
それでも…日本は「観光大国」になれるポテンシャルがある
「ユーザー目線」を取り入れれば外国人観光客は増える
「供給者側の都合」が優先される国で、異なる文化や価値観をもつ「ユーザー」が居心地がよくないのは言うまもでない。だが、「ユーザー目線」を取り入れさえすれば外国人観光客は増える、ともいえる。
自然、文化、気候、食事…「観光大国」への条件がそろっている
アトキンソンさんの著書『新・観光立国論』では、「観光大国」になれる国は自然、文化、気候、食事だという4つの条件があるが、日本はすべてこれを満たしているとも。「ユーザー目線」でしっかりとした観光資源の整備を行えば、日本は8400万人の外国人が訪れるフランスにも匹敵する観光大国になれるという。
観光客の口コミ評価上位は、外国語訳のサイトが充実
世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」が、2015年に発表した「外国人に人気の観光スポット2015」で上位の観光地のwebサイトを見てみると、4位の奈良県の東大寺や、7位の和歌山県の奥之院、8位の京都府のサムライ剣舞シアターなど、外国語訳のサイトが充実している点で共通しているようだ。
観光庁は、多言語による表示の改善・強化へ
観光庁の久保成人長官は、観光立国の実現へ向けた今後の取り組みについて、「玄関口である空港の機能を諸外国以上に強化する必要がある。外国人が快適・円滑に移動できるよう、多言語による表示の改善・強化を図る」と話す。
無料Wi―Fiの充実やクレジットカード利用のための仕組みを模索
また、各観光地の多言語ホームページだけでなく、無料Wi―Fiを使ってスマートフォンなどで自由に情報を検索できるようにしたり、外国人観光客にとって主流のクレジットカードについても「小さい店でもクレジットカードを使える簡易な仕組みを普及させたい」(久保氏)など、観光立国に向けて取り組みを始めている。