカーの戦略
大衆薬で市場規模が大きいのはドリンク剤や胃腸薬、風邪薬などだ。それだけに発売する企業は多く、大規模な投資ができる大手でないと差別化や新規参入は難しいのが現状。中堅メーカーの小林製薬はあえてこういった売り上げ規模の大きい市場を狙わず「新市場を開拓し、そこで高いシェアを獲得すること」(小林社長)を追求する。
たとえば額に貼る冷却シートの市場規模は45億円程度で、同社の熱さまシートがシェア約54%を占める。市場規模が500億円近くにのぼる解熱鎮痛剤には遠く及ばないが、その中で数%にとどまるより、自ら市場を開拓して確実に収益を上げていくやり方だ。
こういった「ニッチ」を狙った商品開発を成功させてきた同社は他にも女性用保健薬でシェア57%の「命の母」や、洗眼薬シェア65%の「アイボン」シリーズなどを持つ。中国人ら訪日外国人の爆買いの影響で平成26年度の売り上げが約8億円伸びたと分析しており、今年はさらに拡大を見込む。
◆サイトきっかけ
「インバウンド(訪日客)の取り込み策を強化する」。7月1日の新製品発表会で、小林製薬の小林章浩社長はこう意気込んだ。
好調なのが、傷口に塗ると皮膜で菌の侵入を防ぐ液体絆創膏「サカムケア」だ。4~6月の売り上げは前年同期の5倍以上。このほか、皮膚の赤みを改善する塗り薬「ニノキュア」は約1・5倍、額に貼るタイプの冷却剤「熱さまシート」は約4割増になった。
売り上げが伸び始めたのは、昨年10月に中国の大手ポータルサイト、捜狐(SOHU)で「日本で買わなければいけない12の神薬」という記事が掲載されたのがきっかけだという。同サイトでサカムケアは「傷口を水分から保護するので衛生的」と紹介され、熱さまシートは「はがれにくい。急な発熱のために常備したい」とコメントが載っている。
◆「他にはない」
なぜ、これらの売れ行きが好調なのか。小林製薬の広報担当者は「日本製の安心感と類似商品がないためでは」と分析する。
他に12製品に選ばれた大正製薬の「口内炎パッチ」は一般的な塗り薬の口内炎薬と異なり、シールのように貼るタイプにしたのが特徴で患部に密着させることができる。同じく12製品に入った参天製薬の目薬「サンテボーティエ」は疲れ目に対する効能だけでなく、香水の瓶のような容器とバラの香りが高級感があり、女性向けと紹介された。
?中堅メーカーの戦略
大衆薬で市場規模が大きいのはドリンク剤や胃腸薬、風邪薬などだ。それだけに発売する企業は多く、大規模な投資ができる大手でないと差別化や新規参入は難しいのが現状。中堅メーカーの小林製薬はあえてこういった売り上げ規模の大きい市場を狙わず「新市場を開拓し、そこで高いシェアを獲得すること」(小林社長)を追求する。
たとえば額に貼る冷却シートの市場規模は45億円程度で、同社の熱さまシートがシェア約54%を占める。市場規模が500億円近くにのぼる解熱鎮痛剤には遠く及ばないが、その中で数%にとどまるより、自ら市場を開拓して確実に収益を上げていくやり方だ。
こういった「ニッチ」を狙った商品開発を成功させてきた同社は他にも女性用保健薬でシェア57%の「命の母」や、洗眼薬シェア65%の「アイボン」シリーズなどを持つ。中国人ら訪日外国人の爆買いの影響で平成26年度の売り上げが約8億円伸びたと分析しており、今年はさらに拡大を見込む。
