腐った肉と何違う?「熟成肉」はこうして作られる




飲食店などで扱う店が増え、ブームとなっている「熟成(エイジング)肉」。しばらく寝かせてうまみが増した肉のことだが、すでに味わった人は従来の肉との違いが分かっただろうか? そもそも熟成肉と腐った肉とはどう違うのか-。(平沢裕子)
 ■ゆっくり解凍
 牛丼チェーンの吉野家は、昨年4月から牛肉メニューの肉を熟成肉に変えた。従来の肉との違いは、冷凍肉の解凍にかける時間。以前は日本の港に着いた米国産冷凍肉をすぐに加工場に搬入していたが、熟成肉は2週間ほど冷蔵庫に保存した後での搬入となる。企画本部広報担当者は「変更は時代の要請に応えたもの。ここ数年、安さだけでなく、よりおいしいものが求められるようになり、それに応えたのが熟成肉」と説明する。
 冷蔵保存することで肉がおいしくなるのは、肉を扱う業者にとっては常識。ただ、安さを求める傾向が強かった時代には、時間をかけてゆっくり解凍しながら冷蔵保存する“手間”がかけられなかった。
 ■うまみが増加
 一方、日本に熟成肉を広めた立役者の一人で、食肉販売・加工会社「さの萬」(静岡県富士宮市)の佐野佳治社長が熟成肉と呼ぶのは、ドライエイジング(乾燥熟成)という手法で熟成させた肉だ。
 ドライエイジングは、真空パックが開発される前に行われていた伝統的な牛肉の熟成法。同社の場合、ニューヨーク・メソッドという作り方を採用しており、温度は1~2度、湿度は70~80%に調節された冷蔵庫に肉を並べ、強い風を当てながら40日以上かけて熟成させる。風を当てることで肉の余分な水分を飛ばし、その過程で微生物の働きでタンパク質がアミノ酸に変わり、うまみが増した肉になるという。
 冷蔵庫とはいえ、「生肉を40日も置いたら腐るのではないか」と思うかもしれない。腐敗は、食品が微生物の働きによって味やにおい、外観が変化した現象のうち、人間にとって好ましくない状態になった場合をいう。ドライエイジングは、通常に比べ肉の風味が増し、ナッツのような風味も加わるのが特徴で、腐った肉とは違う
地域ブランドに
 最近は普通のレストランのメニューに「熟成肉」「エイジングビーフ」の表示を見かけることも多くなった。平成25年秋ごろから食材の偽装表示が次々に発覚、大きな問題となったが、「熟成肉」と表示しながら普通の肉を使っているところもあるのではないか。メニューで熟成肉を名乗れるのはどんな肉なのか、消費者庁に問い合わせたところ「定義はありません」という。定義がない以上、例えば1日冷蔵庫に置いた肉を熟成肉と表示するのも問題はない。
 ただ、多くの人が熟成肉と聞いてイメージするのは、「普通の肉よりちょっと手間暇かけたおいしい肉」ではないだろうか。肉のアミノ酸の含有量などから、熟成肉の定義づけはできないものだろうか。
 米・コロラド州立大でミートサイエンス(食肉科学)の修士課程を修了した熟成肉専門店「京都中勢以」(京都市)の加藤謙一さんは「熟成肉のおいしさは科学でもまだ解明されていない。何がおいしさと結びつくか分かっていない以上、科学的な定義づけは慎重に行うべき」と指摘する。
 加藤さんによると、牛肉は熟成させることで、その牛肉本来が持っている、育った場所の空気や水、餌の香りや味わいを感じられるようになるという。つまり、熟成によって日本各地に異なる味わいの牛肉が生まれれば、他の場所の肉との差別化になり、地域ブランドとして確立することにつながるわけだ。
 加藤さんは「肉の味わいをよくすることは、素材を大切にする日本の食文化にとって非常に大切なこと。おいしさは主観的なものだけに、表示だけでは見分けることができないことを理解してほしい」と話している
Photo ; Google Images


イメージ 1
イメージ 2
イメージ 3
イメージ 4
イメージ 5
イメージ 6
イメージ 7
イメージ 8
イメージ 9
イメージ 10
イメージ 11




アメリカの高級ステーク・レストランで食べる、

ドライ・エイジド・ビーフの

リブアイ・ステーキは、

本当に、おいしいです。

日本人も、本当の、ステーキの、おいしさが、

わかってきたようです。