顧客離れ…老舗アパレル苦難の時代 高級と低価格の間に埋没した「中流の上」
SankeiBiz 2015/7/17 08:15
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ラオックスとの共同出資会社設立の記者会見に出席したオンワードホールディングスの保元道宣社長(右)=6月22日、東京都内
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 外食産業も、
ファッションも、同様です。
成金や、日本人や、アジア人や、
欧米でも、見栄っ張りは、
ブランドものは、買いますが
普段の商品は、
超・ケチで、
超・節約家です。
白いYーシャツなら、
洋服の青山の3900円や、
郊外のモールの安売り屋の2900円で、
サラリーマンの、人たちには、十分です。
目立つ持ち物や、
自動車や、
バッグや、
有名店のトートバッグなどは、
だれが見てもわかるような、ブランド物を買いたがりますが、
見えない下着や、
家で食べる食材などや、
トイレット・ぺ―パーなどは、
一円でも安く、買いあさっているのが、98%の、現実なわけです。
「百円ショップ」の盛況さを、ごらんなさい。
この写真に出ている経営人たちでも、
家庭では、同様なことをしているはずです。
どうして、その原理が、会社の経営方向と、合致しないのが、不思議です。
私から言わせますと、『経営者としての怠慢』です。
『マーケティングの大誤算です』
人々は、3900円のシャツを買います。
7800円や、9800円や、12800円の、
日本製のY-シャツを買いません。
もし買うとするなら、欧米、特にフランス、イタリ―の
有名ブランドのシャツ(29800円、39800円くらい’)を、
バーゲンで、
しかも、アウトレットでなら、
7800円出して買います。
このプライス感覚がわからないうちは、
ファッション産業の経営者は、失格です。
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ワイシャツであれば1着1万円前後の商品を中心に展開する、「アッパーミドル(中流の上)」の消費者層を得意としてきた国内の老舗アパレル各社が苦戦を強いられている。カジュアル衣料品店「ユニクロ」などに代表される低価格のファストファッションと海外の高級ブランドのはざまで、目立った特徴を打ち出せず顧客離れが進んでいるためだ。オンワードホールディングス(HD)は異業種との連携、ワールドは大規模な店舗閉鎖などのリストラに乗り出したが、成長軌道に乗せる次の一手は見いだせていない。
 「国内のファッションのモノづくりの基盤が細っているのが現状で、何とか活気を取り戻したい」。6月22日、オンワードHDの保元道宣社長は、総合免税店のラオックスとの共同出資会社設立会見でこう強調した。ラオックスと提携するのは、訪日中国人旅行者に強みを持つ同社の基盤を生かす狙いだ。ラオックスの店舗にオンワードの日本製衣服を置き、経済成長とともに消費拡大が見込める中国をはじめとするアジアへの進出の足がかりとする考えだ。
 1927年創業のオンワードの業績は、ファストファッションと高級ブランドとの国内市場争奪戦で苦戦。2015年3~5月期連結決算は売上高が前年同期比7%減の687億円、営業利益は26%減の43億円と厳しい内容となった。婦人服中心に販売が落ち込んだのが響いた。オンワードは不採算ブランドの廃止など、事業の再構築を進めているものの、販売のてこ入れとなる施策は打ち出せていない。ラオックスとの提携で中国人の需要を取り込み、3年後に200億円の売上高を生み出して経営改善につなげたい考えだ。
 三陽商会も、海外での販売に活路を見いだす方針で、今秋冬から主力商品の「100年コート」を米国の百貨店などで本格的に販売する。世界からの評価が高い「メード・イン・ジャパン」を前面に出し、国内の落ち込みをカバーする。「アンタイトル」や「タケオキクチ」などの人気ブランドを展開するワールドはリストラで事業基盤の立て直しを進める。16年3月期中に全店舗の約15%に当たる400~500店を閉鎖。主に収益性の低い店を閉める。獲得した売り場の維持にこだわり赤字でも営業を続けたことで採算が悪化しているためだ。再成長に向け「一旦かがむ」(上山健二社長)という
対照的に、低価格帯やセレクトショップ、高級ブランドを展開するアパレル企業の業績は絶好調だ。ユニクロなどを展開するファーストリテイリングの14年9月~15年5月期の連結最終利益は前年同期比51.5%増の1323億円と、9カ月間の累計で過去最高を更新。国内外でユニクロの販売が伸びたためだ。同社はユニクロの出店をさらに広げ、低価格衣料品店「ジーユー」も現在の315店から年50店ずつ増やしていく方針で、低価格志向の顧客ニーズの取り込みを加速する。
 セレクトショップも好調だ。ユナイテッドアローズの6月の既存店売上高が前年同月比2.6%増と3カ月連続で前年実績を上回った。高級ブランドも躍進を続ける。矢野経済研究所調べでは、高級輸入ブランドの国内市場は08年のリーマン・ショック後に落ち込んだものの、13年には前年比20.3%増の1兆1674億円まで回復。アベノミクスによる景気の持ち直しを背景に14年以降も、円安に伴って多くのブランドが値上げをしたにもかかわらず、伸びが見込まれるという。「株高の恩恵を受けた富裕層の消費意欲は衰えていない」(矢野経済)ためだ。
 アパレル市場で低価格か高級への二極化が急速に広がる中、アッパーミドルブランドは浮上に向け、ネット通販にも力を入れるが、ファーストリテイリングもネット通販事業への傾斜を強め、セレクトショップも拡充を急いでいる。事業再構築の先に待ち受ける未来は決してバラ色ではない。再成長に向け、ヒットブランドの育成など、いかに顧客の心をつかむ提案を行えるかが、厳しい生存競争を生き抜く鍵を握ることになりそうだ。(永田岳彦

